ディミトラーシャvs.ムネヒト(下)

※ちょいエロです。苦手な方はご注意下さい。

 

 ディミトラーシャは手枕に顎を乗せて俯せになる。臀部から下にタオルケットが掛かっているだけで、後は裸だ。

 俺は何とか断ろうと頑張ったが、結局は押し切られてしまった。

 ショーツくらいは身に付けているだろうけど、ブラらしき物は見えない。つまり、このまま仰向けになると――。

 ブンブンと頭を振り、陶器製の水差しから人肌プラス二~三度程度に温まった液体を自分の手に垂らしてみた。

 この無色透明でトロトロした液体は、マッサージ用のポーションだそうだが……どうみてもローションだった。ほのかに甘い香りがする。アロマでも入っているのだろうか?


「これ、本当にポーション……?」


「ポーションでありんすよ?」


「そ、そうか……」


「ローション・ポーション(オイルタイプ)でありんす」


 やっぱりローションじゃないか!

 そうツッこみたくのを堪えて、俺はポーションをトクトクと彼女の背中に注いでいく。


「ん……っ」


 肩甲骨の辺りから腰まで垂れ、窪みに極上を池を作った。


「えっと……じゃあ、始めます」


「いつでも」


 上手く呑み込めない生唾をムリヤリ喉へ押し込んで、ディミトラーシャの背に両手を下ろした。


「ぅ、わ……」


 オイルのせいだけじゃない。信じられないほどスベスベした肌だった。

 それに、背中は前面に比べて肉の薄いイメージがあるが、しっかりと弾力がある。


「ぁぁ……はぁ……くふふ、どうしたでありんす?」


「い、いや……何でも……」


 男の生き様は背中に現れると言うが、女性にも当てはまる物らしい。シミ一つない肌は、自分では見えない場所にも心を配っている証拠だ。生まれもった美貌だけでは、きっとこうはならない。

 また、ディミトラーシャの背面は表情豊かだった。腰の辺り、臀部に繋がる肉の付き方、肩甲骨の薄い盛り上がり。

 男とは違うタイプの逆二等辺三角形に似た眩しい裸体は、古の彫刻家が心血を注いで磨き上げたに違いない。

 そして、その三角形の辺を不自然に歪めるもの。俯せになったディミトラーシャの左右の脇辺りに現れた曲線。


 もちろん、はみ出したおっぱいで御座います。


 ミルシェにマッサージした時もそうだったが、おっぱいの大きな女性は俯せになると自重で潰れてしまい、左右に頭を(乳頭ではない)出すのだ。

 俯せで寝るとおっぱいが潰れて苦しいだけでなく、形まで崩れるという。かといって仰向けで眠れば左右に広がって痛いし、またしても形も崩れる。

 つまりナイトブラが必要な訳だが、サイズが合わないと痛いし血行やリンパの流れも悪くなる。

 おっぱいは幸せそのものだが、苦労も堪えない。

 B地区の皆が「良いよ」って言ってくれたら、俺は一晩中おっぱいを支えてやるのに。毎晩八時間、完璧な熟睡を提供してあげたい。


「……いま、別の女の事を考えていんしたね?」


 いきなり図星を突かれ返答出来なかった。


「この『クレセント・アルテミス』は地上の楽土、女神の乳房に溺れる場所。此処で他の女にうつつを抜かすのは、タブーでありんす」


 そんな事を言われても、ディミトラーシャだけに集中するとどうにも大変だ。

 ミルシェや先日のおみ足の時とは違い彼女は裸。シーツに沈むおっぱいが気になって仕方ない。

 コーラを飲んだばかりなのに、喉はカラカラだ。


「いつまで腰ばかりさすっているんでありんすか? もっと上の方もしなんし。最近……特に肩が凝って仕方ないでありんす」


 リクエストを受け、俺は彼女の肩へ両手を添えた。華奢な肩だ。このたわわなおっぱいを支えるには、確かに負担が大きいのだろう。

 ディミトラーシャの身体に触れているだけで不整脈を起こしそうだが、いざ施術を行うとなると、彼女のおっぱいを助けたいという使命感が湧いてくる。醜い情欲が薄まっていくように感じた。

 俺は肩もみの要領で親指の腹を首に近い所……首と肩の筋肉の中間くらいに当て、『乳治癒』を全開にして少しだけ強く押し込んだ。


「は、ぁアアん!」


 使命感がペロッっ剥がれましたわ。

 エビ反りになり(シーツから微離陸するおっぱいをしっかり確認)嬌声を上げた彼女にビビって、思わず沸騰中のヤカンに触れたみたいに手を引っ込めてしまう。


「す、すまん、痛かったか?」


 俺のベタな問いに彼女は首を横に振って答えた。その「痛くない」という答えもまたベタだ。ディミトラーシャは首を傾けて、背中越しに此方を睨んでくる。

 いや、睨むというよりは……。


「もう……ちょっと喘いだくらいで止めてしまうなんて、女心が分かっていんせんねぇ……いいから、早く続けなんし。決して止めてはなりんせんよ?」


 潤んだアメジスト色の瞳に念を押されると、首を縦に振るしかないような気がした。

 俺はこっそり自分の左乳首を触って瞬間賢者になると、再びディミトラーシャの背に手を下ろす。


「ん……んんっ」


 手のひらでローションを伸ばしながら、五本の指で背中をマッサージしていく。

 確かに肩辺りの凝りが酷い。Jカップは片胸でもやがて2500グラム程と言われており、その合計重量は2リットルペットボトルの二本分より重い。


「あ、あっ、は、ァん!」


「……」


 それを毎日24時間胸の前にぶら下げている苦労は如何程か。思わず机に乗せて休んだりしたくなるのも道理だ。


「ひ、ひィん、あっぁ、かっ……は、はぁ……!」


「……」


 気のせいか、ディミトラーシャの肩の凝りには左右で差があるように思えた。身体に歪みが全くない人間は居ないらしいが、彼女のそれは微細と言い表せるほどの域にない。

 初対面で感じた違和感は、やはり気のせいではなく――「あっ、ぁはぁぁぁぁあん! んっぅ、ハッ、ぁぁぁ――!」


「あの、もう少し声を落としてもらっても宜しいでしょうか!?」


 俺のおっぱい考察を邪魔すんな! よく響く声で喘ぎやがって!


「はー……はー……くふふっ、ぬしは小鳥に歌うなと説教するでありんすかぇ? それに、この階にはわっら以外には誰もおりんせん。どれほど声を上げても、構いんせんよ?」


「いやそうじゃなくて……」


「いいから、早く、続けなんし……もう途中で止めることは許しんせん……報酬が欲しくないでありんすか?」


 ぐっ……!


 色々な意味で歯を噛み締め、俺は再びディミトラーシャの背へ両手を下ろす。オイルの染み込んだ女肌は男の手に押され小さく波打つ。薄い脂肪と柔らかすぎる筋肉は、指を何処までも飲み込んでいきそうだ。


(集中しろ……! 邪な目で彼女を見るから邪な気分になるんだ! もっと純粋な気持ちで……赤ん坊のような気持ちでおっぱいに接するんだ!)


 その微細な組織を潰さないようにジワジワと力を入れ、骨格という底を目指す。深く根差したダメージの蓄積を、根こそぎに排除するつもりで『乳治癒』と『奪司分乳』を全開にする。


「あっ! はぁんっ! あっあっ、イイ……ぬしの手、スゴくイイでありんす……!」


 誰も感想なんて求めちゃいないんだぜ!

 腹の底から込み上げてくるある種の感情を噛み殺し、仕事に徹しろと自分に言い聞かせる。


(もっと横の方もした方が良いか?)


 首や肩だけでなく、肩甲骨から下の脇腹。広背筋の辺りへ両親指を添える。上半身でも最大級の筋肉をほぐそうと力を入れた時、中指が更に柔らかいものに触れた。


 いわずもがな、おっぱいです。脇腹と乳房の国境付近に思わず触ってしまった。


「――!」


「続け、なんし……も、ちゃんと、マッサージするんでありんす」


「けど、ここは……」


「ギルドマスターの、命令でありんす……!」


 命令か……命令なら、仕方ないよな……。


 誘われるように、俺は広背筋に添えた親指をアンカーにして、残りの四本の指を境界線の向こうへ渡した。背や脇腹も柔らかかったが、おっぱいのそれは比較にならない。軽く指を曲げれば、どこまでも内側に沈んでいく。

