モノローグ

 小さな頃から仲の良い兄妹だねと言われてきた。

 

 

 いつも二人で遊んで、

 喧嘩して、

 仲直りして、

 そうやって過ごしてきた。



 少しずつ歳を重ねていくたびに、

 自分の気が付き始める。



 それはいけない事だ。

 それは許されない事だ。



 吐き出すことの出来ないその気持ちは次第に大きくなり、

 胸を締め付ける。



 これから一生、

 自分の気持ちに嘘をついて、

 誤魔化して生きていくのだと、


 

 そう思っていた。

 そう、思っていたのに……


 

 私は、お兄ちゃんに、キスをした。



 自分の気持ちに嘘をつくのが苦しくて……

 

 

 お兄ちゃんに好きだと言われて、嬉しい。

 お兄ちゃんに彼女が出来て、悔しい。

 お兄ちゃんを傷つける人が、憎い。



 次から次に溢れ出る感情が、私を突き動かした。



 それが間違いだと理解しながら――

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