人生にときおり訪れる限りなく美しい瞬間
- ★★★ Excellent!!!
- イトリトーコ
人生は何があるかわからない。
それは順風満帆から思わず躓いて転落をしていくというようなこともあれば、
どん底にいて思いもよらない形で手を差し伸べられることもある。
自殺しようと川に飛び込んだら力士20人に助けられるなんて思わないじゃないか。
嘘のような本当の話が現実にあり、この小説はそんな嘘のような本当の話を、さらに純化したフィクションだ。
自分が既定路線だと信じ込んでいた不幸、自分の運命だと思っていた不幸がふいに打ち破られる驚きと喜び。
力士たちはまるで生命力の象徴だ。
どすこいはハレルヤだ。
叫べ! 声を張り上げ! 拳を振り上げ!
「どすこーい! どすこーい!」
世界はそのとき限りなく美しい。