第7話 偽装夫婦、○○。【終】

「ろ、ロードさんっ?」

 ロードにベッドへと押し倒されてあたふたするシオリ。しかし名前を呼んでも返事がなく、押し倒してからピクリとも動かない。どうしたのかとロードの顔を覗きこもうとしたとき。

 バタリ。

 ロードがシオリの隣にうつ伏せになる形で倒れた。どうしたのかと心配になって仰向けにさせると、呼吸がやけに荒く顔がいつもより赤くなっていた。額に手を置くと。

「熱い・・・」

 危機感を感じたシオリの行動は早かった。まず桶に冷水を溜めてそこにタオルを浸してから程よく絞りロードの額にのせ、風通しが良くなるように寝室の窓を全て開けた。

「ロードさん大丈夫ですか!?」

「あっ、ああ・・・」

 そう反応したのも束の間、すぐに目を瞑り苦しそうにしていた。

(多分のぼせたんだろうけど、今の様子だと凄く心配・・・)

 それからしばらく、シオリはロードの許を離れることなく、看病をした───。



 翌朝。

 ロードは目を覚まして身体を起こそうとすると、違和感を感じたのでそこに目を向けると。

「し、シオリさん!?」

 ロードの右半身をシオリが抱き付いて眠っていた。

 彼女は時々「ロードさん」と呟いており、凄く心配していたのがわかる。しかしロードは、風呂上がり後の記憶が曖昧なため、何がどうなっているのかいまいち状況が掴めない。

(とりあえず、シオリさんを起こさないように・・・)

 彼女に気を遣って起きようとしたら、思いの外強く、それでいて痛くない程度に抱き付いているので、身体を起こそうとしたらセットでシオリも付いてきてしまう。

(どうしたものか)

 と四苦八苦する。

(まあ、このまま寝続けるのもありか)

 そう結論付けた彼は、右半身に抱き付いて眠っているシオリと共に、二度寝するのだった───。

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諜報部に早くカップルになって欲しい男女がいます。 比企谷こうたろう @HiKiGAYAkotaro

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