第四章 休暇のはずだった
第31話 海に行こう!
アラームの音で、いつもと同じ時間に目覚め、1日過ごして……というリズムの良い生活を送っている。だというのにだ。
「みーんなーー! おーきーてー!! 」
1番早く目覚める、1番うるさい人のせいで目が覚めた。まだ、アラームが鳴るまで30分もあるのに。聞こえないふりをしてようと思ったら、誰かの部屋に入っていく音がした。こっちにも来そうだな。
「あれ、そーちゃんは起きてたんだ」
「誰かさんの大声で起こされたんですよ」
あはは、と笑う彩予。また仕事が来たんだろうか。
「めっちゃすごいビッグニュースがあるんだ! ビッグなニュースだよ! 早く来てね」
ビッグなニュースって何なんだ。彼は俺と同じ年なんだよな。テンションが違いすぎる……。大広間に行くと、瞬以外の全員がいた。一静は相変わらず、不機嫌そうだ。
「そーちゃん、おはよ! ねぇ、聞いてよー。しゅんしゅんってば、何回も僕のこと追い出すんだよ。テレポートで! 酷くない? 」
なにそれいいな。俺もテレポートを使えるようにならないかな。
「それで、ニュースって何ですか。新しい仕事とかじゃないですよね」
「いや、その真逆だ。俺らに休暇が与えられることになったんだ」
ようやく休みが貰えるのか。部屋でゆっくりしたいところだが、黄色い予知能力者は「皆でどっかいこうよ! 」とか言うんだろうな。
「僕は此処でゆっくりしたいです」
一静は俺と同じ意見らしい。
「いや、それはもったいないって! 皆で、海とか海とか海に行こうよ! 」
選択肢はないのか。まぁ、夏だし悪くはないけど、暑そうだな。影も彩予に賛成しているらしい。
「海ですか……僕、泳げないんですよね」
「まぁ、何処に行くかは置いておいてさ。今回の休暇は1週間。しかも、その間に使ったお金は全部、政府が負担してくれるそうだ」
前回の仕事の報酬の代わりだろうか。そういうことなら、外に行った方が良いな。
「じゃあ、焼き肉か回らない寿司屋に行きましょう。何処かに泊まるのもありですね。勿論、スイートルームで」
俺の言葉に焔は苦笑いを浮かべる。いつも、こき使ってくれるから、そのお礼だ。
「泊まるなら、海に近い所が良い。海が見える所! 」
「良いですね。1番値段が高い所にしましょう。3星ホテルとかどうでしょう」
初めて、彩予と意見が合った気がする。これも、仕事でチームワークが良くなった証だろう。きっとそうだ。
「はい、2人ともストップ。取り敢えず、瞬が来てから話し合おうな」
それもそうだ。瞬はアウトドア派なんだろうか、インドア派なんだろうか。でも、ようやく休みができた。ゆっくり楽しみたいな。
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