第97話 最果ての北の地、ノーム共和国

 

「目的地に到着しました、これより地上に降ります」


 案内人が幸一達に告げるとテントが前進をやめ停止する。そしてゆっくりと高度を下げ始める


 幸一達が荷物を抑え物が外に落ちないようにする。


 数分するとキャンプは広場のような場所に何事もなく着陸。


 まず降り立ったのはサラだった。

 飛んでくるキャンプに対して全く驚きの声は上がらない。そこからサラが予測する。



「ここの人たち、シェルパの人達の事知っているみたいです」


「嬢ちゃんが今回のシェルパの客人かい、どこから来たんか?」


「おお、またお客さんを運んで来たのか?」


 シャルパやサラがその事について話しかけられる。

 そしてサラが詰め寄ってくる街の人に対して説明をし始めた。その間、幸一達が荷物をまとめる。シェルパたちはキャンプを片付けている。



「へぇ~~、あの王都ネウストリアから来たのかい。こんな街に──」


「これがあの噂に聞く勇者さんか、結構かっこいいねーー」


「そ、そんなことないですよ。まあ、今回はよろしくお願いいたします」


 ヤジ馬達から何とか逃げる。


 寒さから身を守るため、建造物は分厚い石造り。

 この地域の信仰深さを象徴するように集落や街には必ずこの地の信仰のシンボルマーク。十字架を掲げた教会が存在していて、この地が信仰が厚い最果ての北の地、ノーム共和国であることを実感させる。





 北国を彷彿とさせるような街並みに心が躍り出す。



「きれいな街並みだね、イレーナ」


「うん、ここは古い町並みが結構残っているの。こういうところで一緒に歩いてみるのすごい楽しみだったなぁ」


 そう声を漏らすとイレーナが肩を寄せてきて幸一の手をつなぎ始めた。

 真っ赤に染まった頬。甘い吐息幸一まで顔を赤くする。青葉がい似合いのカップルだとはやし立てる。


 途中シェルパの人たちの拠点に到着。別れのあいさつを済ませると彼らは拠点となっている建物に帰っていった。


 サラの案内に従って繁華街、住宅街などを通り過ぎていくと


 大きな教会の様な城の建物。

 ここがノーム共和国の政治の拠点ラヴィリスホルム城であった。


 それが終わると幸一達が門番の兵士と話し始める。自分たちが本国ネウストリアから来たものたちだと説明し、その書類を渡す。審査は10分ほどで終わり街への門が開く。


 兵士たちとあいさつを交わしながら案内され道を進んでいく。




 そして案内される事5分、幸一達は専用の部屋へ案内された。




 幸一達に与えられた部屋には豪華な家具や調度品が立ち並び壁には天使を催した絵画が置かれ暖炉の中には赤々と炎が燃えている。

 部屋にはメイド姿の侍女がコーヒーが入ってきた。そして純銀の手押し車の上にある容器の中のコーヒーをコーヒーカップに注ぎ始める。


 幸一達は興味津々になり辺りを見回す。みんなが物珍しい部屋に見とれている間青葉が何かに気づく。

 そして光景に慣れてくると荷物をまとめ始めサラがこの後の話しをする。



 話は5分ほどで合わる、そして青葉が何かに気づき周囲を見回す。

 するとメイド姿の侍女に青葉がフッと笑みを浮かべながら話しかける。


「あんた、ただの侍女じゃないわね。正体は何?」


 びくっとした後冷静に言葉を返す。


「な、何のことでしょうか? 私はミッテラン家に使えていますただのメイドです。何かの間違いではないでしょうか」


 腕を組んで自信満々に青葉は言葉を返す。


「さっきっからキョロキョロしすぎ、それにサラがこれからの話しをすると耳を傾けているのがバレバレ、プロの私からすれば何か裏があるってくらいあからさまだわ、んであなたを凍らせる前にもう一度聞くわ。あなたの正体は何なの?」


 真剣な顔の青葉、一気にこの場が真剣な雰囲気になり始める。沈黙がこの場を包み込み4人の視線が侍女に集まる。


 ため息をつきながら侍女は青葉に視線を向け言葉を返す。


「ばれちゃった~~、でも青葉ちゃんじゃあしょうがないっか~~」


 バサッ。



 黒髪のロングヘアに見えたのは何とかつらであった。

 そのかつらをとる、その姿にイレーナが驚愕する。



「お久しぶりね、イレーナちゃん。私よ」


「えぇぇぇ? レイカちゃんだったの?」


「知ってるの?」


 幸一の質問にイレーナが答える。

 イレーナが2年前にウェレンに帰国した時に教会を訪れた時、その信者の中にこの国で一番強い魔法使いがいるという噂を聞いて偶然その人物と鉢合わせになり会話などを楽しんだと言う。

 それが今目の前にいる少女、レイカであった。


 強い実力を持ちこの国でいちばん強い実力者だと言われている。



「ちょっとあなた達の事買いかぶっていたわ。結構やるみたいね」


「久しぶり。以前あった時より強くはなった?」


「当り前じゃない。この辺りの強い敵だいたい私が戦うことになるんだから。強くならなくちゃやってられないわ」


 2人とも知り合いらしく、徳に遠慮することは無くライバルのように刺激し合うような言葉遣いで話をする。

 そしてメイド姿の侍女がやってきて5人分のコーヒーとケーキを持ってきた。


 机に人数分のケーキとコーヒーを準備。

 そのケーキとコーヒーの光景にイレーナは目をキラキラさせる。


「コーヒーとケーキ美味しそう~~」

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