第3章 入学 第1話

 柴山も銃のライセンスを取得することができた。第1種銃猟免許はすでに試験が終了していて、来年度の受験となるが、来年の猟期には柴山も後田と一緒に狩猟ができることになる。


 そんな思いを共有しながら、いよいよ専門学校での授業が始まる四月を迎えることになった。 


 四月は入学式からはじまると思っていたが、柴山と後田は編入学扱いなので、一応入学式には出席したが、なんだかおまけのような感じがした。


 四年制学科の定員は二十名。さらに、学科の中でコースが分かれているが、柴山と後田が選んだコースは「野生鳥獣管理コース」であった。


 コース定員は五名。少数精鋭での専門教育を意識していることが伺える。


 新入学の一年生には、この四年生学科を最初から希望して入学した学生もいるが、新二年生が入学した時にはまだこの四年制学科は開設されていなかったので、現時点で在籍者はいない。


 二年制学科の卒業生で四年制学科に編入してきた学生がいると山里から事前に聞いていたので、大学からの編入組の柴山と後田の合計三名と思っていたら、入学式の会場で後から声を掛けられた。


「おはようございます」


「おはようご・・・、あれ?」


「瀬名さん、どうしてここに」


「私も編入したの。驚いた?」


「驚いた。驚いた。だって、実家を手伝うんじゃなかったの」


「そう、でも柴山君や後田君と射撃場であってから、この学校のことが気になって、思わず受けちゃった」


「へぇ、そうだったんだ」


「うん、よろしくね」


 三人は、すでに知り合いだが、二年制学科からの編入者とは、その時が初対面であった。


「はじめまして、松山です」

「はじめまして、柴山です」

「はじめまして、後田です」

「はじめまして、瀬名です」


 校長先生や来賓の祝辞を含め、お決まりの挨拶が済めば新入生の誕生である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る