第29話 車を買いに行って見た

「おはよう俊樹兄ちゃん」

「香織おはよう」


「お弁当屋さんは十時からだよね? 朝ご飯はいつもどうしてたの?」

「基本コンビニかファミレスのモーニングだな」


「そうなんだ、ご飯と味噌汁とか作ったほうが嬉しいなら作るよ?」

「いや、それだと家事をして貰ってる様で俺が恐縮するし、基本外食にしないか?」


「えぇ、俊樹兄ちゃんがそれでいいなら構わないんだけど、手間を考えるとね女はシャワー浴びて化粧してからじゃないと出かけられないから、朝ご飯作るのと手間は変わらないんだよね」

「そうなのか? まぁ今日は食材の買い置きも無いから食べに行こう。シャワー浴びてきなよ」


「解ったよ、俊樹兄ちゃんはもうすぐでも出れる感じ?」

「まだ歯を磨いて無いから、顔洗って歯を磨けばOKだ」


「解ったぁ、じゃぁちょっと急ぎで浴びて来るね」


 俺は香織がシャワーを浴びてお化粧をする間に、小説投稿サイトの確認をしていた。

 いやぁ絶好調だな。

 総合、ジャンル別共に二位だった。


 感想ページを眺めていると、小説への感想とイラストへの感想が半々ってとこだな。

 ぉ、ちょっと気になる感想見かけたぜ。


『いつも楽しく拝見しています。イラストに関しての質問ですが、ご自分で描かれたという感じよりも、写真データをイラストに変換したようなイメージですね? 背景の書き込みとか細かすぎるので…… ま、まさか……実写ですか? こんなコスプレ写真撮らせて貰える所が有るなら紹介して欲しいです!』 Kejakura


『感想ありがとうございます! リアリティを追及してますので!! 本当にシスター服着たこんな美人が居たりしたら、良いですよね!』 テネブル


 ムムッ見る人が見れば判るもんなんだな。

 切り抜き加工をしてから、イラスト化したほうが良さそうだな……


『テネブルって魔法は使わないんですか?』 ユーキ


『感想ありがとうございます! 覚えれば使います!! まだ覚えて無いんです』 テネブル


『マリアはまだ引っ越ししないんですか?』 sooop


『そう言えばそんな話出てましたね! きっと孤児院の改築で大きなお風呂とか作っているから、当面の引っ越しの必要性が無くなったのかも? マリアに聞いておきます』 テネブル


『感想の返事が本当に実際に住んでて、体験している様な感じなので、感想欄も楽しみにしています』 miyumiyu

『作者は黒猫テネブルになりきって妄想膨らませていますので!』 テネブル


 適当に何件かの感想返信をして居たら、香織の準備が整ったようで、一緒に出掛ける事にした。

 車は軽のスズキハスラーだけど、これはちょっと買い替えたほうが良いかな?


「香織は車持ってるのか?」

「私は持って無いよ、免許はあるけどね? 維持費掛かっちゃうし母さんと二人暮らしだったし一台ずつ持つ必要は無かったから」


「そうか、この車使うか? 俺は新しいの買おうと思うから」

「いいの? 俊樹兄ちゃんはどんな車買おうとしてるの?」


「そうだな、収入的には困って無いし、思い切っていい車買っちゃおうかな? 荷物はインベントリで運べばいいし、スポーツタイプの2シーターとかでも問題無いからな?」

「何だか凄いね。今日は何時になったら行けるんだっけ?」 


「十六時までは行けないな」

「そっか、その間に車屋さんに見に行こうよ」


「それもいいな」

「香織は向こうの世界に持って行く荷物なんかで、買いたいのとか無いのか?」


「あ、ちょっとペットショップに寄りたいかな?」

「ペットショップ? なんでだ?」


「だってぇ、マリアの撮ってくれた写真でね、私が後ろ姿のが有ったんだけど、お尻の穴まで丸見えだし、『嫁入り前の女子としてそれはどうなの?』って自問自答が繰り広げられたから」


「ああ気付いたか……言ったら恥ずかしがると思って、言えなかったぜ。でも犬だしそれで俺が興奮する事はあり得ないから、気にしなくても大丈夫だぞ?」

「それでも一応隠したいの!」


 ファミレスのモーニングセットを二人で食べた後に、お弁当屋さんを回って全部で三百個のお弁当を回収して回った。

 まだ暖かい弁当が多くて、ちょっと嬉しかったぜ。

 車に積み込む振りをしながら、全部インベントリに入れたから、きっと温かいまま向こうの世界で楽しめるぜ。


 弁当屋の後は車を探す事にしたが、やっぱり国産が良いかな?


「ねぇ俊樹兄ちゃん予算はどれくらいで考えてるの?」

「そうだな、自分にもっと頑張れって叱咤する為にも、今の俺の通帳に入ってる丸ごとくらいの金額で買おうかな?」


「それってどれくらいあるの?」

「そうだな千六百万円位かな?」


「凄いね。じゃぁさレクサスの販売店行って見ようか?」

「OK」


 香織に薦められるがまま、国産ブランドでは文句なしにNO1の高級ブランド、レクサスのショールームを訪れた。


 軽のハスラーでレクサスに入って行くのも、チープな感じだがそれでもここの従業員さん達は、教育が行き届いていて一流ホテルも顔負けの接客態度で接して来た。


 流石に凄いな。

 一目惚れしたLC500のコンバーチブルを、最速納車でいつになるか聞いて見たけど、人気が高く受注発注で早くても二か月かかると言われた。

 悩むぜ。


 ここで他の車にするくらいなら、思い切って外車でもいいかなと思って、取り敢えずは、決めずに帰った。


「二カ月は待ちたく無いよなぁ」

「結構せっかちなんだね」


「取り敢えずペットショップ行こうか?」

「うん」


 ペットショップに付いてリュミエルが着れるサイズのペット用衣装を見てみたけど……


「俊樹兄ちゃんこれ駄目だね」

「うん。そうだな問題が解決してない」


 ペット用の既製品衣装は体を隠してもお尻は丸出しだった。

 まぁお尻隠しちゃうと散歩で、う〇こする時不便だし、お尻隠す服に需要は無いよな。


「ペット用おむつくらいしか隠せるの無いよ……それはそれで別の羞恥プレーだよね」

「とりあえずオムツ買っとこうぜ? お尻の穴丸出しの方が厳しいだろ? イメージ的に」


「そうだよねぇ、次に帰って来た時にオーダーメードで作ってくれる人探すよ」

「それじゃそろそろ良い時間だし、爺ちゃんの所に顔出して向こうに行くか?」


「了解」


 ハスラーに乗りこみ自宅へ戻った。

 地下に降りる時に手を繋いでなかったんだけど、一度地下で爺ちゃんに会ったことに拠る効果なのか、今日は香織にもちゃんと入口が見えた。


 これなら、王都往復中に一人で戻っても安心だな!

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