引越しの理由 其の一

今のところに引越す前の話なんですけど。

いわゆる、心霊現象的な事が理由で引っ越しました。



前のマンションに住み始めて少しして、最初は夜寝るときでした。

いつの間にか子守唄が、どこからともなく聞こえてくるようになりました。

お隣と近所とかかなって、最初は気にも留めなかったんですけど。

それがどうも、僕が寝るまで続いているっぽいなと思い始めて。

今度その声が日中も聞こえるようになったんですけど。


それが、完全に僕をあやすような声なんですよ。


もう、いろいろなタイミングで聞こえるようになりました。


食事していると

「おいしそうでちゅね〜」ですよ。


お風呂に入っていると

「あったか〜いね〜一人で入れてえらいこでしゅね〜」って聞こえて。


トイレにいくと

「は〜い、しいしいしましょうねぇ〜」とかですよ。




これ、うざくないですか?




それでとうとう、テレビ見てたら頭を撫でられましたから。

こう、さわさわ〜って優しく。




上からなんですよね、声も手も。




どうも、小さい僕を大きなお母さんが見下ろすような感じっぽくて。




怖いというよりは、嫌になりました。




僕、母子家庭なんです。

で、というか母親が過干渉なんですよ、その、僕からすると。

なので、大学も地元から遠く離れた所を選んで入ったんです。

一人暮らし、というか一人になりたくて。




でもこれじゃあ一人暮らしじゃないって気がして、引っ越しました。




越してからはそういうのはなくなりましたけど。





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