『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』⑦
昨夜の先輩との情熱的な一夜は思い出すだけで頬が火照るのがわかるくらいだったが、先輩の家から離れ、自宅に近付くに連れて……初めて朝帰りというものをしてしまったことを意識し始めた。
勿論、両親の許可があってのものだが……男性と二人っきりで一夜を過ごしてきた……これは何があったかなんて言われなくてもわかることだ。
お父さん、お母さんにどんな顔をして会えば良いかわからない……何か言われるかなとドキドキしながら帰ったら
「あら、おかえりなさい。早かったのね」
「ご飯は食べてきたの?」とかお母さんに普通に迎えられた。
「……ただいま、お母さん……何も聞かないの?」
何か追求されるかと心配したが
「……ふふ、私やお父さんにも青春はあったのよ?」
そう言って笑った。
「私もお父さんもあなたが笑顔で過ごしているのを見れば……大事にされているってわかるから心配してないわ」
「……でもあなたが惚気たいならお父さんに内緒で聞いてあげるわよ?」と母はウインクした。
「……お母さん、相談があるの。私も進学したい、それもこの近くじゃなくて……」
先輩が大学を卒業して、就職して一人前になるまで……何年掛かるだろう?……それまで離れ離れは嫌だった。だから先輩と同じ大学に進学したい、そんな理由で進路を決めたらお父さんやお母さんは怒るかもしれない……でも
「……就職したらきちんとお金は返します。だから……大学では一人暮らしさせてください……」
そうお母さんに言ったら
「……いいんじゃない?お母さんは賛成よ。あなたが自分からお願いしてくるなんてめったにないし、お母さんはやりくり上手だから大丈夫よ。少しならへそくりもあるし……これはお父さんには内緒ね?」
と言って「……先ずは、お勉強頑張らないとね?」と母は笑った。
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