ユラの栽培薬草と世界の事情(改)

ユリスリーデが指示する


「じゃ早速見てくれ」


バサバサ


パーラーは出されたヒルシル草を手に取る


「ヒルシル草ですね…かなり品質いい見たいですが…」


「それを鑑定評価してくれ、ユラちゃんが栽培に成功した薬草だ。」


パーラが驚きの声をあげ興奮して捲し立てる


「はぁーー!あの種から栽培出来たのですか!薬草が!

これとんでもないことですよ!

今まで誰も栽培出来なかったのですよ!

わかってますか!

ほんとわかってますか!」


パーラは興奮しユリスリーデの両肩をつかみ揺さぶっていた


「ち・ちょっと待って!そんなに興奮しないで!落ち着いて!」


パーラが諫められ落ち着きを取り戻す


「あ!申し訳ございません、信じられなくてつい…」


ユリスリーデも改めて思った


「そっか薬草って今まで誰も栽培に成功してなかったのね…」


ソアラは思った、野菜といい、薬草といいとんでもない方が現れたもんだと


クリスがパーラに薬草を作った時、まだダメだと言ってたことも報告してユリスリーデに屋敷に戻る事を伝えた。


「私はユラ様が心配なので屋敷に戻ります」


ユリスリーデは頷きクリスに貴重な中品質のポーションを持たせる


「クリスこれも持って行って、ユラちゃんの事任せたわよ」


「これ中品質ポーションじゃないですか!よろしいのですか?」


「いいから早く戻ってあげて」


クリスが一礼し部屋を出て行きユリスリーデが鑑定の指示を出す



パーラは頷き

「では鑑定評価します」


ギルド鑑定

【ヒルシル草 低品質 魔力含有あり】


「ユリスリーデ様このヒルシル草は低品質です・・が成長途中と言いますか… これもとんでもですね」


ユリスリーデは、疑問に思った


「品質は低かったんだろ?普通では?」


パーラがわかりやすく説明する


「ユリスリーデ様よく考えてください!薬草は微量ですが魔力を含んでいます。

それは採取する前の話しです。

薬草は採取したとたん魔力が抜け日数が経過すればするほど成分が抜けていきます。

この薬草は根の状態から推測するに、採取して数日は経ってるはずです。

だとしたら鑑定に薬草に魔力含有はでません!」


他の者達も意味がわからないと言う表情をする


「どういう事?」


パーラは説明を加える


「普通薬草は、採取した時点で成分を保持する魔力は抜け成分も落ちていくのですよ!」


「そうね、これも… え?」


頷くパーラ


「そうなんです。」


アスティが薬草を見て感じる


「これまだ生き生きしてるんですけど…」


「ほんと驚きです。でも一番は薬草の栽培に成功したことですね。

これまで数多くの薬師や、作農者が試み誰一人成功してません!

それが小さな男の子が成功させたのですよ!皆さんわかってますか!」


パーラは、ユリスリーデ達が薬草栽培がどんな影響をもたらすかまだわかってないようで、さらに熱く語りだした。


「ソアラ様、帰って報告されると思いますので、よく聞いておいてください」


ソアラもあまりのパーラの熱意に頷く


パーラは自分の感想を正直に伝える


「私もあのとんでも野菜に驚きましたが、この薬草の栽培が一番驚きました!

薬草が栽培できるようになれば、今ポーションが流通しない問題、高騰してる問題、品質、効果、種類などの問題が全て解決するのです!」


ソアラはポーション職人について質問をする


「栽培した薬草が凄いのがまだピンと来ないのだが、そもそもポーション職人が少ないのが原因ではないのか?

この付近では薬草は採取できないみたいだが、まだ沢山採取できるところはあるはずよ。


薬草が採取できてポーション職人がいて、品物が少なく高騰し流通しないのは、ポーション職人の数が少ないからではないのか?

人数を増やして、品物が増えれば、全て解決すると思うのだが…」


パーラは頷き質問をする


「普通そう考えます。恐らく多くの方が同じ考えのはずです。

ただポーション作りは非常に難しいのです!

今国にいる3人の認定されたポーション職人は、どう言う扱いになってますか?」


ソアラは、ポーション職人の扱いについて答える答える


「国家特殊技能職人として、特別な扱いになっている。彼らは絶えず護衛が2人付き交代で守られている」


「私も3人共知ってます。一人でも多くの方を救いたいと、そんな気持ちでポーション職人になったのですから、日々努力してると聞いてます。


そんな彼女達が一人が、やっと中品質ギリギリ、後のふたりは低品質がやっとなんです。

しかも一人は裂傷HP回復のみで、状態異常回復は未だ未開発です。

これは全て薬草の品質の問題でなんす!

