大学編 第24話


 「蛍ちゃん、わかった!芸術の為なら仕方ない、私は脱ぐよ!」


 「つばめちゃん!そんなことは一言も言ってないよね!?」


 「さぁ!どんとこいっ!」


 「もう脱いでるし!?」


 「あはははは」


 つばめちゃんにデッサンのモデルをお願いしたら、何を勘違いしたのか服を脱いで「あはは」と笑っている。ちなみに本日のつばめちゃんはパープルの下着だった。


 「さぁ!どうだっ!?」


 下着姿のつばめちゃんはとてもセクシーなのに、何で地球で三分間しか戦えないウルトラな戦士のポーズをとるんだろう?光線なんか出ないでしょうに。


 「つばめちゃん、とりあえず服を着てください」


 「……下着も脱げだなんて、蛍ちゃんのエッチ!もう、仕方ないなぁ」


 「脱げだなんていってないよね!?」


 「ふへへへ」


 つばめちゃんは「蛍ちゃんたらわがままだなぁー」と言って服を着始めたのでホッとした。勿論、家の中には私とつばめちゃんしかいないけどそれでも気恥ずかしい。


 「ほい、着ましたよっと」


 「それじゃ、椅子に座ってください」


 椅子に座ったつばめちゃんをちまちまとデッサンする。黙ってポーズをとるつばめちゃんはやっぱり美人だと思った。


 「ねぇ、蛍ちゃん」


 「なぁに?」


 「本当なら相手役がいてのデッサンが良いんじゃないの?」


 「まぁねぇ」


 私が描いている漫画は恋愛ものなので相手役の男性との絡みのような構図も出来れば描きたいのだが、そんな相手役を頼める人物がいなかった。


 「……蛍ちゃん、やっぱり睦月君に話してお願いしたら?」


 「うーん……でも」


 「そうしたら私と睦月君があーんなことしてるようなポーズや、いやん、もう、駄目ぇ、睦月君のエッチぃぃ……なポーズも描けるよ?」


 「駄目!絶対に、駄目!」


 「もう、蛍ちゃんったらわがままだなぁー」


 つばめちゃんはニコニコしながらそんなことを言う、いつもいつも私をからかって、もう本当に困った友人だ。しばらく黙々と描き進めていたら、突然、つばめちゃんが話しかけてきた。


 「蛍ちゃん、今度本当に私のヌード描いてよ」


 また、そんなことを言ってと思ってつばめちゃんを見たら冗談を言っているときの表情ではなく、真剣な眼差しをしていたので


 「……どうして?」


 私がどうして裸を描いて欲しいのかと聞いたら


 「……ふふっ、若い綺麗な時の裸なら写真とか絵画とか残しても良いかなぁって思っただけ。蛍ちゃんが嫌なら描かなくて良いから」


 つばめちゃんがいつもの笑顔でそんなことを言うので


 「今度、描いてみようか?上手く描けるかわからないけど」


 「うん、ありがとう。でも睦月君には見せないでね?恥ずかしいから」


 「勿論です」


 私とつばめちゃんの二人だけの秘密がまたひとつ増えた。

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