第305話 速人の決意
side 雄二
「夏海さん、すみません負けました」
俺としては負けて悔いなし、力は全て出しきった…と言ったところだが、残念なことに勝負は勝負。
今回はぐぅの音も出ない程の完敗で、そもそも射的は、一成の方が上手いってことも最初から分かっていた。だから、実のところ悔しさはそうでもない。
ただ、夏海さんに勝つと言ってしまった手前、格好はつかない…かな。
「あんまり悔しくなさそうね?」
「分かりますか?」
「まぁね。私もテニスをやってるから、何となく雄二の気持ちが分かるかも」
「なるほど」
「ふふ、まぁ、お疲れ様。あんな真剣な顔の雄二を見たこと無かったから…」
そこまで言うと、夏海さんの顔が、何故か少しずつ朱くなっていく。
全く…普段は強気でサバサバしてる癖に、こういう照れ屋なところは実に男殺しだ。
まぁ…そんなところが可愛いくて、俺もつい…な。
「何ですか?」
「ふぇ?」
「続きを教えて下さい」
「ぐっ…」
こうして、つい意地悪なことを口走ってしまう。でもこれは仕方ない、こんな可愛い夏海さんを見せられたら、いくら俺でもな。
「……かった」
「はい?」
「…よかった」
「聞こえないですよ」
「ううう、格好よかったって言ったのよ!!! 聞こえた!? これで満足!?」
もう夏海さんは瞬間湯沸し器よろしく、顔は「朱い」を通り越して、一瞬で真っ赤に。
こんな可愛い姿を見せられたら、本音を言えば今すぐ抱きしめてあげたいと言いたいくらいだが…
でもこんなところでそれをやれば、夏海さんがとんでもないことになってしまうのは目に見えている。
という訳で、俺達は一成達のようにはなれないってことだ。
「ぐぅぅ、絶対に許さない。真剣に頑張ってたから許してあげようと思ったのに!」
「え、何の話…」
「お望み通り、キッチリお仕置きしてあげるわよ。高梨くんに負けた罰!」
「ええぇ…」
夏海さんはまだ顔の朱みは残したまま。それでも虚勢を張るかのように、不敵な笑みを浮かべながらのギルティ宣告。
ちょっと自分の欲求を正直に出し過ぎたか…しかもあの笑みは、かなり嫌な予感を覚える。
「さぁて、何をして貰うか、じっくり考えないとね」
「お手柔らかに…」
とは言うものの、俺も一成に言われた通り、夏海さんのお仕置きなら何であろうと楽しみに思っていたりするので。
でもそれを本人に言ってしまえば、せっかく楽しそうに俺への罰を考えているのに水を差すことになるから…ここは大人しく黙っているとしよう。
でもそれはそれとして…
「夏海さん、どうぞ」
俺は手に持ったままだった、先程の戦利品を夏海先輩にスッと差し出す。
とにかく勝つことを考えて狙った景品だから、特別思い入れも…なんだこれ?
「えーと…何これ?」
「…よく分かりません」
カッパのような出で立ちに、ぐるぐる眼鏡とおちょぼ口。
我ながらよくもまぁ、こんな分からない景品を取ったものだと…
「はぁ…高梨くんは勝負の最中でも、沙羅を喜ばせることを考えてたみたいなのに」
「うっ…」
それを言われてしまうと、流石に反論できない。
俺も夏海さんに勝利をプレゼントしたい気持ちは勿論あったが、景品については、とにかく勝つことを優先してしまった。
つまり、そういう意味でも俺は一成に負けたことになるのか…これは本当の意味で完敗したな。
「でもまぁ、よくよく見れば愛嬌があるかも?」
「そ、そうですか?」
「よし、こいつの名前は"ゆうじ"で決定」
「ええええ」
俺の反応を見て、ますます楽しそうに笑う夏海さん。
それは流石に…どうなんだ?
「んふふ、まぁ精々可愛がってあげるわ」
「…そう言って頂けると救われます」
「私に感謝しなさいよ」
何故そこまで上から目線…いや、いいけどさ。
これはひょっとして、既に罰とやらが始まっているとでも言うのか?
「でも…」
そこで言葉を区切ると、夏海さんは再び顔を赤らめながら、何故か周囲をキョロキョロと伺うような動きを見せた。
何を確認しているのか知らないが、そんな挙動不審を見せたら却って注目を集めそうな気がするんだが…
「その…ね」
「はい?」
「…あ、ありがと…雄二。私の為に頑張ってくれたのは、その、嬉しかった…」
もう見るからに真っ赤になりながら、小さな声でポツリと呟く夏海さん。
その仕草があまりにも可愛らしくて、俺の心臓も一気に高鳴り始める。
ついでに目も離せなくなって…
「ちょ…そんなに、見るな」
そんな俺と目が合うと、夏海さんは恥じらうようにオロオロとしながら落ち着かない様子。
これはズルい。こんなの卑怯すぎるぞ…
薩川さんの仕草に悶えて、人前でも平気で暴走する一成の気持ちが今初めて分かったような気がする。
あいつはこんな気持ちだったのか…
「い、いい加減にしろ!!」
「あだっ!?」
夏海さんが勢いよく動いたと思えば、俺の右足の脛に強烈な痛みが走る。
どうやら夏海さんの照れが限界を超えたらしく、遂に実力行使へ出た模様。
と言うか…もう少し手加減を…だな…
こ、これは痛すぎる。
「つぅぅぅ…」
「ふん、これは私に羞恥プレイをした罰だから」
照れ隠しもあるのか、夏海さんはいつも以上に強気の姿勢。
やっぱり…俺達は一成達のようなイチャラブは向いていないみたいだな…
いい雰囲気になる度にこんなことされていたら、正直シャレにならん。
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side 速人
薩川先輩は、本当に我が道を行く。
上級生の教室でもいつも通り、煩い男子は誰であろうと蹴散らす、自分の気持ちに正直で、周囲がどうであろうと自分の行動に躊躇いは無い。
どんなときでも一成だけを見つめている。
そして…一成に対する敵対行為は、強烈なまでに断固として対処。
あの「薩川先輩」からあそこまでキツく言われてしまえば、相手はリスクの大きさに恐怖して、おいそれと妙な行動に出れないだろう。
しかもあれだけ明確に一成への好意を示されてしまえば、周囲の連中は自分に一ミリの可能性も残っていないと認識するしかない。
そう考えると…
薩川先輩の一連の行動は、一見すると空気を読まない、単なる奔放のように思えても。
人前でのそれは、実は明確な牽制と意思表示があるんじゃないかって、そんな風にも見えてくるんだ。
薩川先輩は自分に人気があることも、不特定多数から好意を向けられていることも、当然だけど認識してる。
そしてそれらは全て下らない、取るに足らない戯れ事だとして歯牙にもかけない。
でもそんな自分と一緒に居ることで、一成に対して低俗な嫉妬や敵意が向けられてしまう可能性があることも把握しているだろうから。
だからこそ、一成に対するほんの少しの悪意ですら、あれほど苛烈に反応するんじゃないかって、そう思えるんだ。
勿論これは俺の想像だから、本当のところは分からないけどね。
あの、人前でも一切妥協の無い激甘な愛情表現は、単に一成が好きすぎてイチャイチャしたいだけなのかもしれないし。
他の男子に対するアレも、一成が大切すぎて、その分怒りが強いだけなのかもしれない。
これは、俺が深読みし過ぎてる可能性も十分にある。
ただ…ね。
例えそうだとしても、そんな薩川先輩の姿を見ていると…
俺はどうすればいいんだろう…って。
これまでの自分だって、別にチャラついていたつもりはないし、遊んでいたつもりもない。
小さい頃からやってきたテニスだって、真摯に向き合ってきた。
でも俺だって男だから、女性から応援されればやっぱり嬉しいと感じてしまう。
ただ、それで八方美人になっていたんじゃないかと言われてしまえば…
それを明確に否定することは出来ないんじゃないかとも思える訳で。
俺は薩川先輩のように、孤高を貫くような勇気も度胸もない。そして能力もない。
だから俺は、とにかく敵を作らない道を選んで来た。正直、あまり仲良くしたいとは思えない連中でも、当たり障りなく流してきた。
その自業自得な結果が、「女誑し」「チャラ男」という不名誉な称号。
そして合コンの客(女性)寄せパンダ的な扱い。
そんな俺が変われたのは、全て一成の…って、今はこの話は置いておくとして。
とにかく、今の状況で俺が藤堂さんへの好意を明確に示せば、特に普段から顔を会わせている女性陣からどういう反応を示されるのか?