ギルドで採取薬草を鑑定すると中品質が多いのですが、職人の手に渡った時は、全て低品質みたいです」


ユリスリーデもアスティも驚く


「そんな事とは、知らなかった」


パーラが全員にわかりやすく説明をしていく


「じゃもっと分かりやすく数値化しましょう。

ユラちゃんの薬草を私は採取してから推定2日と見て、今ポーション職人の手元に届く薬草と比較し、やすく表しますとこうなります。」


カリカリ


【ギルド経由ヒルシル草… 品質中 成分含有量6 魔力含有0 抽出率1 総合評価数値 1】



【ユラ栽培ヒルシル草… 品質低 成分含有量3 魔力含3 抽出率3 総合評価数値 3】


「私は、ポーション作成は聞いた知識しかありませんが、抽出錬成の過程が非常に難しいそうです。

品質が高ければ抽出が多く低いければ少ないそうです」


パーラの説明で皆がポーション事情を初めて知る事となる。

薬草の品質の重要性を知り納得したアスティが質問する。


「じゃ例えばポーション職人が、今のやり方でもユラちゃんの薬草なら、低品質でも評価3だから作ったら、成功率上がってポーションが増えるって事?」


「たぶん増える… ポーションを作る抽出錬成の成功率は薬草にどれだけ成分が残ってるかの評価です。

例え高品質でも評価が1なら成功率は変わらず低いままです!」


長年ギルドマスターやって来たけど全く知らなかった…

それでポーション職人が少ないのか…


パーラは語る

「ポーション職人が少ないのは、成功するまで保証されない難易度の高いポーション職人より、簡単な冒険者や鍛治、工芸職人を皆目指すからです」


アスティが質問する


「ユリスリーデ様は、エルフですから長く生きてますよね。

今は使える者がいないと言われてる、聖属性の回復魔法を使える方は、過去にはいなかったのですか?

回復魔法を使える者がいれば、こんなにポーションに頼らなくてもいいのに」


ユリスリーデは思い出すように語りだした


「いたわよ、200年くらい前に聖女様と呼ばれる方が、身体の治癒のヒールから全ての状態異常を治すリカバリーまで使える方だったわ。


でもある国王が利益のため聖女様を独占しようと監禁し、自分の利益のために聖女様にひどい扱いを続けて、それに聖女様は耐えれなくなり、自ら命を絶ったと聞いたわ。


それ以来女神様の怒りで、聖属性を使える者をこの世界から封印してると言う噂が広まってるわ。

魔法書に聖魔法の文献があり、あらゆる魔法が使える高名な魔導師が、何人も文献通りにやったが、全く発動しなかったらしいわ」


「女神様の怒りですか?でも封印されてる者がいるのですよね」


「そう聞いているけど、どんな封印かもわからないしあくまでも噂だから、だから回復魔法の使い手がいないのだ」


アスティがとんでもない発言をする


「なるほど、でもよく考えたら、この世界って、何百年も前にあった聖女様の死で、女神様が怒り聖魔法が封印され、唯一の回復手段のポーションも簡単にできないって、これも女神様の怒りじゃないですか?」


皆がアスティの発言に驚く


「なるほど、そう考えれば納得するな今まで数多くの薬師が作成方法を模索し、今もなかなか上手くいかないポーション作成、これも女神様の怒りの原因かもしれないな」


皆が納得するように頷く


「これまで何人者の人達がいろいろなやり方をやって今の現状がやっとだ、確かにおかしい話だ」


アスティが突然慌てだす


「ち・ちょっと待ってください!今の私達は女神様の怒りで聖魔法封印され、回復治癒系のポーションを作るのが大変なのですよね。


それにここ数十年野菜とか農作物が不作で食糧事情もよくないですよね。


こんな時に現れたユラちゃんは、今までの野菜を改良したとんでも野菜や薬草栽培の事から、この先私達を救うような存在になりますよね。

これって、たまたまなんでしょうか?」


「さすがにそれは考え過ぎだろう」


発言したユリスリーデも考え込む


「でも今までこんな野菜を作る事ができるスキルの人なんて現れなかったじゃないですか!

それにパーラさんも薬草栽培は今まで誰も成功しなかったって言ってたじゃないですか!


今私達の世界に起こってる生きるのに大変な現状を解決するような存在のユラちゃんはほんとにたまたまなのですか!


もし女神様が、この世界に回復させる事をさせない罰を与えてるのであれば、ユラちゃんの今の現状を女神様が知ったらどうなるのでしょうか?」


「「「!」」」


「アスティの言う事が本当なら我々は再び女神様の怒りを買うことになる、そうなれば滅亡だな」


「考え過ぎだとは思うがあの子はいずれにせよなんとかして、保護してやりたいと思う」



ソアラもあの子の保護優先で納得し、キャサリン王妃に報告するために、野菜を1種類づつ買い取り持って帰ることにした。


「ユリスリーデ様この野菜を1種類づつ売ってくれぬか、キャサリン様に報告する、そしてユラ殿の保護をお願いしてみる」



「わかりました、どうぞ持って帰ってください、あの子の保護はお任せ下さい」

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