02話 助けを求めてます

 散々告白してはフラれて終わる人生を歩んでいた京にまさかの彼女ができてしまった。

 正直な話、私は京に彼女などできるはずがないと思いどこか安心しながら見守ってきていたようなものだ。そのため私自身も彼氏がいないことに何も感じずに歩んできてしまっていた。


 京に彼女ができたことにより、私はかなり焦っている。その上、負けず嫌いな性格が私自身を追い詰める結果になってしまった。京に対して自分も彼氏がいるなんて言っちゃうなんて本当にバカとアホしか言葉が出てこない。


 とにもかくにも私はダブルデート予定である来週の日曜日までに彼氏を作らなければいけない。

 だけど焦りは禁物、焦った挙句に変わり者や私と同じような過ちを繰り返すような同類を彼氏にするようなことは極力避けたい。冷静で才色兼備な男子生徒が理想。


 学校で助けを求める最初の人物……それは学校の親である皆茂みなも けん先生。


「皆茂先生、イケメンの男子が集まる部の顧問になって」


「……いきなりどうした、頭大丈夫か? 自分の名前を言ってみろ」


 いきなりどうしたと逆に私が言いたい。

 助けを求めて担任である皆茂先生に相談しに来て今更私に自己紹介させるなんて……が、穏便に事を進ませなければいけないのでここは言われたとおりにすることが最善の道。


日向ひなた 琉宇るう、あなたが担当する1年F組の生徒ですけど」


「ああ、それは知っている。お前の頭が大丈夫か確認しただけだからな」


 なぜなんだろう……人は少しイラっとしただけでも殺意が生まれてしまうのは。

 だけど、私はそれを冷静に心の底から流し出してしまえる。


「とにかくですね、イケメンが集まる部をなんとか」


「いや、もう少し具体的なものを伝えてくれるか? イケメンが集まるだけとかだけじゃ何の部だよって感じだろうが」


「先生、そこは察してなにも言わないのがお約束」


「いや、お前そんな奴だったのか? いやそんな奴な気がしてきた」


 私は皆茂先生に対して入学直後に少し恋心を抱いたこともあるが、その恋心は皆茂先生の行動で一瞬にして沈下したことを今も覚えている。


 お昼にお弁当を食べているタイミングで人の検尿用の容器を口にくわえながら持ってきたから。気さくで話しやすい人なので嫌いではない。だけど、少々口が悪いところが気にはなるもののユーモアがある先生ということにして接している。


「もう、正直に言いますよ。私は来週の日曜日までに彼氏が必要なの」


「いや、部活関係ないじゃん?」


 どんなことでも生徒が困っているのだから先生は寛大な心で助けてくれるのが普通のことだと思っていた。だからこそ皆茂先生には失望というか裏切られた様な気分だ。


「もういいよ、皆茂。部活なんて必要ない、この話は聞かなかったことにして」


「悪かたっな力になれなくて」


 無力な教師を頼りにした私が悪いのであって皆茂が悪いわけじゃない。

 理解できていても心のどこかで悪者を作りたくなるのが人なのかもしれない。


 皆茂と話していたのも過去の笑い話になるんだと言い聞かせながら私は職員室を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る