第3章 入学 第4話

 しばらくすると、彼らの担任である小沼が教室にやってきた。


「これから、資料を配るから、それを見ながらガイダンスをしよう」


「はい」


 彼らの手元に配布されたのは、今年開講される講座の講座名、講師、その主な講義内容について書かれたシラバスだった。

 

 表紙をめくると、目次があり、そこには次のような項目が書かれていた。

 1.全コース共通科目

 ・統計学

 ・日本の絶滅危惧種

 ・日本の外来生物

 ・自然環境政策論Ⅰ


 2.専門科目

  「野生鳥獣管理コース」

 ・解剖学

 ・狩猟学

 ・実践狩猟技術論

 ・狩猟関係法規

 ・外来生物対策論


 この専門学校は、基本的なことは一年生の段階でほぼ修了し、二年生では各自が鳥類やほ乳類、両生は虫類などの専門に分かれて学習し、即戦力として環境系の会社やアウトドア系の会社、さらには行政へと巣立っている。


 他大学からの編入した三名は、一・二年次の学習内容を十分知らないため多少不安に思うところはあったが、新しい科目、知識との出合いの方が、その不安を超えていた。 


 専門科目の欄には、このほかに『環境公務員コース』と『環境技術者コース』の二コースが記載されていたが、自分たちが学ぶ「野生鳥獣管理コース」という文字が目にとまる。


 その次のページからは、これから学ぶ科目名とその指導者、授業計画が記載されており、この一年間でなにを学ぶのかがなんとなくイメージすることができた。


 二年生までの学習をベースに、三年生では狩猟免許の取得、基本的な捕獲スキルの習得を、四年生では実際の捕獲現場でのインターンシップが行われるように構成されている。


 共通科目は、ともかくとして、専門科目でなにを学ぶのかが興味の中心となっていて、四人とも共通科目のページはさっと見ただけで、飛ばして専門科目のページへと進んでいった。

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