営業はトークが命
あ、こんにちは。すみません、お待たせしちゃって。
はじめまして。
わたし、ヤマダ、といいます。
えっと漢字は、「山の音楽隊」の山に、あ、いや「カチカチ山」の山って言ったほうがいいですよね。失礼しました。
田は「田楽みそ」の田です。
よく変わった名前だねって言われるんですよ。
え、まあ感じ方は人それぞれですからね。
あ、名刺ありがとうございます。
へー、サンタさんっておっしゃるんですか。素敵な苗字ですね、やっぱりクリスマスはお忙しいんですか?
え?あ、ヤマダって読むんですか。
難しいですね。
あ、でもわたしと同じじゃないですか。お揃いですね。
え、じゃあこれ知ってます?
「けんか、両成敗~~~~」
何やってるんですか。
そこは、ハハーーーでしょ!
え、知らないんですか、まいったな。
今みんなやってますよ。
こうやって両手を挙げて頭を下げるんですよ!
…うんうん。
いいじゃないですか。
あらやだ、こんな時間!お夕飯の準備しなきゃ!
え、違いますよ。
その人待ってたんです?
だから違います。私はただの通りすがりです。
来るといいですね。その人。
じゃあ、さようなら。
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「…無事、ニホン完了しました。はい。明日はイタリアですよね。分かっています。形態は変えていきます。イタリアでも年を取ったメスの方が警戒されないんですね。分かりました。」
+++は新人研修を思い出す。
『地球の高等生物であるニンゲンは必ずどこかで誰かを待っている。そこを攻めろ。重要なのはこちらのペースに乗せることだ。特にニホンジンはみんなやっていると言えば何でもやる。うまく話を持っていき、首の後ろにこれを埋め込むんだ。』
講師の持っていた針型チップと同じものが今は+++の胸ポケットにある。
もう血は流さない。これさえ埋め込めば、埋め込まれたニンゲンから微弱な電磁波が発生する。それはニンゲンの神経回路に流れる電流と同じ働きをするため、行動はすべてこちらで制御できる。
ただ問題は電磁波の届く範囲が狭いことだ。地球で言えば丁度ニホンと同じ範囲までしか届かない。そのためこうして地球各所を回っているのだが、仲間たちにはエイギョウマンなどと地球の言葉で揶揄されている。
だが、+++は自分の仕事が誇らしい。これで家族や仲間たちの命を救うことができるのだから。何億もの命の重みを感じながら+++はイタリアへとワープした。
367日目の地球 秋野清瑞 @rirontohouhou
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