第98話 さてと、記憶の通りに突き進みます。

前回のあらすじ:やはり見覚えのあるマップだったので、確認するべくじっくりと探索した。



 さてと、本日も張り切って探索と参りましょう。というわけで、私達は現在地下3階におりますが、予想に反して地形の変化はありませんでした。もしかして地下1階と2階だけ? これは要検証案件ですな。



 まあ、地形が同じなのはこちらとしても幸いでしたので、正直助かるといえば助かるのですがね。とはいえども、カムイちゃんの罠解除スキルやらを鍛えるのを優先しておりますので、地下1階、じゃなかった地下3階の最初の扉から魔物確定のポイントは通ることにします、ハイ。べ、別にオークが出てきてくれないかなーとか思ったりしてないんだからね!! って、キモいですね。済みません。



 魔物を倒して、宝箱の罠を解除して、某ゲームの地下2階へと降りることにした。残念ながらオークは出てきてくれませんでした。コボルトやスケルトン、あとは人型の盗賊とか山賊とかいましたね。鑑定だと人にみえるけど立派にダンジョンモンスターなんだそうな。特筆すべき所はなかったので、アマさんの鑑定結果もおざなりなものだった。



 地下2階へ、いや、地下4階へと降りたつもりだったが、どうやら同じ地下3階のようだ。ひょっとしたら、地下10階まであった迷宮の地形と同じではあるが、これらをまとめて1つの階層として存在しているのかもしれない。とはいえ、やることは同じだけどね。



 地下2階部分(面倒なのでそう呼ぶことにした)も、どうやら記憶通りの地形みたいだ。ここで注意するべきポイントだが、毒攻撃と麻痺攻撃をしてくる魔物がいたな、確か。とはいえ、正直なところ私達にとってはかなり役不足な感があるので、問題はなさそう。もっとも、気配探知などが仕事をしてくれているので、不意打ちはまず起こらない。



 ここでは、蛙の像やら熊の像やらが手に入り、それらを手に入れた状態でようやく金のカギが手に入るようになっている、って、ここまで同じで大丈夫か? せめて像を他の生物にするとか工夫しておけよ!! 



 本来であれば、金のカギさえ手に入れば、銅のカギや銀のカギなどのここで手に入ったアイテムは必要ないのだが、カギにしろ像にしろ、造りはなかなかの芸術性があり、捨てるのが惜しい気がした。どれも小さいから空間収納を全く圧迫しないからというのも大きな理由ではあるけど、、、。



 ゲームと違ったのは、魔物の種類である。記憶だと麻痺やら毒やらの攻撃を仕掛けてくる魔物などいたはずであるが、ここでは人型の魔物が多かった。これって対人戦で役に立つのかなあ。1階部分で出てきた盗賊や山賊がパワーアップしている感じの魔物であったり、魔法使いやら神官やらの格好で襲ってきた魔物もいた。



 魔物もそうであるが、地形に関してもゲームとは違っていた、というより付き合う気はさらさらなかった。というのも、ダメージを受ける落とし穴とか、勝手に方向転換する床とか、そういったものが存在するが、そういったものは、カムイちゃんの罠解除の肥やしにできる、というかできたので、そうする予定。



 本来なら、1階部分に戻って、一気に4階部分へと行くのだけど、罠をつぶす前提で進むのであれば、3階部分へと行かない手はない。ということで、3階部分へと到着。この階層は十字路の合流地点に罠が仕掛けられており、今回はその罠を解除しつつ探索をする。十字路が馬鹿みたいにあるこの階層は、私単独では間違いなく迷うのであるが、マーブル達はもちろんのこと、カムイちゃんも一緒であるので、その心配はない。いざとなれば、転送魔法で戻れば良いだけの話だし。



 この階層の魔物であるが、生物系が多かった。デカいカエルとか、虫の大群とか、蛇とか、後はモフモフとはほど遠い状態の犬や虎やライオンなどといったラインナップだ。ドロップ品は、、、カエルと蛇については皮とか、以外にも肉を落とした。鑑定すると普通に食べられるようだ。味についても鶏肉に近いそうだ。流石は食の神様である。調理能力はないけどな!



 地下3階部分を踏破して地下4階部分へと進む。実は地下4階って記憶だと2パートに別れており、階段を降りた部分ではどうしてもたどり着けない場所が存在するのだ。とはいえ、折角来たのだから、のんびりと探索するのもいいだろうと思い、のんびりと探索することにした。



 階段降りるルートを通るのはかなり久しぶりだったので、正直覚えておりませんでしたが、こんな感じだったっけ? というのが正直な感想だった。まあ、扉が多いこと多いこと、しかも、何か扉毎に魔物が出てきてしまい、非常に面倒臭かった。



 しかし、そのおかげもあり、カムイちゃんの罠解除のスキルがかなり上がったようだ。終わりの方になると、こちらが鑑定するまでもなく罠の種類を見分けてたっけ、、、。何でわかるんだよ、、、。



 地下3階部分からではあるが、宝箱から金貨だけでなくいろいろなアイテムやら武器防具やらが入っており、そういった意味でも苦労に見合った収穫はあったと思う。ちなみに4階部分の魔物は人型が多かった。言うまでもなくパワーアップしているようだ。けど、昔のゲームみたいにただの色違い、、、。



 これ以上階段を降りてもあまり意味はないので、とりあえず地下1階に戻ってエレベーター的な部分へと移動する。エレベーター的なものについては、2階部分と3階部分でもあったにはあったけど、やはりここは1階部分から降りていくのが様式美だと思い、多少面倒ではあったけど1階部分まで移動した。流石に魔物などは復活していなかったので、やはり階段というよりは、ワープ的な何かなのだろう。



 改めて地下1階部分のエレベーター的な装置に到着する。2階部分と3階部分にはボタンみたいなものが存在していなかったが、ここにはしっかりとあった。ひょっとしたら、一方通行なのかもしれない。試さないけどね。本当に一方通行だったら、戻るのが面倒だしね。



 Dのボタンを押して、地下4階部分へと到着する。ちなみに、1階がA、2階がB、という感じで、階層ごとにアルファベットが下るのは同じだったかな。目的は、4階部分にある管理室みたいなところである。以前やったゲームを回顧しているわけではないので、ここからはアッサリ目で、、、。



 守衛的な魔物であるが、人型だと思ったら違っていた、いや、オークの集団だから一応人型になるのかな。編成はオーク5体にオークリーダー3体、それとオークキング2体のオークエンペラー1体という構成である。・・・これ、どうするんだよ、、、。私達はこの程度なら大したことないけど、通常のパーティの場合、ここ通過できるのかな? まあいいか、とりあえずは倒してしまいますかね。



 エンペラーには私が、キングにはマーブルが、リーダーにはジェミニが、通常種にはライムとカムイちゃんで相手をすることにした。私は少し時間がかかるかもしれないから、マーブルとジェミニには、相手を仕留めたら、ライムとカムイちゃんの援護に回るように伝えた。



 マーブルとジェミニは瞬殺だった。ライムとカムイちゃんも結構あっさりと倒してしまい、マーブルとジェミニの助けは必要としなかった。その一方で私は少し苦戦していた。というのも、矢がなかなか放てなくて苦労していたのだ。弓ではなく格闘戦でいけば、それほど時間はかからずに仕留められるが、弓の練習のためにもここは是非とも矢で仕留めたかった。腐ってもエンペラーである。上手く懐に入ってしまい、タイミングが上手くつかめなかったが、そのおかげで、こんな状況でも矢が放てる訓練としては、かなりよかったのではないかと思う。最終的に隙ができたので、蹴り飛ばして距離ができたので、ようやく矢を放つことができた。オークエンペラーはまさかこの至近距離で矢を放つとは思わなかったらしく、対応できないまま心臓を射貫かれて終了。宝箱を開ける前に、お肉を回収回収。



 ホクホク顔でオーク肉や装備などを空間収納に収めて、改めて宝箱の罠解除を行ってもらう。罠を調べていたカムイちゃんがいきなり真顔になった。



「カムイちゃん、どうした?」



「アイスさん、この箱の罠、意味わかんないんだけど、、、。」



「意味がわからない? 今まで見たこともないタイプ?」



「うん、それもあるんだけど、これって罠なの? ってやつかな、、、。」



「なるほど、どれどれ。」



 私も鑑定をかけると、「ケイジバスター」と書かれていた、、、。これってシリーズものなの? エイジとかレイジとかがあって、今度はケイジですか? 顔にペイントしたら、毒霧吐いたりとか、片足ついた状態の相手に対して走り込んで膝を当てたりするんですか? って、もしかして、膝に影響を及ぼすとか? その前に、この世界の人ってエイジだのレイジだのケイジだの言われてもわからないよ?



 しばらく「ケイジバスター」の状態で眺めていると、罠の内容が変わった。「メイジバスター」らしい。とりあえず麻痺消しのポーションを用意して試しに罠解除無しであけてもらうことにした。仮に対象となるのはマーブルか。私は魔法が使えないどころか、魔力が無いからね。いや、ここは私が開けますか。ということで箱を開けると、光が真上に飛び出してから、5本に別れて私を含めた5人にその光が飛び込む。軽い衝撃こそあったけど、特に変化はなかった。念のため自分たちでも鑑定してみると、やはり何ともないようだ。とはいえ、冒険者達は基本職業があるから、魔法使いというか魔術師の職業に就いていたら結構やばいとは思う。



 それはそうと、みんな無事だったので、ホッとしつつも宝箱の中身を確認する。いつも通りの金貨と武器と何かの指輪が入っていた。マーブルが指輪に対して反応した。それに警戒しつつ鑑定をかけてみると。



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『暗殺者の指輪』・・・ふむ、これはかなり危険な指輪じゃな。間違って装備してしまうと、自分の生命力が減っていってしまうぞい。しかも、これをつけてしまうと、外すのは困難じゃ。良くない筋からは超高額で売れるかもしれんが、これを売ってしまうのは人としてどうじゃろうか。手に余るようならワシらに預けてくれれば責任持って処理するぞい。まあ、お主が何かに使うというのであれば反対はせんぞい。


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 やはり、ここでもこれか、、、。とはいえ、これは何かに使えそうだからとっておくとしますかね。もちろんこれを贈ってどうこうとかは考えていない。



 この部屋は、一方通行だったので、戻ることはできなかったが、扉を入って正面にドアが見える。ここを通ればいいのね。扉を開けて進むたびに魔物が出てきたので、その都度蹴散らして、お宝も手に入れた。このエリアでも、同じように人型の魔物のようだ。オークが出てきたのはこの階層ではあの場所だけかもしれない。いや、待てよ。ここに来ればオーク肉がいくらでも手に入るということではないのか? オーク肉が欲しくなったら、ここに通うとしますかね。地下3階以降が固定であることが前提だけどね、、、。



 部屋を移動しつつ魔物を蹴散らし、お宝を得ること数回、行き止まりの部屋まで来た。部屋には青い勲章のようなものが浮いていた。部屋から何か声が聞こえてきたが、聞いていなかった。大丈夫だ、どうせ大したことは言っていない。声がようやく聞こえなくなると、勲章がこちらに飛び込んできた。ここではリボンじゃないのね。リボンを手に入れたら、マーブルかジェミニに付けようと考えていたのに残念。



 ちなみに、この勲章はベルトのバックルにつけられるような形状をしていたので、ベルトのバックルに付けるようにした。これで地下10階部分、いや、このダンジョンの地下3階の下り階段を目指すことができそうだ。



 今回は結構探索できたな、と思っていたら、時間的にもいい時間となっていたので、地下1階部分にある、昨日も利用した転送装置でダンジョンを脱出して、砦へと戻り、いつも通りに過ごして今日は終了した。



 ウルヴ達が戻ってくるまであと3日くらいはあるかな。残りの日もあのダンジョンの探索を続けるとしましょうかね。マーブル達も賛成してくれているし。カムイちゃんも大丈夫そうだ。

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