第1159話 ヒラヒラフワフワ
「おもしろそうだから創ってみた」
メイドたち収納陣を整え終わり、ちょっと仮眠してからオバチャンに尋ねたらそんなことを言われた。
まあ、オレもおもしろそうだからで創ったから、オバチャンたちの言い分に文句は言えないが、だからって創りすぎじゃね? つーか、よく創れたね。シュードゥ族オバチャン、ハンパねーな。
「まあ、要は魔道具だからね」
んな横暴な。魔道具と言や片付けられると思うなよ! と言えない身なので黙っておきます。
「創るのは構わんが、こんなに創ってどうしようってんだ?」
是非、お聞かせ願いたい。今後の言い分の参考とさせていただきたいので。
「買い物に使おうと思ってね」
ママチャリならぬ……なんだ? 上手いこと言えねーよ! 空飛ぶ箒に跨がったオバチャンのことなんてよ!
「買い物? どこに買い物にいくんだよ?」
「ベー様。レヴィウブで働く者の町がありまして、食料品や日常品はそこで買えるんですよ」
え? レヴィウブにそんなとこあんの? 知らんかったわ~。
「そこ、こっからだと遠いのよ。わたしら馬車ないしね」
言ってくれれば馬車くらい用意すんのに。まあ、無理矢理連れて来たオレのセリフではねーから黙っておくけど。
「空飛ぶ箒なんて使って大丈夫なのか?」
「専用の道だから大丈夫そうだよ。馬でも馬車も持ち込み可能だって世話役の人が言ってたから」
知られざるレヴィウブの裏側。ちょっと興味あるかも。
「そんで、空飛ぶ箒はどんな感じなんだ? 完成なのか?」
「まあ、通う分には大丈夫かね。魔力の消費は多いけど」
試しに一つ借りて跨がってみる。
「ってか、どうやんの?」
すみません。優しく教えてくださいませ。
「魔力で動かすんだよ」
魔大陸出身者はなかなか無茶を言う。が、そこはやればできる。あればできる。考えるな、感じろでやってみろ、だ。
「おっ、浮いた」
魔力を箒に流すとフワリと浮いた。
「大体の魔道具は魔力で動かすんだよ」
「ってことは、魔力がないと動かせねーってことだろう。人族はそんなに魔力がねー種族だ、魔力がなくても動かせるのを創ってくれよな」
魔力在りきの魔大陸とは違うのだ。魔力なしでも動くものでなければ売れねーよ。
「……それはまた難しいね……」
ここで解決法を教えてもイイが、創意工夫は大事なこと。さらなる成長を願って黙っておこう。まずは魔力ありで販売しておこう。
「それは後々やっていけばイイ。それより、これはどのくらいの重さまで耐えられるんだ?」
「重さ?」
「買い物用なんだろう。だったら荷物の重さも考えなくちゃならんだろうが。あと、荷物を入れるなり置くなりの工夫も必要だぞ」
オバチャンの体重を聞くのは怖いので荷物に変えて尋ねました。
「魔力を使えば、たぶん、二人くらいは乗れるかな?」
創った本人もよくわからないらしい。案外アバウトなんだな。
「そう言う細かいことも気にしろよ。百個創って百個不具合はねーと言えるものを創れるようになれ。それが一流だぞ」
趣味でやっているとは言え、オレはその自負を胸に創っている。自信を持って売ってるぜ。
「わかったよ。百個創って百個自慢できるものを創るよ」
その意気やよし。ガンバってイイものを創れや。
「ベー様。そろそろ約束の日ですが、どうしますか?」
約束の日? なんだっけ?
「大図書館の魔女との約束です。陽が昇れば約束の日です」
腕時計を見れば午前三時。おもいっきり生活サイクルが乱れてんな~。 ここ最近、乱れまくってるけどさ。
「それとプリッシュ様から双子とお嬢様の気を引くものを用意してくれとのことです」
「あー。プリッつあんのこともあったな~」
完全に忘れててごめんなさい。
「ドレミ。エリナに魔法少女的衣装はあるか聞いてくれ」
オレのレベルではサリーちゃんしか想像できねー。サプルのために創った結界ドレス鎧もトアラにデザインしてもらったしな。それでもサプルには不評だったけど……。
「預かっています」
と、カラフルでヒラヒラフワフワな衣装が山となって現れた。多いよ!
「可愛らしい服ですね」
一つつかんで広げてみる。
「まあ、可愛いと言えば可愛いが、派手じゃね?」
この時代のデザインじゃねーだろう。奇抜と見られねーか?
「大丈夫だと思いますよ。プリッシュ様もたまにこう言う服着てますから。双子、お嬢様方にも受け入られるとかと」
同じ服着てる姿しか記憶にねーが、ミタさんがそう言ってるのならそうなんだろう。
「なら、イイか。オレが着るんじゃねーしな」
「この服をどうするんです?」
「変身セットだな」
魔法少女と言ったら変身。ヒラヒラフワフワな服を纏うものだ。いや、よく知らんけど。
結界に服を仕舞い、結界で一瞬に着させる。女の子なら喜ぶはずだ。プリッつあんが前に一瞬で着られたらイイのにって言ってたしな。
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