大学編 第2話
蛍と初めて喧嘩をした。勿論、女の子に手をあげるような喧嘩はするはずもなく口喧嘩だが……原因は
「蛍、置いてあった雑誌はどうした?」
「……捨てました」
俺が置いていた雑誌を蛍が勝手に捨ててしまったと言うので。
「蛍、さすがに雑誌といえども持ち主に一言もなく勝手に捨てるのはどうかと思うぞ?」
と俺が文句を言ったら、蛍は珍しくキッと俺を睨んできて
「……約束を破る先輩が悪いんです!」
と言い返してきた。
「約束ってなんだ?」と聞き返したら
「先輩はもうエッチな本は買わないって約束したはずです!」
エッチな本って……
「蛍、あれはただの週刊誌だぞ?エッチな本じゃない」
そう言ったのだが蛍も負けずに
「……女性の裸の写真も載ってました!いやらしいです!」
と言う。……まぁ、成人誌扱いじゃないとはいえ確かに女性のヌードが載っている週刊誌は多い。それでも……
「あれは講義のレポートに使えそうな話が載っていたから、友人の神宮寺に借りたものなんだ。勝手に捨てるのは困る」
そう言ったら蛍は少し驚いた表情をしたが、捨ててしまったと言った手前引けなかったのか
「で、でも、袋とじのエッチなページも開いてたし……やっぱり駄目です!」
そう言って蛍は頑なに謝りもしなかったので、「もういい」と言って俺も立ち去ってしまった。初めての痴話喧嘩だ、自分でもくだらない話だと思うけど……
☆☆☆☆☆
「……そういうわけなんだ、すまん!雑誌は蛍に捨てられてしまったんだ」
俺は食事を奢るからと神宮寺を誘って借りていた週刊誌を捨てられてしまったことを謝罪した、神宮寺は「ただの古い雑誌だから構わないぞ」と快く許してくれたので助かった。
「ははは、それにしても睦月が彼女さんと喧嘩するなんて珍しいな!……早く仲直りしろよ?」
と神宮寺が笑うので、俺も
「今回は蛍が悪いと思ってるから、俺からは折れない」
と言ったら、神宮寺は苦笑いで話し始める。
「いや、男女の認識の違いなんだろうな、俺や睦月にしてみたらエロ本と言えば18禁のコーナーにあるやつじゃん?だからあの程度の週刊誌は普通だと思うけど……女目線じゃ違うってことじゃないのか?」
「……そうなんだろうな」
「まぁ、袋とじを開けた俺も悪かったかもな……」
「そうだ、元はと言えば袋とじを開けた神宮寺が悪い!」
「いや!?袋とじは開けるものだろう!?男の性だ!睦月、お前だってこっそり見たんじゃないのか!?」
「………………見た。いや、見るつもりは無かったんだがパラパラと捲っていたらつい見てしまったと言う程度だ!決してエロ目的じゃない!」
「結局、見てるんじゃねーか!彼女さんに文句言う資格無くないか!?……で?どうだった?結構エロかったろう?」
「……いや、蛍の方が綺麗だなって思っただけだ」
「けっ!早く仲直りしやがれ」
そんな話をしていたら俺の携帯が鳴った、画面の表示が蛍からだと思って神宮寺に断って出たら蛍じゃない人物からの声が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます