ロキと紙祖神のカジノ③

「し、白金貨百枚分(約一千万円)のチップをレイズするとは……」


男の付き添いがそう呟くと、ボクは自信満々に呟いた。


「先ずは少ない金額で様子見だねっ!」


ボクがそう呟くと、紙祖神が冷静な口調で話しかけてくる。


「いえ、十分大金ですよね? 少なくない金額ですよね?? 私の手持ちは白金貨百枚しかないんですよ? このゲーム、フォールドしてもよろしいでしょうか……」


そんな弱気な事を言う紙祖神の言葉を受け流すと、ボク達を勝負に誘ってきた男が話しかけてきた。


「おやおや、手札二枚を見て白金貨百枚分のチップをレイズするなんて、随分と自信があるようだね?」

「うん。勿論さ♪ 自信もなく白金貨百枚は賭けれないよ。紙祖神はどうする?」


 ボクは話しかけてきた男の話を軽くいなすと、紙祖神に向かって話しかける。


「……そうですね。ロキ様が私の話を聞いてくださらないはよく分かりました。私の持つ白金貨は悠斗様に頂いた百枚しかないので、このゲーム、降りさせて頂きます。というより、他のゲームをしていてよろしいでしょうか?」


 そう紙祖神が呟くと、ディーラーに二枚のカードを返し『フォールド』と呟いた。

 すると、男達の内一人が焦ったかの様な表情を浮かべる。


「お、おいおい。少しペースを上げ過ぎじゃないか?」

「まあまあ、いいじゃありませんか。相当、ポーカーに自信があるのでしょう。それでは、私もコールさせて頂きます」


 そう言うと、男は白金貨百枚分のチップを積み上げコールした。

 他の男達も渋々、チップを積み上げコールしていく。


「それじゃあ、次にフロップだね」


 男はそう言うとディーラーに視線を向ける。

 ディーラーはそれに頷くと、テーブルの中央に置かれた五枚のカードの内、三枚を表にする。


 表になったカードは全て同じ絵柄、スペードの『A』『J』『Q』。

 男達は驚きの表情を浮かべる。


「へえ、これは珍しい。『ロイヤルストレートフラッシュ』が狙えそうだね」

「ロイヤルストレートフラッシュ?」


 ボクがそう呟くと、男はヤレヤレと言った表情を浮かべた。


「もしかしてロイヤルストレートフラッシュを知らないのかい? ロイヤルストレートフラッシュとは、『A』のカードを含んだ全て同じマークでストレートが揃っている状態の役を言うんだよ。この役はポーカーの中で最強の役。0.031%の確率でしか出現しない役なんだ」

「ふ~ん。そうなんだ♪」

「まあ、中々、お目にかかれる役じゃないからね、しかし……」


 そう言うと、男は白金貨二百枚枚分のチップを積み上げコールした。


「運は私に味方した様だ」


 そう言って男は笑顔を浮かべると、他の男達に視線を向ける。すると、他の男達が次々とゲームから降り出した。


「フォールドだ。勝ち目がねぇ」

「俺もフォールド」

「俺もだ」


 そう言うと手札を伏したまま、ディーラーに預けていく。


「君達はどうする?」


 男は自信満々にそう言った。

 随分と手札に自信がある様だ。


「そうだね~♪ それじゃあ、白金貨一千枚分(約一億円)のチップをレイズしようかな?」


 ボクがテーブルの上にチップを積み上げると、男は驚きの表情を浮かべる。


「し、白金貨一千枚分……き、君は……」

「ロ、ロキ様っ!?」


 この行動には紙祖神まで驚いている様だ。


「大丈夫、大丈夫♪ 白金貨一千枚は大金だからね~♪ 紙祖神はフォールドしても構わないよ?」

「い、いえ、もうフォールドしていますが……本当にあなたは自分の興味のある事以外には全然、話を聞かないのですね……まあ、いいでしょう。ロキ様、後は頼みましたよ?」

「うんうん、任せて♪」


 そう言うと、ボクは男に向かって視線を向ける。


「さて、お兄さんはどうする? コールする? レイズする? それとも、フォールドする??」

「ふふふっ、まさか、この私がフォールドする訳がないでしょう? 当然、コールさせて頂きますよ」


 男はそう呟くと白金貨一千枚枚分のチップとなる様、テーブルにチップを積み上げていく。

 テーブルには、既にフォールドした男達の白金貨三百枚が、そして今、降りずに勝負している男とボクの白金貨、合わせて白金貨二千枚枚分(約二億円)のチップが積み上げられていた。


「もう二人だけの勝負となった訳だし、『ターン』と『リバー』分のカードも公開して『ショーダウン手役の比較』と行かないかい?」

「うん? 別に構わないよ~♪ どちらにしろ、勝つのはボクに決まっているからね♪」


 すると男は笑みを浮かべる。


「いやはや、相変わらず凄い自信だね。それならどうだい? 君が持っている全ての白金貨を賭けてみては……」

「えっ? お兄さんはそんなに白金貨を持っているの? 資産家だねぇ♪ それじゃあ、遠慮なく……」


 ボクはそう言うと、悠斗様から貰った収納指輪から白金貨五十万枚(約五百億円)を取り出した。


「それじゃあ、ディーラーさん♪ この白金貨全部をチップに変えてくれるかな?」


 するとディーラーが驚きの表情を浮かべる。


「こ、この白金貨全てをチップに変えるのですか!?」

「うん、勿論♪ そこのお兄さんも何やら自信があるようだからね♪ ショーダウンが楽しみだな♪ ね~お兄さん?」

「あ、ああっ、そ、そんな大金を持っていたのかっ!? ま、まあいい……」


 男はそう言うと、ディーラーに視線を向ける。

 そして商業ギルドのギルドカードをディーラーに見せると、ディーラーは驚きの表情を浮かべた。


「デ、ディーラー君、私もコールだ……と行きたい所だが、手持ちの所持金が足りなくてね。商業ギルドには、白金貨六十万枚分を預けてある。そこから白金貨五十万枚分の資金を引き出しチップに変えてくれ、分かっているな?」

「か、畏まりました。評議員の一人、ライシオ様の頼みとあれば……すぐにチップに交換させて頂きます」


 そう言うと、ライシオはギルドカードに預けられた白金貨五十万枚分をチップに変え、テーブルへと積み上げた。

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