長すぎず短すぎず、それでもそのお話の中で起承転結がしっかりしている物語だと思いました。風景描写と心理描写がいいバランスです。各話の主人公の気持ちはきっと誰もが抱えたことのあるような気持ちで感情移入もしやすかったです。その一方で、ぞくっとする場面もあってその緩急の付け方がいいなと思いました。
章というより、その回の依頼人によって話数が区切られているのが、まず印象的でした。内容も、人の心理描写がリアルに描かれていて、そのうえで匣(はこ)というフィクションがあらゆる面で影響を与えて行く。ある意味、振り回しているとも取れなくもないですが、それでも救われる人、己の業により罰を受ける人……それぞれの描かれ方が魅力的な作品です。まだ途中までの拝読ですが、続きがとても気になる作品です。最後まで追わせていただきたいと思います。これを機会に、ぜひ読まれてみてはいかがでしょうか?
タイトルからして怪しい雰囲気を持っている。作中描かれる登場人物の心情も丁寧で共感出来る。一話一話のタイトルも冴えてますね。記憶がテーマになっていて、比較的ライトな怪奇、伝奇物としてお薦め出来ます。