第148話 魔法超スゲェー!
頭が痛いのを我慢して収穫を終えて家に戻ってきた。
吹き飛ばされてから一時間半。まだサプルはジェット機を飛ばしていた。
「……ワリーな、貴重なもんに乗らしてくれて」
茫然とした顔で空を見詰めるタケルに礼を言う。
「……あ、いや、そんなこと……」
「無理しなくてイイよ。駄々っ子神になったサプルを止めるなんてオレにもできねーからな。ほんと、ワリー」
兄として謝るよ。
「とは言え、イイのか、乗せたりして? 燃料とか貴重なんじゃねーのか?」
飛行機の知識はねーから燃料がガソリンだか軽油だか知らねーが、ジェット機なんて相当食うじゃねーの?
「……いいんです。残しててもしょうがありませんから……」
「ん? どーゆーことだ?」
「嵐山らんざんを願うとき、自動修復機能付きを追加したんです」
あーうん。剣と魔法の世界で未来的な潜水艦に乗ろうとしてだからそりゃ必須なことだわな。
「わからないではない、が、だから?」
修復されんなら……あ。
「……もしかして、壊れた──いや、消費したものは復元できない、とかか……?」
オレの問いにタケルは重く頷いた。
いや確かにそーだけどよ、なんつー悪辣──いや、悪意しか感じねーな。
「そりゃこっちの神に介入されてんな」
そう考えると、オレの結界術も介入されてんな。自由自在なら使用範囲なんてねーだろう。
「……おれもそう思います……」
「ん? じゃあ、潜水艦もか?」
「あ、いえ、嵐山は大丈夫です。水を分解して電気を生み出して動かしてますから水がある限り動かせます」
なんともエコな乗り物だな。さすがアニメの世界の潜水艦。
「魚雷やらの武器関係は使い果たしたのか?」
あるかないかで今後が決まるぞ。
「いえ、まだありますが、あと一回戦闘したらなくなります」
「あるなら問題ねーよ。創れるヤツ知ってるからよ。たぶん、だが、オレにも創れるかもしんねーな」
いや、なんつーか、勘、だが、魚雷とかミサイル、石油なんかは元を辿れば土──大地にあるものだろう。まあ、プログラムとか電気電子系は無理だろうが、そう言うもんはコピーするなり打ち込むなりすればイイだろう。
それにだ。オレはなにも土魔法だけしか使えねーわけじゃねー。イメージ(これからできてるって知っていれば)さえできれば他の魔法だってできるのだ。まあ、土魔法ほど才能はねーがな。
「ちょっと銃貸してもらえるか?」
わかりましたと、腰のホルスターから銃を抜いてオレに差し出した。
「言っててなんだが、そう簡単に武器を渡すなよ。せめて弾を抜いて渡せ」
「あ、いや、べーさん、銃を向けても怯まなかったし、なんかチートくさい能力持ってるっぽいから逆らっても無駄かなーっと、思いまして……」
「まあそうだが、自分の能力はたとえ肉親でもしゃべるな。濁すなり誤魔化すなりしろ。それはお前の切り札。お前や大切な者を守る力だ。全てをしゃべるのが信頼じゃねーぞ」
まあ、それが正しいってことじゃねーが、要は手段と覚悟を持てってことだ。後悔したくねーのならな。
「……はい、すみません……」
落ち込むタケルの背中を『次に活かせ』と慰めながら叩き、銃を受け取った。
受け取った銃をいろんな角度から見たり触ったり臭いを嗅いだりし、銃を感覚的に知ったら魔力を流したり銃越しに魔素を感じてみたりする。
「撃ってもイイか?」
「は、はい、全弾どうぞ」
了承を得たので全弾撃ってみた。
……なるほど、これが銃か……。
威力どうこうは別として、反動や火薬の臭い、動きはわかった。なら、あればできる。やればできる。考えるな感じろだ。
銃を地面に置き、右手を添え、左手は大地に置く。
──創る!
そう念じると、大地から魔力を帯びたものが左手に集まってくる。
──できる!
銃をイメージした瞬間、大地と左手の間に銃が創り出された。
魔法超スゲェー!
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