第2章 迷走 第24話
「山里さんも普通の狩猟者と一緒に狩猟もしているし、もともとうちの巻き狩りのシステムを考えるきっかけになったのもある狩猟グループの巻き狩りが参考になっているからね」
「そうなんだ」
「そうそう、山里さんがいないうちに面白い話を教えちゃおうか」
「えっ、なんですかそれ」
「山里さんが、その巻き狩りのシステムを参考にしたグループでの出来事なんだけれど、捕獲したイノシシを尾根から沢に落として回収しようとしたら、滝壺に落ちて浮かんでこなかったらしい」
「へぇ~」
「それで、みんながどうしようって相談していたときに、山里さんが素っ裸になって滝壺に入って回収したらしい」
「えぇ~、冬にですか」
「うん。真冬に、素っ裸で滝壺に」
「げっ!」
「イノシシの脚にスリングを結びつけて、その末端を仲間に渡したら、みんなイノシシを引っ張るんだけれど、滝壺から這い上がる山里さんには手を貸してくれなかったって笑い話」
「へぇ~」
「そんなことがあってから、そのグループとはとっても仲良くしてもらっていて、俺や竹山さんもお世話になっているんだ」
「面白いですね」
「趣味の狩猟だからね。仲の良い者同士が集まっていて、その中でちょっと破天荒なヤツがいたら面白いでしょう」
そんなタイミングの時に、山里が戻ってきた。
坂爪は、人差し指を唇に当てて、「シー」という仕草を山里に見えないように二人に送ってきた。
山里の姿からは、そんな破天荒なことをするようには思えないが、思わぬ一面を聞かされて、更にこの集団に惹かれはじめていた。
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