強くなるために、記憶を呼び覚ませ
君たちにも教えてあげよう。2017年に世界が崩壊したというのに、なぜ彼らが生き残ることができ、どのようにしてその地獄を切り抜けたかを。
培養液に漬けられ、機械に接続させられた脳髄が、男とわかるのはこの機械から発される音声が男性の声だからということであり、見た目からでは不気味ということしかわからない。
あれは記憶に新しい2017年の4月のことだった――
喧嘩で殴られた腕の痛みで深夜に目を覚ました青年カイリは、突如としてスマホから鳴り響いた不気味なアラームと共に、表示された『ミッション発令』という文言の指示通りに家の外へ出る。そこは人が消えた東京――吉祥寺であった。
喧嘩ばかりの17歳高校生、有馬海莉は望ミ人全員に等しく与えられるトリガーと呼ばれる力、左手に力を溜める力を駆使して、この消えた人の代わりに自らを襲う獣が蔓延る東京で生き残る決意をする。
人が消えたのか、世界を移動したのか。全てが謎の世界で、同じく望ミ人である紅の魔導士クロガネや、氷結の治癒師リッカと共にこの世界の真実を解き明かすために、人が消えた世界を歩き始める。
※縦組み推奨です