第7話 連絡手段を手に入れたら

 「さ来週のテストの範囲だ。まあ普段から勉強していれば問題ないが、配るので確認してしっかり復習しておくように」


 朝のHRで担任の先生が、範囲が書かれたプリントを配った。

 そうだった。教科書が違うから4月の所は自習しないといけなかったのに、色々とあって忘れていたよ。

 一段落したし……したのか?

 いや、そもそも真猫さんのせいにしてはいけない!


 「なあ、榎元。お前、スマホゲームってしてるか?」


 HR後、橋本がスマホを手にやってきた。


 「同じのやんないか?」


 「やらない。僕、教科書が違うから4月分自習しなくちゃいけないから」


 「お前、真面目だな」


 そんな事はない。本当は遊びたいけど、やりだしたら止まらないから。


 「じゃ、RINEしようぜ」


 「うん」


 まあそれぐらいならいいか。


 ピロン。

 うん?


 橋本【宜しくな】


 【宜しく。授業中は送って来るなよ】


 橋本【送らねぇよ】


 そう言えば、前の学校の友達とRINEあまりなくなったよなぁ。

 まあ寂しいと思うところじゃなかったけど。



 「ソウくん、今日お友達も一緒にいい?」


 うん? お友達?


 いつも通りお昼に僕の元に来た真猫さんが言った。

 彼女に友達なんていたのか。いや失礼かもしれないが、このクラスでは僕としか話していない。


 「いいけど……」


 タタタっと、教室の外まで行くと二人・・連れて来た。

 はるなさんとたけるだ。

 兄弟じゃないか……。学校では、他人なんだっけ?


 「私、新居あらいはるな。こっちは、双子の兄のたける。名字同じだからはるなって呼んで」


 「よぉ~」


 「……あ、うん。宜しく」


 どういう態度したらいいか困るのですが……。


 「ずるい!」


 「うん? ずるい?」


 真猫さんがちょっとプクッとして言った。かわいい。

 じゃなくて、何がずるいんだ?


 「私も撫でたい時だけじゃなくても、ひなたって呼んでほしい!」


 「ちょ……」


 なんという誤解を招く言い方をするんだ!

 まだ猫の時とかよりは、いいかもしれないけど。きっと変なプレイしていると思われるだろうから。


 「わかったから、声のトーン落としてよ」


 「俺も今度撫でてくれよ」


 君もやめてくれ。みんな聞き耳どころじゃなく、ガン見してるじゃないか!

 あぁ橋本が聞きに来たらなんて答えればいいんだ。


 ピロン。

 橋本【お前普段、真猫さんと何やってるんだ!?】


 うわ~そうだった! RINE交わしたんだった。


 【普通におしゃべりしかしてないよ】


 はぁ……。

 真猫さんが、三人に増えたのか、これ。


 「ねえ、ソウ。おにぎり食べたい」


 「え……」


 はるなさんが、僕のおにぎりを見て言った。


 「美味しいって聞いた」


 なるほど。真猫さんが二人に話したからこれが目的で、来たのか。


 「はい」


 二人の前におにぎりを一個ずつおいた。きっとほしいと言うだろうと思って、たけるの前にも置いた。


 「私にはくれないの?」


 「え……」


 いや三つしかないんだけど?

 はあ……仕方がない。

 僕は最後のおにぎりを真猫さんの前に置いた。


 「「「はい」」」


 僕の前には、三つのパンが置かれる。

 おにぎりがパンになったよ。でも僕、とくだんパンが好きなわけじゃないから三つも食べたくないなぁ。


 三人共パン三つにおにぎり一つだ。


 どれかだけ食べるとか残すとかしたら、何か言われそうだ。

 はぁ……。毎日来たらどうしよう。


 「「「RINE」」」


 うん? 突然三人がはもった。


 「私もソウくんとしたい」


 真猫さんがそう言うと、二人も頷いている。


 なぜか、はるなさんとたけるとも交換する事になった。


 ピロン。

 橋本【いいな! おい!】


 早速真猫さん達が送って来たのかと思ったら橋本かよ。


 ピロン。

 ひなた【今日一緒に勉強しようか】


 ピロン。

 はるな【勉強教えてあげるから家においでよ】


 ピロン。

 たける【勉強教えて】


 な、なんなんだ。真面目か!


 【わかった一緒にみんなで勉強会な!】


 そう打って全員に送信。


 ピロン。

 ひなた【うん】


 ピロン。

 はるな【じゃ、家で待ってる】


 ピロン。

 たける【(*´▽`*)】


 って、なんで目の前にいるのにRINEなんだ。


 ピロン。

 うん?


 橋本【俺も行っていいのか!】


 あ、間違って橋本にも送っちゃった。


 「あのさ、間違って橋本にも声を掛けちゃったんだけど、いい?」


 「橋本って?」


 ひなたが首を傾げる。

 おいおい。同じクラスだろうに。

 僕が、指さすと三人が一斉に橋本を見た。


 「嫌だ。あの人、犬臭い……」


 たけるがそう言うと、二人も頷く。

 やっぱり全員、犬がダメなんだ。


 【もしかして犬を飼っている?】


 ピロン。

 橋本【飼ってる。真猫さんに断られたか……】


 【ごめん!】


 橋本【わかった。今度何かおごれよ!】


 なぜおごらないといけないんだ。

 というか、怖がっていたくせに混ざりたかったんだ。


 【来年になるかもな】


 何せ、猫カフェにお金がかかるので。

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