第580話 人魚編か?

 みんな~! ヴィベルファクフィニーくんの工作教室が始ーまーるよ~!


 と、某教育風に始めてみたのだが、なかなかどころか大変優秀なクルフ族の皆さま。スポンジが水を吸うように知識を覚えていった。


 一週間もしたら電動ドライバーや溶接を自由自在にこなしちゃうクルフ族の皆さま。いつの間にか改造中の飛空船から追い出され、二週間後にはオレの居場所がなくなっちゃいました。


 他の用事を済ませて帰って来たら、オレの使用していたロッカーや工作道具箱がどこにもナシっしんぐ。イジメか!?


 と右往左往。そしたらフミさんが現れた。


「今後はわたしたちお任せください。ベーさまはごゆっくりしててください」


 と、ミニ造船所を追い出されました。


 ……イジメと言うより下剋上を受けた感じだな……。


 なにか心の底から涙が溢れて来そうだが、そこはマン〇ムタイムでコーヒーうめ~で乗り切れ、だ。


「泣きたいときは泣きなよ、ベー」


 よしよしと頭を撫でるプリッつあんの優しさにマジ号泣。


 うわ~ん! オレの居場所が奪われちゃったよぉ~!


 プリッつあんの胸の中で泣かしてもらいました。


「――なんて寸劇はともかくとして、次なにやるべ?」


 席へと戻り、マ〇ダムタイムを再開した。


「うん。そんなことだろうと思ったわ」


 向かいの席に座り、紅茶を飲むプリッつあん。なに言ってんだい?


「それより、いつ出発するの? コーリンから衣装合わせがしたいって連絡があったんだけど?」


 なにやらオシャレ部門に席を置いているプリッつあん。頭の上にいるようで仕事をしてたりするメルヘンだったりする。


「もうできたんかい。早いな」


「サリバリやトアラはげっそりしてたけどね」


「お仕事、ご苦労さまです!」


 王都の方を向いて感謝の敬礼をした。


「そう言うのは面と向かって言いなさいよ。凄いことになってたわよ」


「お礼はもので返すよ」


 いったら殺されちゃうもん。いきたくないよ。


「と言うか、花月館かげつかんにいったのか?」


 なにか見てきたこと前提に話していたが。


「カイナのおじさまに転移バッチもらったのよ」


「またカイナか。あの腐れ魔王は自重しねーな、まったく」


「ベーのセリフじゃないわね。カイナ以上に自重してないじゃない。そこで歴史的技術革新を起こしてるの誰よ?」


「あー今日も天気がイイな~。これはドライブ日和かな」


 もう夏も本番。海沿いを走ると気持ちイイだろうな~。


 と言うことでゼロワンで出発進行。ドライブと洒落込んだ。あ、ミニサイズのままにね。大きいと村の連中を驚かすからさ。


 まあ、ミニサイズなので海に行くまで結構な時間がかかってしまったが、夏の海はなんとも気持ちがイイ。おっと。海ベビさん。急な飛び出しはカンベンだぜい。


 海面スレスレを走っていると、ゼロワンをエサと勘違いしていろいろなお魚さんが襲って来る。


 ひょいひょいとゲーム感覚で回避しながら走っていると、なにやら前方にアブクが見えた。なんでしゃろ?


「人魚さんがなにかと戦ってるみたいね?」


 視力がイイプリッつあんがそんなことを言った。


 岸から百メートルは離れているが、まだ陸地扱いのところ。人魚が活動する領域じゃねーんだがな。


 とは言え、なにがあるかわからんのでサイズを元に戻し、ゼロワンを結界で包み込み、海中へと突っ込んだ。


 透明度はイイが、プリッつあんの言ったように戦闘してるらしく、アブクが激しくてよく見えねー。が、アブクから溢れている巨大烏賊(っぽい生物)からして襲撃されてる感じ、かな?


「魚が烏賊を襲ってるわ」


 摩訶不思議な光景に、割りと冷淡な地上のメルヘン。出会った頃のカワイイメルヘンはどこにいったのでしょう……。


 全力で泳ぐ巨大烏賊(っぽい生物)の横につき、並走する。


 どうやら武装した魚人が巨大烏賊(っぽい生物)を襲っているようだ。


 ……ん。あの巨大烏賊(っぽい生物)に刻まれた紋章、ハルヤール将軍の国の紋章じゃなかったっけか……?


「プリッつあん、つかまってろよ」


 ハンドルを切り、巨大烏賊(っぽい生物)を襲う魚人に向けて突っ込んだ。


 泳ぎは魚人の方が勝るだろうが、こちらは自由自在に操れる結界使用能力者。水の抵抗など完全無視で武装した魚人をはね飛ばしてやった。


 あ、別に轢き殺してはいませんよ。ぶつかると同時に結界で捕縛。あとでウルさんに回収してもらいましょう作戦をやってます。


 こちらの存在に気がついた武装した魚人たち。何人かが襲いかかって来るが、我が結界の敵ではない。


 結界使用能力範囲内に入ったら直ぐに捕縛してやった。


「食べるの?」


「エリナがな」


 エリナの言では、魚人の命はオークにも勝るようで、捕まえたら欲しいと言われてんだよ。


 魔物と同一視かい。とか言うことなかれ。地上の生き物としては魚人を人と同等とはなかなか見れねーもんなんだよ。第一印象もワリかったしな。


 なんで、容赦なく捕縛デース! 

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