ちょっとした悩み
私は昔、自殺しようと思ったことがあるんです。
ある服飾系の専門学校に通っていたんですが、なんか人間関係がうまくいかなくて、言っちゃえば浮いてたんです。
なんとなく毎日が退屈なような窮屈なようなで服に対する興味とか情熱もなくなって、そんなこんなで彼氏にもフラれて。
夜中に急にどうでも良くなって、人間やめちゃおうって思ったんです。
アパートから車で一時間ほどの所に自殺の名所的な海があったので、そこの崖から飛び降りようと決めました。
遺書を書いて一番いい服を着て、車を飛ばしました。
海の近くのコンビニに車を止めて、改めてダッシュボードにある遺書を確認しました。
大丈夫、忘れてない。
そう思って崖に向かって歩き始めたんですが、切り立った崖の先端が見え始めた時に、異変に気付きました。
そのあたりに人がいるようなんです。
え?こんな夜中になんで?って。
自分を棚にあげて思ったんですけど、目をこらしながら近づいていてみてびっくりしました。
白いハチマキとふんどしをたなびかせている、マッチョな裸の男の人でした。
片足を岩にかけて、海を眺めているんです。
真冬ですよ?
え、どういうこと?って思ってしばらく眺めてたんですけど、特に動くこともなく、険しい表情でずーっと海を眺めて腕組みしているんです。
なんとなく死ぬのやめました。
ずーっと「?」という思いでアパートに戻ったんですが、海を眺める男の人の真面目な顔が、今でも忘れられません。
でも、後から思い返してみると私は何を見たんだろうって思って。
幽霊なのか、変な人なのか。
今となってはよく分かりません。
おかげで自殺を思いとどまったことになるんでまあ良いんですけど、分類できないっていうのが少し悩みですね。
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