第13話 侵入者と迫る危険
「何の能力を持っているか分かりますか? 」
「少し待っててください」
俺らに何故、警備の仕事が来たのかと思ったら……やっぱり能力者が絡んでいるからなのか。面倒だな。
「水……アクアキネシスですね。でも、ここに侵入した記憶が残ってないです」
「服が違うんじゃないですか? 暗い中、白い服だと目立ちますし」
「そう、ですね」
取り敢えず、これを他の4人に伝えるか。何か引っかかっているみたいだが。
『さっきの不審者、後天性のアクアキネシストでした。この事件に関与しているか分かりませんが、注意してください』
『うぇ、俺との相性、最悪じゃねぇか……』
なんてぼやくのは、うちのパイロキネシスト。確かに相性は最悪だな。
それからは、特に目立つ不審人物は見当たらなかった。閉館時間になり、電気が消える。カメラ越しじゃないと、何も見えない状態だ。犯人らしき人物を見つけ次第、俺と一静が気づくか他の人が気づいたら、連絡をして、此処のスイッチで電気をつける。
時刻は20時25分。全員の緊張が高まっていく。
『そーちゃん、やっぱり犯人は20時30分に来るよ。西口方面から』
『彩予から連絡です。犯人は20時30分に西口方面から来るそうです』
一静にも同じことを伝える。西口からということは、移動系の能力者では無いのか? でも、手口は不明だ。決めるのは早い。
時計の針がカチッと動く。時刻は20時27分。西口には瞬がいる。脈が速くなるのを感じ、飴を口に入れる。再び、針が動いた。
『20時30分です』
物陰に隠れたまま、身構える瞬。しかし、入口は開かない。すると突然、西口に人が現れ、侵入してきた。
『西口にて侵入者確認。移動系の能力者と思われる』
俺の連絡と瞬からの連絡は同時だった。一静が、館内の電気を付ける。突然電気が付いたことに、侵入者が少しひるむ。それを、瞬は見逃さなかった。
侵入者の背後に移動し、思い切り蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた、能力者と思われる侵入者はすぐに立ち上がる。瞬に反撃したいのか、接近しようとするが、速さは瞬の方が上だった。瞬が侵入者の腹に蹴りを入れ、腕をひねりあげる。
しかし、妙だな。侵入者は2人のはず。なのに映像に映っているのは1人だ。
「奏さん、まずいです。誰かがこちらに来ます」
カメラの死角に入っていたのか。鍵をかけた管理室のドアに人影が映りこんだ。狙いはこっちか。
『至急、管理室に来てください。もう1人の侵入者がこっちに来ています』
俺らは戦えないし、何故こっちを狙ってくる? いや、俺らが警備をしていること、俺と一静が戦えないことがバレている? でもどうやって知った?
ガチャガチャとドアノブが回される。鍵が壊されたら終わりだ。
『誰か、早く来てください! 』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます