第70話 鬼王誕生
ジャックが火達磨になった──
それは何者かによる口封じに他ならないだろう。僕の命を狙った第三者がいる。その事実に僕は《王》とはなんなのだ?と言う疑問を覚えた。
王──それは即ち最も偉く最も力の持った権力者。しかしこの世界の王はそれだけでは無い気がした。
だがそれを知るかもしれない天鬼も体の中に融合されてしまってもう聞くことが出来な………。
え?聞くことが出来なくても記憶の中に~天鬼の秘密のメモリー♡~と言う本棚があるんだが。なんじゃこりゃ。
えっと……まぁ……なんだ?
一応読んでみるか。脳内で巫山戯た名前の本棚からこれまた巫山戯た題名が書かれた本を手に取り表紙を捲った。
その名も──天鬼~愛のメモリー~
……なぜだか精神にダメージを負った気がする。
よし!気を取り直して中身を見てみるか。……なになに?今日の下着はエグセストスパイダーの糸を編んだトゥルットゥルの勝負下着よ!見てなさい!私の魅力で貴方なんてイチコ………
なんだよ。どうでもいいことばっか書いてあるな。まぁ大体予想通りなんだけどね。これってただの日記?天鬼の完全プライベートだな。でもまぁ鬼のプライベートを覗く機会なんて滅多にあるもんじゃないし他の本も見てみるか。
ん?……なんだこれ……。これマジかよ。
脳内にある本棚の中でも特別厳重に保管されてあり……というか鎖でぐるぐる巻きにされている禍々しい一冊の本。その題名に僕はドン引いた。
その題名たるや……この世界の常識を簡単に覆すものなのだ。
……まぁ見なかったことにしよう。うん。それが一番いい。
僕はその本からそっと目を逸らし……脳内にあった本棚から現実世界へと帰還した。
「……ネ…ル様!」
「ライネル様!」
「…?ん?何?別に僕寝てないよ?」
「ああよかった。ライネル様ってば……白目にはなるしヨダレは垂らすしで何か違う世界へと逝ってしまわれたのではと思ったのです。」
はははは。そんなことになってたのか。天鬼の本棚を見る時は周囲に護衛をつけてから見ないといけないな──
「……で……どうなさったのですか?」
「あ……うん。天鬼の記憶を見てたんだよ。」
「え!?鬼の始祖の記憶を見ることが出来るのですか?」
「うん。そうみたいなんだ。天鬼の記憶……まぁ殆どが日記みたいなんだけと中には世界の理をぶっ壊しちゃいそうな文献もあってね。まぁこればっかりは鵜呑みにせず自分の目で確かめて見なけりゃだけど……でもその話が確かならジャックやエルザに襲われたことも……そして僕が王にならなきゃ空白の大地が無くなることも説明がつくんだよ。」
「……そ、そんなことが……ですが……理解はしました。私が邪推したところでライネル様の足を引っ張ってしまうだけ。ならばこの身果てるまでライネル様のお傍にて尽力する事を違うのみでございます。」
「……ははは。ありがとう。とりあえずみんなの待つ集落に戻ろうか?」
「「はい!ライネル様(王)!」」
こうして僕は鬼族の長……鬼王となったのだ。
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第3章これにて終了です。
1時中断させて頂きます。
ご愛顧頂いた方々ありがとうございました。
また別の作品も書いている途中なのでよろしくお願いいたします。
謎の職業《天気予報士》は全ての魔法使いが羨む職業でした たまごちゃん @tama-gon0310
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