第7話 連絡手段を手に入れたら
「さ来週のテストの範囲だ。まあ普段から勉強していれば問題ないが、配るので確認してしっかり復習しておくように」
朝のHRで担任の先生が、範囲が書かれたプリントを配った。
そうだった。教科書が違うから4月の所は自習しないといけなかったのに、色々とあって忘れていたよ。
一段落したし……したのか?
いや、そもそも真猫さんのせいにしてはいけない!
「なあ、榎元。お前、スマホゲームってしてるか?」
HR後、橋本がスマホを手にやってきた。
「同じのやんないか?」
「やらない。僕、教科書が違うから4月分自習しなくちゃいけないから」
「お前、真面目だな」
そんな事はない。本当は遊びたいけど、やりだしたら止まらないから。
「じゃ、RINEしようぜ」
「うん」
まあそれぐらいならいいか。
ピロン。
うん?
橋本【宜しくな】
【宜しく。授業中は送って来るなよ】
橋本【送らねぇよ】
そう言えば、前の学校の友達とRINEあまりなくなったよなぁ。
まあ寂しいと思うところじゃなかったけど。
□
「ソウくん、今日お友達も一緒にいい?」
うん? お友達?
いつも通りお昼に僕の元に来た真猫さんが言った。
彼女に友達なんていたのか。いや失礼かもしれないが、このクラスでは僕としか話していない。
「いいけど……」
タタタっと、教室の外まで行くと
はるなさんとたけるだ。
兄弟じゃないか……。学校では、他人なんだっけ?
「私、
「よぉ~」
「……あ、うん。宜しく」
どういう態度したらいいか困るのですが……。
「ずるい!」
「うん? ずるい?」
真猫さんがちょっとプクッとして言った。かわいい。
じゃなくて、何がずるいんだ?
「私も撫でたい時だけじゃなくても、ひなたって呼んでほしい!」
「ちょ……」
なんという誤解を招く言い方をするんだ!
まだ猫の時とかよりは、いいかもしれないけど。きっと変なプレイしていると思われるだろうから。
「わかったから、声のトーン落としてよ」
「俺も今度撫でてくれよ」
君もやめてくれ。みんな聞き耳どころじゃなく、ガン見してるじゃないか!
あぁ橋本が聞きに来たらなんて答えればいいんだ。
ピロン。
橋本【お前普段、真猫さんと何やってるんだ!?】
うわ~そうだった! RINE交わしたんだった。
【普通におしゃべりしかしてないよ】
はぁ……。
真猫さんが、三人に増えたのか、これ。
「ねえ、ソウ。おにぎり食べたい」
「え……」
はるなさんが、僕のおにぎりを見て言った。
「美味しいって聞いた」
なるほど。真猫さんが二人に話したからこれが目的で、来たのか。
「はい」
二人の前におにぎりを一個ずつおいた。きっとほしいと言うだろうと思って、たけるの前にも置いた。
「私にはくれないの?」
「え……」
いや三つしかないんだけど?
はあ……仕方がない。
僕は最後のおにぎりを真猫さんの前に置いた。
「「「はい」」」
僕の前には、三つのパンが置かれる。
おにぎりがパンになったよ。でも僕、とくだんパンが好きなわけじゃないから三つも食べたくないなぁ。
三人共パン三つにおにぎり一つだ。
どれかだけ食べるとか残すとかしたら、何か言われそうだ。
はぁ……。毎日来たらどうしよう。
「「「RINE」」」
うん? 突然三人がはもった。
「私もソウくんとしたい」
真猫さんがそう言うと、二人も頷いている。
なぜか、はるなさんとたけるとも交換する事になった。
ピロン。
橋本【いいな! おい!】
早速真猫さん達が送って来たのかと思ったら橋本かよ。
ピロン。
ひなた【今日一緒に勉強しようか】
ピロン。
はるな【勉強教えてあげるから家においでよ】
ピロン。
たける【勉強教えて】
な、なんなんだ。真面目か!
【わかった一緒にみんなで勉強会な!】
そう打って全員に送信。
ピロン。
ひなた【うん】
ピロン。
はるな【じゃ、家で待ってる】
ピロン。
たける【(*´▽`*)】
って、なんで目の前にいるのにRINEなんだ。
ピロン。
うん?
橋本【俺も行っていいのか!】
あ、間違って橋本にも送っちゃった。
「あのさ、間違って橋本にも声を掛けちゃったんだけど、いい?」
「橋本って?」
ひなたが首を傾げる。
おいおい。同じクラスだろうに。
僕が、指さすと三人が一斉に橋本を見た。
「嫌だ。あの人、犬臭い……」
たけるがそう言うと、二人も頷く。
やっぱり全員、犬がダメなんだ。
【もしかして犬を飼っている?】
ピロン。
橋本【飼ってる。真猫さんに断られたか……】
【ごめん!】
橋本【わかった。今度何かおごれよ!】
なぜおごらないといけないんだ。
というか、怖がっていたくせに混ざりたかったんだ。
【来年になるかもな】
何せ、猫カフェにお金がかかるので。
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