 俺の指を追ってきたオイルが彼女の乳房に細い川を作り、艶やかな肌を更に濡らしていく。

 それを指の腹で満遍なく伸ばし、おっぱいにオイルを染み込ませていった。

 痙攣しているのか、ディミトラーシャの全身がピクピクと震える。


「はーっ……はーっ……はーっ……!」


 早く荒くなる呼吸は、俺のものか彼女のものか。口と鼻の機能を全開にしないと、酸素が足らないような気がした。


「もっと、奥――」


「……は?」


「おく、もっと、深いところも、してくんなまし……」


「………………」


 何度目か分からない生唾を嚥下し、ディミトラーシャの身体の前側、おっぱいの内側へ指を入れていく。親指が背から離れ、脇腹と名付けられるとことに差し掛かる。

 指先が豊満な乳房と乳房の体温を吸ったシーツに挟まれてしまう。人肌だというのに、火傷しそうだ。


「んんっ! も、もっと……もっと、深く……!」


 彼女は枕に顔を埋めたまま、そう懇願した。両手は白いシーツを強く握り締めたまま戦慄わなないていた。


「こ、この辺りか……?」


 指を進ませる。第二間接辺りまでが乳肉に飲まれた。


「まだ、まだっ……もっと……!」


 更に進ませる。指が完全におっぱいの下敷きになった。


「ダメ、そこで止めちゃ、イヤでありんす……! もっと……!」


「でも、これ以上は……勘弁してくれ……」


 もう完全に揉んでいる。合計八本の指が、重く柔らかい物体に完全に幽閉されしていた。


「早く――! もっと、わっちの胸を触ってくんなまし――!」


 強い語気は強制力を伴なっていた。ほとんど無意識のうちに、俺は手を彼女の中心に向けて深く差し込んでいた。

 掌の三分の二以上までもがヌルリと乳房に埋もれていく。ヌルヌルしてふわふわしたおっぱいの感触が、手と精神を支配していくのが分かった。


「く、はぁぁぁ――ッ」


 信じられないほど柔らかいおっぱいは、手の平ので大きくたわみ、指の形に変化する。指と指の間から零れた乳肉がはっきり分かるほど、ディミトラーシャのおっぱいは柔らか過ぎた。

 人指し指と中指の間に異物が触れる。悪魔のように柔軟な肌の中、二箇所だけ硬くなってる部位があった。


「あ、そ、ソコ――……! そこを、もっと、触って欲しかったんでありんす!」


 ディミトラーシャの身体が大きく跳ねた。一瞬だが上半身ごとおっぱいがベッドから離れ、空気の通り道を作った。オイルの気化熱で一瞬の冷たさが手の甲を通過する。逆側は未だ熱い膨らみを支えていた。

 乳房に劣らぬ豊満な臀部が跳ね上がり、掛かっていたタオルケットを膝の裏まで後退させた。


 刺繍の細やかなローライズショーツは、臀部の半分以上を剥き出しにしている。生地は汗かオイルかで湿っていて、すっかり肌色だ。その女肌も今は桃色に染まりだしている。

 彼女はうつ伏せのまま、膝と太ももを擦り合わせるようにモジモジと動いていた。


 花のような、ブランデーのような香りが一段と濃くなった。むせ返るほどの薫香が鼻腔と理性を弄ぶ。経験が皆無だから分からなかったが、コレがきっと女の匂いなのだろう。


 息苦しい。危険なドラッグでも吸引してしまったのか、心臓が爆発しそうだ。


 だというのに、俺の手は彼女の乳房から離れない。

 ドロドロで、ヌルヌルで、フワフワで、プニプニで、でもズッシリと重い女の象徴を、この瞬間だけは俺だけが知っている。

 人差し指と中指は先端挟んだまま転がしている。その肉の蕾を指で弾くと、感電したように彼女の身体が跳ねた。


「あっ! はっ、ぁ、もっと、そう、そこ、ソコを! いっぱい、いっぱい、気持ちよくしてくんなんし――」


 ほとんど叫びながら、ディミトラーシャは両肘を突き両膝を立てて、初心者向けプランクのような姿勢になった。浮いて下垂した乳房が斜め後ろから見える。

 もう少し引き寄せてしまえば、重要な部分が丸見えになってしまう。歯と一緒に瞼を強く閉じた。

 乳肉の半分以上は俺の手とともにベッドに未だ沈んでいるが、ガクガクと身体を揺らしながら、今にもベッドから飛び立ちそうだ。


 オイルの滑り気と、ディミトラーシャと俺の汗が溶け合って最高の潤滑油になる。その流れる体液を溢れた母乳のようにシーツに吸わせながら、ディミトラーシャは嬌声を上げている。

