第873話 男の見せどきだ!
「ねぇー! これが合コンなのぉーっ!?」
シャレオツなマスケット銃──ライカロンの魔銃とか言うものを撃ちながら叫ぶレディ・カレット。
ちなみに、ライカロンの魔銃は、ゲームに出てきた武器で、エネルギーパックを銃口から入れて撃つもので、なかなかえげつない威力を持っている。
エネルギーパックを入れると、百発は撃てるらしいが、一回で撃つと、ちょっとしたミサイルに匹敵する威力があった。ゲーム武器、どんだけだよ!
「まあ、これもある意味、合コンだな」
ただし、合同コンパが合同コンバットになっちゃいましたけどねっ。
「なんか適当に言ってるときの口調だぁー!」
「叫んでいる暇があるならどんどん撃て。敵が迫って来るぞ」
「だったらベーも手伝ってよ!」
「ワリーな。今は疲れてやる気がねーんだわ」
土魔法に結界と大盤振る舞いして疲れてるんです。あーコーヒーうめ~。
「寛ぎ全開じゃない!」
オレは休むときは全力で寛ぐ主義なんでな。どんな状況だろうと妥協はしねーんだよ。
「マスター。そろそろ限界のようです」
腕時計型通信機に目を向ける。
「……四日も持ったか。愛の力は偉大だな……」
全方位、数万の魔蟲に囲まれながら四十人以下で四日守り抜いた。もはや奇跡である。
ってか、話が見えないんだけど? とか言う方々に簡素に答えよう。
別荘で合コンしようとしたらタイミング悪く大嵐が来て、とても合コンどころじゃないからミタさんの故郷でやることにしたわけよ。
で、軽くお酒を飲みながらダークエルフの女とエルフの男の自己紹介タイム。互いに緊張しながらも和気藹々とイイ感じが流れていた。
あとは若い人たちで、とオレらは湖でマンダ〇タイム。イイ感じにのんびりゆったりしてたのだが、どこからか四十センチくらいの蟻のような蜘蛛のような、見た目、血のように赤くて凶悪な姿の蟲が四匹現れた。
「──レグチャですって!?」
ミタさんびっくり。すぐに銃をぶっ放した。
凶悪な見た目な割にはあっさり天に召されるレグチャなる蟲さん。あなたのほうが危険じゃね?
「どうしてレグチャがここに? もっと南にいる魔蟲なのに……」
そろそろ説明をしてもらいたいが、そんな暇もなさそうだ。なんか、大地が真っ赤に染められ、波のように揺れていた。
「さすが魔大陸。スケールがハンパね~!」
「ベー様! そんなのんびりしてないで逃げますよ! レグチャは肉食で竜すら捕食する災害です!」
まあ、あの数なら竜すら食っちまうだろうな。一万……いや、数千万匹はいるだろうよ。
「逃げるのは構わんが、ミタさんの故郷が完全になくなるぞ」
肉食だろうが、あの数では村はイイ感じに耕されて、なにもなくなるぜ。
「……悔しいですが、あの数のレグチャでは……」
「いや、そうでもねーぜ」
確かにあの数は脅威だ。だが、津波を防ぐ防潮堤ならわたしにお任せあれ。
あらよ、ほらよ、どっこいしょー!
で、ミタさんの村を囲むように五メートルの壁を造り上げ、ヘキサゴン結界でコーティング。あと、上がってこれないようにツルッツルにしてあります。
「野郎ども! 男の見せどきだ、戦って戦って戦い抜いて、女の故郷を守ってみせろ! 女どもは戦う男どもを支えろ!」
オレは疲れたし、見せる女もいないので休ませてもらいますがね。
ってか、本当に疲れた。気を許したらそのまま気絶しそうだわ。
さすがにこの状況で気絶なんてしたらシャレにならんので、必死で堪える。まあ、他の方々からはサボッているように見えてるようですが。
守るのは十七人と圧倒的に少ないが、ミタさん所有の武器は腐るほどあり、大盤振る舞いで弾丸や爆弾を消費しながらレグチャなる魔蟲を葬っていたが、さすがのエルフも不眠不休は堪えるようで、レグチャなる魔蟲を葬る数が落ちて来た。
「野郎ども! もう限界か? エルフの、いや、男としての意地はそんなものなのか?」
「なにもしてないお前が言うな!」
いや、最初にやったじゃんとは言わない。
「オレにテメーらの見せ場を奪えって言うのか? その誇りを汚せと言うのか? ふざけんな! 男が女のために戦ってんだぞ、手なんか出せるか! 最後まで男を見せろ! ただし、絶対に死ぬな! 真の男は、絶望な状況でも死なず、生きて女と添い遂げるものだ! 戦って生き残れ! 真の男となれ!」
オトンの生き様は尊敬する。守ってくれたことに感謝もする。だが、死んだことだけは許せねー。それだけは絶対に真似はしたくねーよ。
「クソが! 皆、根性出せ! 男を見せるぞ!」
「やってやる!」
「絶対に死なねーよ!」
そうだ。根性見せろ。限界を越えろ。オレが絶対に死なせねーからよ。
「野郎ども! 本番はこれからだ! 男を見せやがれ!」
オレはゆったりまったりコーヒーを飲みながら回復に専念するからよ。
あーコーヒーうめー!
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