それは薩川先輩に於ける、一成と同じなんじゃないのか…と。
本当は何となくでも気付いていた筈なのに、さっきの一件を見て、改めてその問題を突き付けられる格好になってしまった。
例えこれを自意識過剰だと言われようが、実際、ファンクラブと称して俺を特別に応援してくれる女性達が居る。街で声をかけられてしまうこともある。告白だって、薩川先輩ほどじゃないにしても、それなりにされて来た。だから、そこはもう素直に認めるしかない。
つまり、薩川先輩と一緒に居ることで起きる一成への妬み、やっかみは、俺に置き換えた場合、全て藤堂さんへ向かう可能性があるってことなんだ。
と言うことは、俺に求められる対応も当然、薩川先輩と同じということになる。
俺は薩川先輩のようにはなれないのに、それでも同じような問題を抱えてしまった。それもこれも、ここまで周囲に良い顔をして、結果的に人気取りのようなことをしてしまった俺の責任。
「横川くん、どうしたの?」
「いや、何でもないよ。それよりも、これを…」
俺は射的で手に入れたそれを、そっと藤堂さんに差し出す。男の俺が見ても可愛いと思える、ディフォルメされたペンギンのマスコット。実は藤堂さんも途中から狙っていた景品で、最低でもこれだけは絶対に取るって決めていたんだよね。
「えっ…でも」
受けることを躊躇したように、藤堂さんは手を伸ばそうとしない。遠慮をしているのは確実だから、もうひと押ししないとダメかな?
「男の俺が持っていても困っちゃうから、是非とも受け取って欲しいな。俺を助けると思って…ね?」
「ふふ、そんなことはないと思うけど」
「いや、そんなことはあるんだよ。ひょっとして、嫌かな?」
こんな言い方をすれば、優しい藤堂さんなら断れないって分かってるけど。
ちょっと卑怯なのは百も承知で、それでもこれは受け取って欲しいから。
本当は…君の為に取ったんだよって、伝えたいんだけどね。
「そんなことないよ! でも、本当にいいの?」
「勿論だよ。藤堂さんに受け取って欲しいんだ」
藤堂さんが受け取り易いように、もう少しだけマスコットを突き出してみる。
少し手を伸ばすだけで受け取れる距離だから、ここまで来ればもう。
「う、うん。分かった…それじゃあ…」
「はい。どうぞ」
藤堂さんはそっと手を伸ばすと、俺の持っていたペンギンをしっかりと手に取る。
片手でも十分に持てるそれを、両手で大切そうに持ち上げて…嬉しそうに笑顔を溢した。
「えへへ、可愛い!!」
目線の高さに合わせたり、胸元でぎゅって抱き締めたり、まるでペットか何か可愛がるように…こんな姿、天使じゃなければ、何と表現すれいいのか他に思い付かないよ。
だから…
本当に、藤堂さんは可愛いすぎる天使だ。
「ありがとう、横川くん! 大切にするね!」
「うん。そうして貰えたら、俺も嬉しい」
「えへへ、名前は何にしようかなぁ」
ここまで喜んで貰えたなら、俺としても頑張った甲斐があるってもの。
正直に言うと、テニスの試合に勝ったときより嬉しいかも。
そう。
俺は藤堂さんの喜ぶ姿が…
テニスよりも、何よりも嬉しいんだ。
だから…決めた。
俺はもう、迷わない。
藤堂さんの笑顔を守る為にはどうすればいいのか、思いつくことなんて一つしかない。
俺が藤堂さんをどれだけ大切に思っているのか、それをハッキリと示すしかないんだ。
どれだけ格好悪くなろうとも、俺の大切な人は藤堂さんだけだから、皆もそれを祝福して欲しいって、そう訴えるしか道はない。
藤堂さんの為なら、俺はどれだけ情けない姿を晒すことになったとしても、何てことは無いんだ。
だから俺の本音を、本心を、聞いて貰おう。
認めて欲しいって、俺の気持ちを伝えよう。
