空蝉
ベンケイ
鬼人
七月の中旬。学校は夏休みへ入ろうとしていた
「あーあっちぃ。早く夏終わんねーぇかなー」と掠れた声で言うゆたかであったがそれもそのはずだ。
今日の大阪の気温は三十三度で猛暑日だ。
「なんか起きねぇかなー。どうせ暇だし」「私も暇〜」「僕も暇だ」
とゆたかの言葉に賛同するゆめかと僕。
学校の課題は終わったし遊ぶ約束もない。そう、僕たちは
暇人なのだ。「今日の終業式終わったらみんなで東京行かね?」
とゆたかが言うとのぼるとゆめかが同時にこう言った。「いいね!」
「じゃあ、昼頃にいつもの場所に集合な!」と告げてから、解散した。
そして、家に帰り東京へ向かう準備をし時間通りにいつもの公園へと向かった。
「よーしみんな居るな。」「うんっと、のぼるとゆめかが同時に答えた」今日はやけに声がハモる為二人は見つめあっていた。だが、やはり恥ずかしかった為二人共顔が赤らめた。
耐えれなかったのか先にゆめかが話の話題を変えた。ゆたかの顔を見るとムスッとした表情でこちらを見ていたがそれをスルーした。
「み、みんなで一緒にお出かけって久しぶりだねー。のぼるもそう思わない?」
「う、うん、そうだね。最後に行ったのは中学三年の時だもんね。だいぶ時間が経ったね」
とたわいのない話をしているとすぐに東京へと着いた。「せっかくだし秋葉原に行こうよ」
とゆめかがキラキラした目でこちらを上目遣いでこちらを見た為「あぁ」としか答えようがなかった。
そして、お店に入ろうとした途端視界が急にピカッと眩い光が出て少しパニクったが
三、四秒で視界が戻った。「なんだ?」と周りの人々も同じ光が見えたのか騒ぎ出した。
それと同時に、上からドンと言う音が鳴り響き皆一斉に顔をあげるとそこには
人間とは到底思えない生き物が宙に浮かんでいた。「我らは鬼人という。人間で言う鬼だ。
いちよう言っておくが幻覚でもなんでもない。全て現実だ。我らの事が見えているの日本人だけだ。」と言う何を言っているのかわからないが一つわかったことがあった。これは夢でも幻覚でもない現実だということ。そして日本人にだけ鬼の事が見えるらしい。
「我らがお前たちに姿を見せたのはあることをしてもらうからだ。それは、サバイバルゲームだ。ルールは簡単。人を殺すことだ。人を一人殺すと一ポイント。友人を殺すと二ポイント。最後に1番高得点な家族を一人殺すと五ポイントだ。明日から一週間だけサバイバルゲームをしてもらう。一週間以内に五ポイントいかなかった物には死を与える。嘘だと思うのも良いが、後悔するぞ。」と凄い威圧感や宙に浮かんでいることも含めて嘘とは思えなかった。「では、幸運を祈る。明日から一週間後にまた来る。さらばだ」と言い残し空へと帰っていった。「もしあれが本当だったらどうしよう...ゆたか、のぼる...」と
ゆめかが訴えているだが、こちらもかなり動揺している。「とっ、とりあえず家に帰るか...」と頼もしい声でゆたかが話しかけてきたおかげで多少なりとも気が休まった。そして家へと足を運ばせた。
家に帰り母が話しかけてきたが、それをスルーしてテレビを付けた。やはり、あの鬼のことばかり報道されている。
「母さん、本当だったらどうしよう」と泣き顔でこちらを向くので母はなんとも言えない顔で顔をこちらへと向けた。そして時間が経ち父も家に帰ってきた。だが、今日はいつもと違ってとても物静かで不思議な感覚だった。それもそのはずだあんなことが起きたのだ。普通の人の反応は今の状況と対して変わらないのだろう。そして、一言も発せずにベッドへと足を運んだ。中々寝付けなかったがずっと目を瞑っているうちに寝てしまっていた。
空蝉 ベンケイ @bennkei
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