 尖塔を優しく摘もうとすると、ツルっと滑って中々捕まらない。たまらなくなった俺は親指も援軍に出し、三本の指でディミトラーシャの乳房の中で最も敏感な部分を捕獲した。


「か、ひぃ、ぃぃぃぃぃっ、ぁぁぁァァアアアッ」


 ディミトラーシャは四つん這いのままおとがいを跳ねさせ、その反動で水色の髪が火の様に空間に舞った。

 ヒップは大きく突き出され、反対に上半身はベッドに崩れ落ちる。俺の手は再び、おっぱいとシーツに強くサンドイッチされてしまった。コリコリとした部位が手の平で熱く弾けて、未だ自己を主張している。


「はーっ……はーっ……さ、最高……でありんす……ぬしは、やっぱり、見込んだ通りの男でありん、しいた……」


 ゴッデスベッドに沈んだ彼女は、枕に頬を埋めたまま。額は新しい汗に濡れ、水色の髪を貼り付けている。


「ど、どうも……」


 頭が沸騰して、自分が何処に居るのかも曖昧だ。立っているのか座っているのかも怪しい。

 だが、ギリギリで残った。この粘り強さ、我ながら横綱級だと自賛したい。途中で非乳三原則を一つ破ってしまったが、むしろソコでよく堪えたと褒めてあげよう。

 あとはディミトラーシャのおっぱいから両手を回収し、ついでに自分の乳首を触って賢者になればミッションコンプリートだ。

 上も下も爆発しそうだ。一秒でも早く、この部屋から逃げなければ。


「あと、半分で、ありんすね……」


「ああ、お疲れ様でした。給料はしっかり弾んで――え?」


 彼女は起き上がり、背中越しに潤んだ瞳で俺を見てきた。


「次は、を向いて、してくんなんし……」


 止める間もなく、ディミトラーシャは身体を倒して仰向けになる。非乳三原則の二つ目を破った瞬間だった。


 ・


 惜しげもなく、彼女は自慢の乳房を彼に晒す。先日甦ったばかりの乳房が堂々と揺れているのが、ディミトラーシャは我ながら誇らしかった。

 後頭部を羽毛枕に乗せ、両手で髪をうなじから掻き出した。腕でバストを隠すような野暮なことなどしない。堂々とJカップのバストを見せ付ける。

 大理石も嫉妬するような白肌に豊満に実った双子の乳房。柔乳質なのだろう、やや両脇に向かって零れていきそうだった。

 ミルシェやリリミカ、メリーベルの乳房が青い果実なら、ディミトラーシャのそれは豊潤なワインと形容すべきだろう。丹念に育てられた極上の葡萄が、自身の努力や男達によって磨かて熟成された絶世のワイン。


 先端部分は色素は薄いが鮮やかな桃色をしている。地球で言うなら北欧美女のようなソレをしていた。

 乳暈もモントゴメリー腺などがほとんど見えない真円形であり、98センチの豊かなバストに対しては小さめだ。中央に在る授乳部位も比例して小さめだったが、既にツンと尖りきっている。

 それらも今は、ムネヒトのマッサージにより更に鮮やかに彩られている。彼に愛されるのを今か今かと待ちわびているように、ディミトラーシャには思えた。いや、実際そうなのだろう。


 薄い脂肪に覆われた肋骨が、仰向けになった事によって僅かに浮き上がっている。腰はワイングラスのように括れ、肉厚な肢体に対して可愛らしいほど小さなヘソは、縦向きに線を描いていた。


 約五年ぶりに男に晒されたディミトラーシャの裸体は、熱の篭った視線に貫かれ歓呼して震えた。ムネヒトの目になぶられてだけで、愛撫されているよな性感が背骨を滑走する。


 ムネヒトが自分の乳房に夢中になっているのが堪らない。

 ディミトラーシャの身体は『月夜の天女』とまで呼ばれた全盛期以上に輝いていた。それどころか、たった今マッサージをされただけで、また一段と磨かれてしまった。成長したと言ってもいい。


