全従業員戦う店員さん化計画
「皆さん武器は持ちましたか? それではこれより、実技研修として王都にあるヴォーアル迷宮に入りたいと思います。」
悠斗たちは今、王都ストレイモイにある冒険者ギルドが管理しているヴォーアル迷宮に来ている。
このヴォーアル迷宮に入るためには、冒険者ギルドに登録している必要がある。しかし、冒険者ギルドに登録しなくても迷宮に入る方法がある。
そう、それは迷宮で採った鉱石やモンスター素材を運ぶポーターと呼ばれる仕事、早い話、その冒険者の荷物持ちという扱いであれば、冒険者1人につき最大10名までポーターを連れてヴォーアル迷宮に入ることができるのだ。
ちなみに、なぜ迷宮で実技研修を行っているのか、それには深い理由がある。
商業ギルドからの横やりが想定される中、様々な嫌がらせや、不当な暴力を振おうとする
悠斗の目指すところは、全従業員戦う店員さん化である。
ちなみに、残りの従業員40名に関しては、ウッチー、トッチーによる接客マナー研修、店内清掃の仕方、商品陳列、品出し研修を行って貰っている。なお最終的には、全員に迷宮に挑んでもらう予定である。
ちなみに、ヴォーアル迷宮の概要は次の通りである。
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迷宮名:ヴォーアル迷宮
踏破階数:41階層/80階層
現状:冒険者ギルドの管理迷宮。40階層まで踏破済。
1~10階層:草原フィールド(10階層ボス:キングゴブリン)
11~20階層:草原フィールド(20階層ボス:オークキング)
21~30階層:森林フィールド(30階層ボス:ロックベア)
31~40階層:荒野フィールド(40階層ボス:ファングパンサー)
41~50階層:砂漠フィールド(不明)
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「さあ皆さん! いざ、ヴォーアル迷宮へ!」
「「「「おお~っ!」」」」
そういうと、悠斗を先頭に、ぞろぞろと迷宮に入っていく。
【
【
見た目は子供、頭脳は大人の探偵アニメに出てくる犯人役の黒い人をイメージして貰えば分かりやすいだろうか。
しかし、これはあくまでも安全な実技研修、従業員の命には代えられない。この際、従業員の皆さんには恥も外聞もなく【
かくして、ヴォーアル迷宮内部において、悠斗を先頭とした黒タイツ集団が誕生したのである。
ちなみに【
そんなに見た目が気になるのだろうか?
そこで悠斗は、従業員たちのテンションをあげるため、こう言い放つことにした。
「皆さん! テンションダダ下がり中申し訳ないのですが聞いてください! いま纏って頂いている【
倒したモンスター素材は
「よっしゃぁ~! 狩って狩って狩りまくってやるぜっ!」
「ボクでも倒せるのかな?」
「大丈夫だって、
「これなら私にもやれそうね!」
「さあ、皆さん! モンスターを狩って狩って狩りまくりましょう!」
「「「「おお~っ!」」」」
「それでは、今からモンスターを出現させます。円陣を組んで剣を構えてください。」
そういうと、悠斗は【
もちろん、冒険者と戦っているモンスターには手を付けていない。
従業員たちの前に吐き出されたゴブリンとオークたちは困惑の表情でキョロキョロと従業員たちを見渡している。
「「「ギャギャッ?」」」
「「「ブルルッ?」」」
モンスターたちが困惑するのも頷ける状況だ。いきなり影に飲まれたかと思えば、次の瞬間、いきなり剣を構えた黒タイツ集団の真ん中に放り込まれたのである。
「よし、じゃあモンスターたちが油断している間にやっちゃってください!」
「「「「おお~っ!」」」」
悠斗がそう言うと、従業員たちが我先にとモンスターに斬りかかる。
一方のモンスターたちも倒される訳にはいかない。
斬りかかってくる黒タイツたちに反撃しようと、手に持っているこん棒を振り回し、剣を突き立てる。
しかし、まったく効果がないようだ。黒タイツたちに剣を突き立てるも、黒タイツたちは一瞬、戸惑うだけで、次の瞬間には逆に剣を突き立ててくる。
「おお、すごいぞっ! 本当に痛みを感じないっ!!」
「本当だっ! これならボクでもいけるかもっ!!」
「よしっ! この調子でやっちまえ!」
従業員が次々とモンスターを倒す中、悠斗は倒されたモンスターを一生懸命、収納指輪(従業員用)に収めていく。この収納指輪は、従業員に配る予定のバッテリー式の指輪だ。専用の魔道具で魔力の補充を行わないと2日で使えなくなってしまう。盗難防止にもなるし、便利なので研修が終わり次第、支給する予定でいる。
ちなみに、なぜ従業員用の収納指輪にモンスターを納めているかといえば、単純に自分の収納指輪に収めてしまうと、既に収納してあるモンスターと混ざってしまい計数管理が難しくなってしまうためだ。
モンスターを倒し終えた従業員は、目をギラギラさせながらこっちを見てくる。
正直なんか怖い。黒タイツ姿の人間が目をギラつかせながら血に濡れた剣を持っている姿に恐怖を覚える。いや、【
「よし、ここらのモンスターはすべて狩り尽くしたっ! 次の階層に行くぞっ!」
「「「「おお~っ!」」」」
そういうと、悠斗を先頭に黒タイツ集団と共に次の階層に降りていく。
そこから先はルーティンであった。
悠斗が【
ボスモンスターだけは俺も参戦するが、それ以外は基本的にすべて従業員たちに戦いを任せることにする。
それを30階層まで繰り返す頃には、従業員たちのレベルも35程度まで上昇していた。
「よし、そろそろ迷宮を折りかえしましょう!」
悠斗がそう言うと、今度は迷宮を折り返す。
もちろん、これまでのように、新たにリポップしたモンスターを【
悠斗たちがヴォーアル迷宮の1階層に戻る頃には、従業員たちのレベルも50程度まで上昇していた。
「よし、今日の実技研修はこれにて終了とします! お疲れ様でした! この後、冒険者ギルドに換金しに行きたいと思います。お疲れのところ申し訳ありませんが、すでに冒険者登録をしている方は、今回の成果により昇格するかもしれませんので、俺について来て頂けますでしょうか。もちろん、その時間分の残業手当も保証します。」
悠斗は、従業員たちにかけていた【
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