第111話 告白
マヤ「そういえばさ、つかさの好きな人って誰だか知ってる?」
飛鳥「え!誰なの!?」
吉良「気になるじゃないか!教えておくれ!」
マヤ「それはね…」
満点の星が光る空の下、砂浜には二人の選手が座っていた。二人とも波の音に耳を傾けて空を見上げている。
つかさ「すごく綺麗だね。」
愛子「うん。でも、冬になると空気が澄むからもっと綺麗だと思うな。」
つかさ「そうなんだね。愛子は物知りだね。」
愛子「…あのさ、つかさ。」
少し震えた声で切り出した。
つかさ「どうしたの?」
愛子「こんな事聞くのもなんだけど…私、真っ先に君に抱きついちゃったけど…その…嫌じゃなかった?」
つかさ「…全く?寧ろ…嬉しかったよ。」
愛子「…そっか。ありがと。」
つかさ「もう今年は全国とれないけど、皇后杯は頑張ろうよ!プロとも戦えるなんてすっごくワクワクしない!?」
愛子「そうだね。来年の弾みにするためにも絶対に勝ち進もう!」
二人はまた星空を見上げた。波は絶え間なく音を立てている。
愛子(…?)
つかさ「…気づいた?」
優しく微笑んだつかさの手は愛子の手の上にあった。愛子は少し照れくさそうに笑った。
愛子「君が私を殴ろうとしたあの瞬間だけ君のことを大嫌いと思ったけど…。」
つかさ「…本当にごめん。」
愛子「いいんだよ。それで気付いたんだ。君がいなくなってから、私の心はずっと満たされないままだったこと。」
つかさ「私も同じこと思ってた。」
それを聞くと愛子はつかさの肩に頭を預けた。
つかさ「変な話だからスルーしても構わないけど、聞いてくれる?」
愛子「いいよ。」
つかさ「私ね…愛子のことが好きなの。」
少し眉毛を上げた愛子は少し間をおいて聞いた
愛子「…それは友達としてではなく?」
つかさ「うん。」
愛子「そっか…。いやぁ、困ったなぁ。こういう時なんて言えばいいのか…。」
肩に預けていた頭を上げて愛子は考えた。そして、考え抜いた先に選んだのは…
つかさ「…!?」
愛子「言葉で表現するの難しいからさ、こういう形で表した。私も大好きだよ。つかさ。」
抱きしめた。つかさは最初こそ戸惑ったが、愛子も同じ気持ちだと知ると、同じように力強く抱きしめた。
つかさ「これからサッカーもだけどさ、二人でいろんなこと楽しもう?」
愛子「うん。こちらこそよろしくね。」
二人は顔を見合わせると目を瞑り唇を重ねた。
その様子を陰で見ていたのはエンプレスのメンバーであった。
吉良「あっ…!ちゅーした!ちゅーしたぞ!」
飛鳥「やばっ!めっちゃロマンティック!」
光「他人が生でしてるのを見ると、こっちまで恥ずかしくなってくるな…。」
神谷「あの二人がねぇ…!」
マヤ「でも、本当にお似合いの二人ね!」
佐久間「見つかる前に早くずらかるぞ。」
翌朝の練習前のミーティングにて
後藤「…以上で今日のメニューの説明は終わりだ。今日から各チームにエンプレスから二人ずつ入ってもらうから、練習の指示があれば従うように。それと、部内恋愛は自由だがあんまり堂々と惚気ないように。分かったな?愛子、つかさ。」
「えぇえぇえぇえぇえぇ!?!?!?」
二人は顔から火が出そうになっている。
つかさ「ななな何で知ってるんですか!?」
後藤「え?…いやまあ、エンプレスの背番号4がデカい独り言話してたから小耳に挟んだだけでな…。まさか本当とは思わなかったが…。とにかく、恋愛は自由だからなっ。みんなもあんまり揶揄い過ぎないようにするんだぞっ。」
後藤も顔が赤くなっている。吉良は食堂から逃げ出そうとしていたが愛子に見つかった。
愛子「くっそ〜!追いかけろ〜!」
吉良「ごめんよ〜!まさか聞かれてるとは思わなかったんだ〜!許しておくれ〜!」
後藤「そのままラントレに行ってこ〜い!」
その他のメンバーも二人を追いかけるように続々と食堂と抜け出し、グラウンドに走って行った。その後すぐに吉良が捕まり、つかさと愛子から大目玉を喰らったことと二人が他のメンバーから色々と質問攻めにあったのは言うまでもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます