第59話 和希は私のお友達に大人気だった。
和希と婚約した次の日の月曜日。
私はお昼ご飯を食べお友達と雑談中。
「いいなぁ。好きな人と婚約ってひばりん羨ましい〜」
周りには仲良しお友達が沢山いる。新学期に悪い噂が流れても私を信じてくれた素敵なお友達。
「えへへ。お父さんが勝手に話を進めちゃって、和希があっさり受けちゃってビックリしたけどね」
「え〜。ひばりんの作戦でしょ? 家に連れて行けば、お父さんが結婚の話するって分かってたんでしょ?」
「あっ、バレた? 和希を気に入っているお父さんならそうするかなって思ってたのよね」
「あはは。ひばりんパパはひばりんの事を溺愛しているからね〜。お気に入りとの結婚は最高の組み合わせなんだろうね」
「そうだね」
みんなが祝福してくれている。嬉しい。特に仲の良いお友達にはテルとの事は夏休み前に話をしていた。落ち込んでいる私を励ましてくれた。
和希の事も夏休み中にチャットや電話で話はしていた。でも私が和希の事を好きとは教えていない。
今日教えた。……ん? お友達はニヤニヤしている。どうしたの?
「やっぱりあの夏祭りの浴衣カップル告白は演技じゃなくマジだったんだね」
「う、うん」
「そっかそっか。スッキリした。動画撮って何回も見たけど演技に見えなかったからね」
お友達は和希を見たくて夏祭りに来てたのは知ってた。動画は撮るよね。う〜。恥ずかしい〜。
「でもさっ。
「そんな事言わないの。私はもう気にしていないからね」
彩子は私の幼馴染でテルを奪った女の子。クラスメイトであの事件以来、誰からも相手にされなくなった。いつも一人でいる。今日も一人でお弁当を食べていた。
毎日学校には来ている。別にいじめには遭っていない。みんな彩子と関わりたくないだけ。自分の彼氏をとられるのは嫌だからね。
仕方ないよね。みんな自分が大事。でも私とは仲良くしてくれてる。『何かあったら守ってあげる』って言ってくれてる。私は素敵な友達を持ったよ。
文化祭に和希が来ると言ったらお友達は騒ぎ出した。『超イケメンが来る〜。お話したい〜』だって。和希は大人気だぁ。
◇◆◇
私たち三人の事は学校中に広まっている。学校関係者で知らない人はいない。そして校長先生に呼び出されるまでに発展した。新学期二日目の事だった。
私は校長室で真実を全て話した。そう全てを。
その時いたのは私達三人と、年配の女性の校長、年配の男性教頭、若い女性の担任。それから年配の女性の三年主任。
みんな返答に困っていた。最終的には私の堂々とした態度に先生達はテルと
日頃から真面目にしているといい事あるんだね。
そうなると二人は罪のなすりつけを始めた。見ていて滑稽だった。
二人とは生まれた時から幼馴染。酷いことをされたけどまだ情はあった。でもそのやり取りを見ていて完全に情は無くなった。救済する気は起きなかった。
人ってあそこまで落ちぶれるのかと思った。
テルはリーダー的存在だった。野球部でもキャプテン。私が生徒会長の時の副会長。素敵だった。
彩子は可愛かった。男子に人気があった。告白もよくされていた。会うたびに彼氏が変わっていた。
どこで二人は道を間違ったの? 私のせい? 私がテルと付き合ったから? それが全てを狂わせたの?
でももう過去のこと。考えても仕方ない。キッカケが私でも誤ちを犯したのはあの二人。私の敵になったのは事実。
そして彩子の目はまだ死んでいない。何かしてくると思う。おそらく和希が来る文化祭で何か仕掛けてくる。勘だけどね。
私は普通の女の子。聖女や女神じゃない。敵と認識した相手に情けはかけない。
その時は返り討ちにしてあげる。覚悟してね、
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