Cランク冒険者誕生
俺達はケァルソイ迷宮を第30階層まで攻略し、モンスターというモンスターを狩り尽くすと、エストゥロイ領にある冒険者ギルドへと向かう事にした。
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
受付のお姉さんが笑顔でそう呟く。
「ケァルソイ迷宮で大量のモンスターを狩ってきました。彼等の冒険者登録とモンスター素材の買取、そしてこの目録にあるモンスターの討伐依頼を見繕って頂けますか?」
「はい。目録を拝見させて頂きます……。えっ!?」
目録を見た受付のお姉さんが驚きの表情を上げる。
「こ、これは本当ですか!?」
どうやら受付のお姉さんは目録に書かれたモンスターの討伐数が信用できない様だ。
因みに目録にはこう書いてある。
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オーク(亜種)×100体
オークロード(亜種)×10体
オークキング(亜種)×2体
ミノタウルス(亜種)×100体
ウッドペッカー(亜種)×200体
ヒルマイナ×200体
コカトリス×6体
ロックバード×200体
フェニックス×2体
スナイプ×200体
ターキー×200体
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一度にこれほど多くのモンスターを狩ってくる冒険者は珍しい。それが例えパーティーを組んでいたとしてもだ。
しかし、本当なのだから仕方がない。
手を震わせながら目録と睨めっこをしている。
「し、しかし……。いえ、確かめれば分かることですね。それでは、この目録に合った討伐・常設依頼を集めておきますので、素材買取カウンターの倉庫でお待ち下さい。すぐに、職員を向かわせますので……」
「はい。わかりました」
しかし、全員で素材買取カウンターに行くには人数が多すぎる。
「エルザさんとスマトラさんは俺に着いて来て下さい。それ以外の者は今の内に冒険者ギルドへの登録を進めて置く事。じゃあ、後はよろしくね!」
「「「はい!」」」
従業員と共に素材買取カウンターに向かうと、早速倉庫へと案内される。
「それでは此方にモンスターを並べて下さい」
「はい。わかりました」
収納指輪からケァルソイ迷宮で狩ったモンスターを並べていくと、職員さんが呆然とした表情で呟く。
「ほ、本当だったのか……」
そして収納指輪からモンスターを出し切ると、何故か職員さんが倉庫から出て行ってしまう。
暫くすると、職員さんが他の職員さんを連れてくる。
「な、なんじゃこりゃあ?」
モンスターの数を見て応援を呼びに行ったらしい。
応援に来た職員さんも呆然とした表情を浮かべている。
「えーっと、何か問題ありますか? 目録通りにモンスターを並べたんですけど……」
「い、いえ! 問題ございません! すぐカウント致しますので、こちらの木板を持ってギルドの受付近くでお待ち下さい!」
俺達が見守る中、目録を持った職員さん達が倉庫に並べられたモンスターをカウントしていく。
「じゃあ俺達は受付に戻ろうか」
「はい。それにしても、俺達……。こんなに大量のモンスターを倒していたんですね」
「確かに……」
おそらく収納指輪にモンスターを入れていた為、実感が湧かなかったのだろう。
このモンスターの量には驚きの表情を浮かべていた。
「鳥型モンスターが多かったからね。倒したモンスターは収納指輪に入れていたし、実感が湧かなくても仕方がないよ」
素材買取カウンターの倉庫を出た俺達が、冒険者ギルドの受付近くにある待合所で待つ事数十分。
「受付でお待ちの悠斗様。いらっしゃいませんか?」
「はい」
受付のお姉さんに呼ばれ、返事をすると「お連れの方々と一緒にこちらでお待ち下さい」と会議室の様な所に通される。
暫くすると、受付のお姉さんが従業員達のギルドカードと書類の束を持って現れた。
そして従業員達の前に書類の束とペンを置いていく。
どうやら書類の束と思っていたものは、常設依頼と討伐依頼の依頼書のようだ。
「さて、先ほど素材買取カウンターより、目録通りのモンスターを確認したと連絡がありました。つきましては、ランクアップ手続きを進めるため、こちらの依頼書にサインをお願いします」
従業員さん達は例に漏れず依頼書の量に茫然としている。しかし、この依頼書を処理しないと、ランクアップ手続きに移れないというのだから仕方がない。
「それじゃあ皆さん。頑張って下さい」
俺にできる事は精々、従業員達の応援をする事だけだ。
そこから数十分。従業員達は膨大な量の依頼書にサインをしていく。そして、最後の依頼書にサインをすると皆一斉に力尽きた。
皆、よく頑張ったと褒めてあげたい。
俺に褒められて嬉しいかどうかはわからないけども……。
「お疲れ様でした。それでは皆様にギルドカードをお渡しします。発行にかかる費用は報酬から差し引かせて頂いておりますのでご了承下さい」
受付のお姉さんが従業員達にギルドカードと報酬を配っていく。
「これが私のギルドカード……」
この日、エストゥロイ領の冒険者ギルドに23人のCランク冒険者が誕生した。
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