 肌はポーションと汗で淫猥に艶めき、色素の薄い桃色の先端は、彼女自身の記憶にないほど硬く屹立している。特に先日甦った左胸は顕著で、自分の血潮が脈打つだけでも気持ちいい。

 外からの雄の刺激と、内で猛る雌の本能が一緒になって、ディミトラーシャの乳蕾を痛い程に疼かせていた。


「ここが、切なくて仕方ないんでありんす……はやく、慰めてくんし……」


 今しがた達した身ではあるが、満足には程遠い。五年分には全く足らなかった。もっともっと強く貪ってもらいたいと、欲に乾ききった乳房と雌の最奥が淫らな叫びを上げていた。

 ディミトラーシャは双子の膨らみを横から揉み上げ、甘く痺れたきった尖塔を中心付近へ寄せる。彼にとって最も良く見える位置へ乳首を持ってきたのだ。

 左右に流れていた豊かな乳房は夏夜の海岸のように波打つ。その表面を桃の先端がゆっくりとのように漂った。


 見られて恥かしい肉体ではない。無いが、五年ぶりだからだろうか。凄まじい羞恥をディミトラーシャは感じていた。

 彼に裸の乳房を見られるのが嬉しくてたまらないくせに、信じられないほど恥かしいのだ。生娘でもあるまいに、涙が滲むほど恥かしい。だが、その羞恥心も情欲を昂ぶらせる一因だ。


「――――……ッ!」


 ムネヒトは瞬きも忘れ見入っていたが、痺れを切らしたのか遂に両手を伸ばした。

 だが、彼が触れたのは乳房ではなく遥か下。彼女のへ手を掛けたのだ。


「くっ、ふぅぅ、ん♡」


 予想乳首外の所に触れられ、もどかしさとくすぐったさで背を弓なりに逸らした。プルンと天井方向へ向かって弾む乳房にムネヒトの視線を感じながら、ディミトラーシャは大きく喘いだ。

 腰骨辺りを優しく包まれ、オイルで湿った親指が、内側を足の付け根から上へ向かってマッサージする。指の真下にある卵巣やその中央に座する子宮が一段と疼き、タオルケットに隠されたままのショーツを濡らす。


「ぁくっ……はっ、ひぁっ――♡ もう、焦らしてくるなんて、生意気でありんす……」


 ゾク、ゾク、と下半身から昇ってくる悦に身を震わせながら、ディミトラーシャは上半身を揺らした。グラスのウエストステムをゆっくりと往復していたムネヒトの手は、徐々にその位置を乳房ボウルへ移していく。


「あ♡ あ♡ あ♡ あぁっ♡」


 ディミトラーシャは注がれた豊潤な乳房ワインくゆらせ、彼の指を待った。肋骨の浅い凸凹を確かめるようにディミトラーシャの身体を癒していく。

 今までも様々なエステなるものを試してきた。医術や薬学盛んな王国は、美容や健康の分野においても他国を圧するだろう。


 それでも、これほどまでに乳房を気持ちよくしてくれる存在は記憶に無い。一時間で金貨十枚単位で飛ぶ完全予約制の最高級エステですら、こんなに感じた事は無かった。一秒ごとに癒され敏感になっていくのがはっきり分かった。


「もう、遠慮なんてしないで、もっと近くで見なんし!」


 堪らなくなったディミトラーシャは、手でムネヒトの首の後ろを掴んで自分の方へ強く引き寄せた。

 完全に油断していたムネヒトは彼女に覆いかぶさり、その谷間へ顔を埋めてしまった。

 黒い前髪の何本かが乳肌にチクリと小さく刺さる。彼の荒い息が彼自身に跳ね返り、ディミトラーシャの匂いを持ち帰っていく。


 起き上がった彼のほとんど目の前に、淫靡にしこり立った左の肉塔がある。黒い瞳に映るほど、彼は魅入っていた。

 あの時乳房と共にズタズタにされた女としての自尊心が、急速に回復していくのが分かった。


「あ♡ は、はぁ――――♡」


 そして遂に彼の五指が、ディミトラーシャの乳房を下から包んだ。どこまでも優しく、甘い手付きで。

 ムネヒトの指は麓から頂上まで道中を愉しみながら、乳肉を歪ませていく。痛みなど一切無い。信じられないほどの乳悦が乳首と子宮に奔る。ショーツは既に吸水性能の限界に達していた。