一度でダメならそれを何度でも訴えるんだ。
藤堂さんに、悪影響が出ないよう。
そして俺は、藤堂さんに…
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「一成、よく頑張った。お姉ちゃんが褒めてあげる」
俺の袖をくいくいと引っ張りながら、花子さんから毎度おなじみいつものアピール。俺の頭を撫でたいとのことで…まぁ沙羅さんから許可を受けている以上、特に断る理由もないんだけど。
俺が花子さんの顔の位置くらいまで頭を下げると、早速、手が延びてきた。
そして、なでなで…と。
「いい子、いい子」
何度も何度も、花子さんは丁寧に頭を撫でてくれる。俺は下を向いているのでその表情は見えないが、その手の温もりから、優しさは十分に伝わってくるように思えて。
「…これ、私の学校だったらワリと騒ぎになったかも」
「…そうなの?」
「…うん。花子さんって、結構男子から人気あったんだよ? あの一件が終わってから特にね」
「…そうなんだ。でも人気があるのは、この学校でも同じかな?」
「…みたいだね。満里奈とふたりでW天使って呼ばれてるみたいだし(笑)」
「…うううう、洋子のいじわる!!」
「…ぐぅぅぅ、副会長、超絶羨ましい!」
「…俺も弟になりたい…なでなでして抱っこして欲しいぃぃぃ」
「…こ、この気持ちはなんだ、あの小さい姿に、俺は!?」
「…ふう、バカ共が居なくなったお陰で、やっと心置きなく西川さんが見れる」
「…いい…正統派って感じでたまらん!!」
「…俺にはもう、西川さんしかいない! 薩川さんは諦めた!!」
「一成、次はどこへ行く?」
「そうだな、三年の教室はこれで全部回ったから…」
順番で言えば、次はもちろん二年生の階になる。
それはつまり、沙羅さんと夏海先輩の教室がある訳で…当然そこには、俺の苦手な悠里先輩も居る。
うう、沙羅さんのクラスでなければ、絶賛スルーしたい。
「正直、私達のクラスは無理に寄らなくて良いと思います」
「だね。ぶっちゃけた話、歴史研究なんて内申アップ狙いが露骨すぎて、逆に萎えるわ」
自分のクラスの出展だと言うのに、夏海先輩も随分な言いぐさ…と言っても、俺も個人的な理由から、何気に助かったと思ってしまうのは許して欲しい。
「でも、一応は巡回しなきゃならないんで、寄るだけは寄りましょう。どうせ二年生の教室も全部回るし…」
「私の元クラスメイトも、コース分けでどの教室なのか分かりませんから…どこで会えるのかお楽しみですね」
「ウチのクラスにも何人かいるよ?」
「でしょうね。難関国立狙いでもなければ、無理に特進コースを狙う意味もないから」
ちなみに西川さんの話の意味は、俺も進学を意識するようになってから知ったことなんだが…
この学校では、特進コースで指定校推薦は貰えないとのこと。
と言うか、そもそも私立高校にある指定校推薦は、特進のような特別コースでは貰えないことが多いらしい。だから特段珍しい話じゃないんだと。
理由は単純と言えば単純で、要はこの学校の進学率に関わる話。だから特進は、難関大学に行くつもりでもない限り、選ぶ利点が無いというのが現状だ。
まぁ俺は、特進を狙わないから関係のない話だけど。
「さぁ一成さん、それでは次の教室へ向かいましょう」
「そうですね。それじゃ、お邪魔…」
ピーンポーンパーンポーン
先輩達に挨拶とお礼を伝えようとしたところで、教室のスピーカーから連絡放送のリズム音が流れ始める。
わざわざ「連絡放送」という形を取ったということは、何か問題が発生したり、重要な連絡の可能性もあるので…
沙羅さんも俺と同じ可能性を考えたのか、表情を引き締めると、スピーカーに目を向けた。
