第55話 おじさんからまさかの提案。

 雲雀さんの家に到着した。初めてきた。


 ——でっ、でけぇぇぇぇ。


 雲雀さんお家は予想以上に大きかった。豪邸だ。周りの家も大きいけど、雲雀さんの家は特にデカい。


 俺の家も大きい方だけど……二倍はあるんじゃないのか?


 玄関に入ると雲雀さんの父上と母上がお出迎え。おいおい、家政婦さんもいるよ。


 玄関入ってすぐのリビングルームに案内された。。おいおいスクリーンシステムもあるよ。


 それと広い庭がありプール付きって……さすが徳川グループ会長のお嬢様。


 ちなみに俺のお父さんは徳川グループの社長……てへっ。


 でもね、すごいのはおじいちゃんやお父さん達であって俺は普通の男の子なんだよねぇ。


 フカフカのソファーに座る。目の前に雲雀さんの両親。俺の隣に雲雀さん。


 うう。緊張。この前会ったばかりだけど状況が違う。でも頑張る!


「えっと、おじさん、おばさん。俺雲雀さんと付き合うことになりました。よろしくお願いします」


 頭を下げた。うう、無言だ。どうしよう。いつ頭を上げたらいい?


「和希君」


 雲雀さんのお父さんが俺を呼んだ。俺は頭を上げた。……あれ? ん? ムキムキマッチョのダンディなおじさんがニコニコ顔だ。


「和希君、いつ雲雀と結婚するのかな?」


「え?」


「もう、パパったら。かず君がびっくりしているじゃない」


「そうだよ。お父さんはせっかちなんだから。今日恋人になったばっかりだよ」


「いや、しかしな。私は和希君の事を気に入っている。手放すのは惜しい。先手先手でいかないと……そうだ! 二人は婚約しなさい。それで手を打とう。さっそく弟に電話だ」


 はい? 婚約? マジで⁉︎


 俺が驚いていると雲雀さんのお父さんは携帯端末で電話をかけた。


「おう弟よ。おまえの息子の和希君が家に来ているんだが……そう。雲雀と恋人になった。

 それでだ。和希君と雲雀を婚約させたいのだが……そうか! おまえも大歓迎か! さすが俺の弟。決まりだな」


 おじさんは電話を切った。


「と言うわけだ。今日から二人は婚約者だ」


「やったね和希。私は和希の婚約者になるよ〜」


 え⁉︎ 雲雀さんホンキ⁉︎ うっ、嬉しいけど。いきなりすぎない! 俺のお父さんも即決ってなんなのいったい!


「和希君。まさかとは思うが、どこぞの馬鹿と同じで雲雀とは遊びと言うのかな?」


 普段優しいおじさんの顔が怖い。ここでオドオドしてはダメだ! それに挑発されている。あえて乗りましょうその挑発に!


「おじさん。俺は真剣です。どこぞの大馬鹿と同じにしないでください。雲雀さんと婚約します。これからもよろしくお願いします」


 俺は立ち上がり頭を深々と下げた。


「和希……素敵」


「ふむ。いやすまん。堅苦しくなったな。和希君ありがとう。娘をよろしく頼む」


 頭を下げている俺の両肩を持ち、俺の上半身を起こすおじさん。圧がすごい。そしてぶっ飛んでいる。


「はっはっはっ。私は嬉しい! では、お昼にしようか」


 おじさんがそう言うと、家政婦さんが数人、超旨そうな肉や魚料理を持ってきてテーブルに並べられた。


 雲雀さんに妹の杏樹ちゃんの事を聞いたら、部活でいないとの事。


 そしてみんなでお昼ご飯を楽しく食べた。


 ◇◆◇


「ご馳走様でした。和希、私の部屋に行こっ!」


「う、うん。ごちそうさまでした」


 そして俺はおじさんとおばさんに頭を下げ、二階にある雲雀さんの部屋に行った——。

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