 親指と人差し指に中腹を絞られ、尖塔が一段と鮮やかに色付き、むにゅ、と上へり出された。


「……ぁ――ぁあ……」


 ムネヒトは全てを飲み干そうと、遂に左の乳首リムへ口を寄せた。唇から漏れる熱い吐息は、ふいごのようにディミトラーシャの先端を湿らせながら溶かしていく。


「――――♡」


 ディミトラーシャは捕食されそうになっている自分の一部を、潤んだ瞳で黙って見つめていた。


 ・


 金貨二掴みとはつまり、わっちのチブサを二掴みと言う事でありんす。いつだったか、わっちに贈る新品ブラジャーの中に金貨を詰めてきた男が居んしたが、アレは愉快でありんした。


 ともかく、どんな男もわっちの前では取るに足りんせんでした。


 このチブサと一目見るだけで豪傑は骨抜きにされ、一揉みするだけで賢者は猿になり、一舐めで勇者は赤ん坊へと落ちるでりんす。

 五年前に戻ることは出来んせんが、その時の絶望は利子をつけて幸福へと転じんした。


 ――気持ちいい。これが欲しかったでありんす。


 久しぶりの男の目、男の指、男の手、男の愛撫。良い男に抱かれている時こそ、自分は良い女だと強く実感できるでありんす。

 どれほど強かろうが、どれほど賢かろうが、どれほど偉かろうが、男はコレおっぱいからは逃れられんせん。皆、コレが大好きなんでりんす。

 ああ、本当に気持ちいい。揉まれるだけで悶えるなんて、我ながらなんてイヤらしい女なんでありんしょう。


 目の前の男はわっちが抱いてきた歴代の者達の中でも、ピカイチのおっぱい好きでありんす。

 くふふっ! オリオンってば、ちょっと涙ぐんでいんす。泣きながら、わっちの胸を揉んでいんす。息が凄く熱いでありんす。


 そんなに大きいかぇ? そんなに綺麗かぇ? そんなに美味しそうかぇ?

 ――勿論、ぜんぶ正解でありんす。

 わっちの胸は大きい。わっちの胸は綺麗。そして、わっちの胸は美味しいでありんす。


 あ……♡ わっちの胸にしゃぶりつきたいでありんすか? 犬山コロみたいに、ベロベロ舐め回したいんでありんすか? チュウチュウって、赤ん坊みたいに吸い付きたいんでありんすか?


 くふふふ……構いんせんよ、ぬし様になら。好きにねぶってくんなんし♡ 今、ぬしが咥えようとしている左胸そっちは、他ならぬぬしが救ってくれた乳房でありんす。

 だから、ぬしに貪り食わせるのに何の躊躇いもありんせん。むしろ五年振りに抱く最初の男は、ぬしと心を決めておりんした。


 だから存分に味わってくんなんし。きっと、ぬしも気に入ってくれるでありんす。どれほどの欲望をぶつけられても、どれほどマニアックな要求でも、わっちは平気でありんす。


 早く、早く、早く。わっちの哀れなチクビを、ぬしの唾液でベトベトにしてくんなんし。ああ、あと、ホンの数ミリが遠いでありんす。

 もう、わっちも我慢できんせんの。ぬしという男を、食べてしまいたい。何もかもを奪って、このディミトラーシャという女で染め上げてみたいでありんす。


 忘れられない夜にしてあげるでありんす。だから早く、わっちを、犯してくんなんし。


「…………おや?」


 ……いくら何でも遅いでありんすね? どうしたんでありんしょう?


「……」


「……」


「…………」


「…………オリオン?」


「……オイルだらけだ。もう一度、シャワーを浴びた方がいい」


「…………は? あれ、え?」


 そう言うとムネヒトはわっちの乳房から離れ、申し訳無さそうに口元を拭っていんした。そしてベッドから起き上がり、背を向けてしまう。

 それから「マッサージに徹せなくてゴメン」と呟いて、彼は足早に部屋から出て行ってしまったでありんす。

 現状が一切把握できんせん。自分の火照った身体だけが、はっきりしていたでありんす。でも、行動の結果だけを抜粋するなら――。


「…………――は?」


 ムネヒトはわっちを、このディミトラーシャをベッドに置き去りにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る