「やっほ~~~、皆のアイドル、みなみんだよ~ん!! 凛華祭、楽しんでる~!?」
「楽しんでるぅぅぅぅぅ!!」と、野郎共のどす黒い叫びが、どこかで聞こえたような。
この場で聞こえた訳じゃないのに、何故俺はそんな風に思ってしまったのか…我ながら嫌すぎるぞ。
「という訳で、業務連絡でーす。朝に続いて、またしても奇行に走る…ホントに走ってたみたいだけど…男子の一団が出現したと通報がありました~。他にも各所で騒ぎが起きてるって報告が来てるんだけどね。でもみんな、放送部は通報所じゃないんだゾ~」
みなみんの報告に、何となくでも想像がついて…
いやいや、俺には何のことだか分からないな。
不思議なことがあるもんだ。
「だから、ここからが本題ね~」
本題?
まだ他に重要な話がある…
「教室棟の三階にいる超絶バカップル!!! お前ら影響力が強すぎるから自重しろって言っとるやろが!!!! ええ加減にせぇよゴラァァァァ!!!!」
キーン…
マイクがハウリングしたような甲高いノイズ音を纏い、スピーカーから飛び出したのはとんでもない暴言。
みなみんさんには似合わないから、そんな言葉遣いはお止めになった方が良いかと思います。
でも教室棟の三階って…これまた偶然だなぁ、うん。
「…以上、みなみんからの業務連絡でした~」
ピーンポーンパーンポーン
「…………」
そして謎の業務連絡が終わり、それと同時に、何故か感じる周囲からの凄まじい視線。
嫌な予感をひしひしと感じながら、こっそりと周囲を見渡せば…
皆さん、どうして俺達を見ているのでしょうか?
「全く…みなみんさんには、言葉遣いを気を付けるようにもう一度注意しないといけませんね。それに、業務連絡としては不明瞭でした」
「…そ、そうですね」
不明瞭…いや、ここはツッコミどころじゃないから。
沙羅さんの言葉に激しく同意しながら、もう一度周囲を確認。
皆さん、白けた目でこちらを見ていらっしゃる。
仕方ないので、一応、心の中では謝っておこう。
毎度毎度、ごめんなさい…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回はちょっと予定変更して、親友達のシーンとオマケ(?)を挟んでみました。
本当は次の教室へ行くつもりだったんですけど…
神様から「そっちも書け」って言われたんですよ。
不思議なこともあるもんですね(ぉ
さて話は変わりまして、今回から後書きの場を借りて、これまでの不足情報に補足を入れさせて頂こうと思います。
と言うのも、本当であれば説明されていなければならない様々な事を語らないまま、気がつけば300話まで来てしまったからです。
本来であれば書き直して、本編にその描写を入れるべきだと思います。ですが、現段階ではその余裕がないので、一旦補足説明という形で簡易的に説明させて頂くことにしました。
これが邪道だと言うことは自分でも理解していますが、何卒ご了承下さい。
そして学校についてですが、ざっくりと「そういう学校なんだ」ということで納得して頂けるとありがたいです。まだ練りきれていないので、現実的におかしいと感じたことがあっても、スルーして頂きたいです。
という訳で、まずは学校の解説から始めます。
学校名、私立凛華学園高等学校。
出資は佐波が大半を占めている私立高校で、偏差値はそれなりに高く、大学の指定校推薦も多いです。
グループ校として中学があり、所謂「中高一貫」です。
併設はされていませんが、同じ市内にあります。
ちなみに沙羅さんも中学から入学しており、中・高と特待生です。
エスカレーター式なので、基本的には進学できます。なので、特に中学在学中に不良的に傾いてしまったやつなども、余程でなければ進学できてしまいます。
