第17話

「なんだー?ここ〜」

「すげー」

「大きい!」


 チビどもが来たことによってさらに騒がしくなった。だが、こういう騒がしさも嫌いでは無い。


 僕は勲に視線でサインを送る。


「みんな!静かに!!」


 勲の相変わらずの規格外な大声で頭痛がした。


「バカ、誰がそんなバカデカい声出せっつった。勲、オメーの声のデカさなら普通に喋るだけでもこの部屋全体に届くだろーよ」


「ムッ、すまなかった」


 そんなバカ正直に謝れると逆に困るのだが。


 そんな事を思いながら僕はチビ達の集まっているところの前に立ち、ニヤリと笑う。


「よー、チビ共。この部屋全体使って全力で遊べ!!ボールなんかは少ないが一応用意はしてあるぞ!」


「「「わあっ!」」」


 僕の話を聞くなりいっせいに走り回った。

 サッカーをする者、鬼ごっこをする者、縄跳びをする者....それぞれだが、小さい頃に祖父が見せてくれた「昔の地球」の、小学校の校庭の写真の風景に良く似ていた。


 昔は、暑さも気にせず外で遊び回ることが出来たのだろうか?


 人間が、地球をあんなに壊してしまう前は....


 まあ、過ぎてしまった事を今更グダグダ言っても何も始まらない。

 第一、僕が生まれる前の、何十年も昔の話だ。


 残念な気はするが、別に悲しくは無いからな。


 僕は勲の顔をチラリと見てみる。


 同じ事を考えていたのだろうか、かなりシケたツラをしている。


「勲、今のお前の顔を千寿が見たらなんて言うだろうな」


「ハッ!俺、変な顔してたか?」


「いーや、シケたツラしてた」


「うーん、昔はこれが当たり前だったのかと思うとどうしてもな....」


体育会系にとってはインドアが普通な世界はキツかったのかもな。

 外は暑すぎて遊び回るなんてのはとてもではないが出来ない。


「オメーにそんな顔は似合わねーよ。第一、そんな顔のお前を見たら愛しの千寿サマが心配するだろうよ。」


「いっ、いいい、いとし......!?」


 あ、もしかして意外と純情少年的な...?


「すまん、すまん。千寿には言ってねーから安心しろ」


 告っちまった方が楽だと僕的には思うんだがな。


 ちょっとしたお詫びってことでアレを出すか。


「勲、ここで待ってろ。良いもん取ってきてやる。」


 一度ちょっとどこかの星にとまる必要がありそうだ。


 自然と笑みがこぼれる。





 この船に、世界中の天才たちによってつぎ込まれた最高技術の見せ所だ!

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