第39話 淫れの予感……。
そして次の日の朝。
登校して下駄箱を覗くと……。
「ん?」
紙切れが一枚入っていたのである。
「なんだ……?」
2つに折られているそれを開いて、中を見てみると……。
『ざまぁ!』
とだけ、太マジックで書かれていた。
「な、なんだ……?」
意味がわからねえ。
何故いきなり俺が『ざまぁ』されなければならんのだ!
まったくもって、身に覚えがない……。
「き、気持ちわる……!」
俺はすぐに、その紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
* * *
何となくイヤーな気分で一日を過ごす。
しかし、下校の時間になった途端にどうでも良くなった。
これから崇高なムキムキタイムなのだ。
市営体育館に行けば、マミさんもナオミさんもいるだろう。
最新鋭のトレーニング機器もそろっていて、まさに筋肉のパラダイスである。
「よーし! やるぞー!」
俺は殆どダッシュで市営体育館へと向かった。
* * *
「こんにちわー!」
「あら、ハルキ君。久しぶりー」
「金曜日ぶりっす!」
土日月と会えなかっただけで、随分と会っていなかったような感じがする。
マミさんは相変わらず美人で、清々しい石鹸の香りを放っていた。
「えーと……ナオミさんは……あっ、いた」
――ガション! ガション!
ナオミさんはバタフライマシンで大胸筋を追い込んでいた。
スポブラに包まれたおっぱいが上下に激しくゆれる。
丸出しのおへそや肩、そして脇の下に、滴るほどの汗をかいている。
ポニーテールに結ばれた金髪の先までもが汗に濡れ、何とも言えぬ色香を撒き散らしていた。
「ふうー、おっぱいがぱんぱんだぜー」
「お、お疲れ様です!」
俺も変な場所がパンパンになりそうです!
「おおー、ハルキ君じゃん! 久しぶりー」
ナオミさんはタオルで汗を拭きながら休憩スペースまでやってくる。
そして、自前のドリンクを飲みつつ。
「あれ? 1人なの?」
「ええ、そうなんです……。遊子は体調を崩していて」
「へえー、そうなんだー」
と言ってナオミさんは、ちらりとマミさんの顔を見た。
マミさんは軽く肩をすくめつつ、どこか含みのある微笑を浮かべる。
「なるほどねー」
「ユーコちゃんも大変よねっ」
そして2人だけで、何やら納得した。
マミさんは遊子の親戚なのだし、もう既に拒食症気味なことを知っているのかもな。
「さて、今日はどこを鍛えるんだい?」
「えーと、特には決めて無かったんですけど……」
元気が有り余っているので、できるだけキッツいトレーニングが良いなぁ。
なーんて考えてしまうあたり、俺も随分とのめり込んだものである。
「ふむっ、キミはここ一週間で、大体のトレーニングは経験しただろう。そろそろ、自分のメニューを決めた方がいいな」
「メニューですか?」
どんなトレーニングを、どんな順番でやるかといったことか。
どんどん本格的になっていくな。
「うん、そうだ。1週間のトレーニングメニューだね。休館日以外は毎日来ているんだろう?」
「はい」
「よしっ、じゃあまずは、先週一週間のおさらいをしていこうか!」
「うふふふ、このノートをあげるから、ハルキ君のトレーニング記録にするといいわ」
「あ、ありがとうございます!」
俺は早速、マミさんにもらったA4ノートに、先週一週間のトレーニング内容を書き出していった。
火曜日 ベンチプレス 30kg×10 40kg×5 30kg×10
水曜日 スクワット×10×3セット 遊子おんぶスクワット×10×2セット
木曜日 ラットプルダウン 20lb×限界まで×3セット
金曜日 ショルダープレス 10lb×30、20、15
ダンベルレイズ(フロント、サイド、リア) 2kg×10×3セット
1kg×10×たぶん3セット以上(暴走してよく覚えていない)
土曜日 クランチマシン 3セット
デッドリフト 20kg×20 40kg×7(握力が限界)
40kg×5(ミックスグリップ)
日曜日 デッドリフト 30kg×10 40kg×10 50kg×7
60kg×5 70kg×4 80kg×3×3セット
月曜日 休養日
「ふむふむ……胸、腕、脚、背中、肩、腹筋……全身くまなく鍛えて、日曜日に全身運動のデッドリフトで締めか……うん! もうすでに、立派なメニューになってんじゃん!」
「土曜日がすこーし物足りないくらいねー。デッドリフトは日曜日に集中してやるとして、何か良いプログラムが無いかしら……」
「は、はわわ……」
ベンチに座ってノートにカキカキしている間に、俺はマミさんとナオミさんに挟まれていた。
2人とも横から覗き込むようにしてノートを見ているため、俺の肩に2人の体が密着してしまっている。
右からはマミさんの石鹸の香り、左からはナオミさんのシトラス系香水の香り。
このまま家に帰ったら、遊子あたりにクンクン嗅ぎつけられること間違いなしだ。
「何はともあれ、今日はベンチプレスだな!」
「は、はい……!」
と言って、ナオミさんは俺の肩を叩いてきた。
きっとまた……あのちょっとエッチな『補助』をしてくれるに違いない。
(フ……フオオオ!?)
い、いかん! 思い出しただけで股間にテントが……!
2日続けてアレが来てないために、俺のビッチはすこぶる絶好調である!
(し……鎮まれえええ!)
2週続けてテントを張ってしまったら、間違いなくナオミさんに愛想をつかされる。
俺は、鉄の意志をもってベンチプレスに望む決意を固めた!
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