他にもスポーツ推薦組など、学力受験ではない生徒もいるので…
序盤で、一成や沙羅さんに対して問題を起こした連中もそんな辺りの連中でした。
一成は、もともと中学ではそれなりに真面目にやってきた生徒です。なので、内申点や成績は決して悪くありませんでした。
そして三年に入ってからは、孤立したことを切っ掛けに、県外へ脱出することを考えてひたすら勉強に打ち込みました。だからその分、更に成績が伸びてます。
比較的偏差値の高い凛華高校を狙えたのは、そういう経緯がありました。
そもそも一成が凛華高校を狙ったのは、ちょうど伯母さんの住んでいる地域にある学校だったからという理由が一つ。
そしてもう一つは、例年で入試の倍率が低くなることが分かっていた(一貫校に高校から入る生徒は少ないので倍率が低い)のが主な理由です。
あとは、この学校に入れれば、その後の進学に有利な面が多いと親を説得する意味もありました。ただし、実際のところ、本人は進学について深くは考えていませんでした(薩川家での進路に関する話の辺り)
一般入試で入ってきた一成のような生徒と、エスカレーターしてきた生徒は同じクラスに混在しています。でも一般入試組は、授業の遅れを取り戻す為に、特定の科目は別教室での授業となります。
そして一成がクラスに上手く馴染めなかった理由の一つがそこにあります。
成績が落ちていた理由も、要は授業の遅れがあるからです。
この辺りは、沙羅さんの毎日の家庭教師もあり、現在はかなり改善されました。
ちなみにですが、この学校は二年生からコースが分かれて、難関国立狙いの特進コース(文・理)、難関私立や公立狙いの進学コース(文・理)がメインになってます。(他もあり)
現在の沙羅は特進ではなく進学コース(文)に在席していて、これは一成と出会う前に考えていた自分の進路が、難関国立大である必要が無かった為です。
だから無難に、地元の大学(難関私立)へ通うことを考えてコースを決めました。
両親がそこのOBであることも理由の一つです。
とまぁ、学校についてはこんな感じです。
不自然なところがあると思いますが、そんなものだと考えて頂けると助かります。
次に、一成達の大まかな設定についてです。
数値の方は、以前コメントで質問された方にはそれとなく公表したのですが、そのときより多少の変動があります。ご了承下さい。
高梨 一成 (たかなし かずなり)
身長…169cm
体型…普通
髪型…耳がしっかりと出るくらいの短い七三分け
特筆する点のないごく普通の容姿。でも相手によってはバカにされたこともあるので、少なくとも上寄りではないかも。
服装の好みも特に無く、趣味も取り立てて無い。ゲームや漫画などは人並みに。
あと現在わかっていることとしては、射的が得意。
勉強は苦手ではなく、現在の成績は中の上くらいに伸びた(沙羅のお蔭)
柚葉の面倒を色々と見てきたこともあり、他人に対して気づかいが出来る人間。
困っている人に声をかけたり、財布はしっかり警察に届けたりと、そういうことが普通だと思っている。
その反面、過去のことがあり自分という人間に対する評価が著しく低い。
でも沙羅に関することであれば一切迷わない、自分に自信を持てるようになった。
沙羅と結婚することで、自分が将来、政臣の後継者になること、それがどういう意味なのか気付いていない。今は沙羅との交際に意識の大半を割いていることや、そもそも話の規模が大きすぎて想像に至らないこと。現社長(代表取締)が政臣ではないので、そういうイメージが湧いていないから・・・などなど。
薩川 沙羅 (さつかわ さら)
身長…158cm
体型…どちらかと言えばスリム寄り
髪型…腰上くらいまであるロングのストレート
和風美人、大和撫子(どちらも現代の誉め言葉として)と称されるくらいに、清楚で落ち着いた雰囲気を持ち、整った容姿と綺麗な黒髪が人目を惹き付ける。
年齢よりも大人びており、私服を着たら高校生に見えない。
着痩せするタイプで身体のラインが出る服を好まない。
だから、その辺の男子が想像している以上に大きい(某箇所)ことは、意外と知られていない。
男子の注目を集めるのが嫌いなので、私服は主にロングのスカートを好む。
膝上丈は絶対に履かない。
趣味は料理。特技は家事全般。可愛いものが大好きで、特に猫が好き。
特殊能力として、一成の考えていること思っていることを察することが出来る(完全にではない)
学力成績は常にトップ、運動神経も良い。
ただし普段はリミッターが掛かっているので、一成のことにならないと本気が出ない。つまり本当の運動能力は未知数。
一成にだけ妙に丁寧な言葉遣いが混じるのは、初めて仲良くなりたいと思った異性に対し、どうやって話せばいいのか分からなかったから。
せめて失礼にならないようにと悩んだ結果、そうなってしまった。
もともと丁寧寄りではあったので、慣れてしまい結局そのまま定着してしまった。
それについては本人は無意識。
夕月 夏海 (ゆうづき なつみ)
身長…166cm
体型…スリム
髪型…ショートでボーイッシュな感じ
どこか中性的な印象を受ける、カッコいい系スタイリッシュ美人。
テニスをやっていることもあり、体型としてはスリム。そして某箇所もスリム。
極僅かながら、ゆっくりと成長している…らしい(本人談)
言動もサッパリしていて人当たりが良く、面倒見もいい。その為に男女共に好かれる人柄。どちらかと言えば女子からの人気が高い。
服装は動きやすさを重視したものを好み、沙羅とは正反対。
何気に学力もあり、沙羅と同じ進学コースでも上位クラスの成績を取っている。
沙羅の女子力を羨ましいと感じることもあり、自主的に料理の勉強したり、雄二に対してギャップを感じさせる言動を示したりと、実は乙女な一面が多かったりする。
花崎 莉子 (はなさき りこ)
身長…143cm
体形…小さい(色々と)
髪型…典型的なツインテール(ウェーブのないストレート)
通称、花子さん。
中二的な考え方で、過去の自分は封印したということで偽名を名乗った。
でも実際のところは、もともと一成達とは利害関係の一致なだけで、これっきりの繋がりだと割り切っていたので敢えて本名は伏せた理由もある。
小学生から身長その他がなかなか成長しないことがコンプレックス。
本人は大器晩成(?)だと信じているが…遺伝の可能性もあり。
笑顔を見せない上に、ぶっきらぼうな喋り方をするので、付き合い難い人間だと思われがち。
幼い外見ながらも特有の可愛さを備えており、特にそっち系の大きいお友達からは沙羅以上に大人気。
趣味は読書。中二的な発言や言動を見せるときもある。
沙羅と同じ特殊能力を持っている(沙羅が10とすれば、7くらい)
ヒラヒラとした可愛い服装を好む傾向があり、その辺りは自分の外見を理解している節がある。
何気に成績は学年最上位クラスで、見た目に反して精神年齢が高い。
密かに一度、夏か冬の大祭へ行ってみたいらしい。
今回はここまでです。
今後、何回かに分けて主要キャラの説明を入れていこうと思います。
それでは次回にまた~。
P.S 沙羅さんに抱っこされるときは、一成は頭を引き寄せられるので、自動的に前かがみのような状態になってます。
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