間章1 夢の花は心を滋養に咲き誇る

「もしもし、愛衣か?」

『あっ、兄ちゃん! ずっと帰ってこないから、心配してたんだぞ』

「す、すまん。今、実況者の先輩の家で修行してて、帰れないんだ」

『むう。だったらチャンネルぐらい教えてほしいぞ』

「いやあ、一流になるまで身内に教えない方がいいって言われてて」

『一流って、どのぐらいなのだ? 登録者十万人ぐらい?』

 それはとっくに達成してるが、だからといって正体を――というか偽りの姿を伝えるわけにはいかない。

「え、えーっと。百万人……ぐらいかな」

『ひゃっ、百万ッ!?』

 突然の大声に、慌ててスマホを耳から遠ざける。こういう時、ワイヤレスイヤホンを使ってなくてよかったと思う。

『百万って言ったら、金の盾をもらえるぞ!?』

「盾……? あ、そういえば表彰プログラムがなんたらかんたらって、夢咲が言ってたような……」

『夢咲?』

 遅れて俺は口をふさいだ。マズいマズい、夢咲が師匠だって知られたら、自分で俺がセリカだって言ってるようなものじゃないか。

「いっ、いやあ、今の師匠の名前がユメ・サキって人なんだよ。苗字が夢で、名前が咲輝なんだ。あはは、前に愛衣が言ってた人と名前が似てるなー。偶然だなー」

 我ながら大根役者かよってぐらい酷い棒読みだったが、純粋無垢な我が妹は『そうなのか』と納得してくれた。心が痛んだが、真実を知られた時の惨事を思えば、この痛みだってまだマシに思える。

『どうしたのだお兄、急に黙り込んで』

「あ、ちょ、ちょっと寝不足でな」

 噓八百だ。本当は『寝不足はお肌の敵なので、セリカサンのためにもちゃんと十分な睡眠をとるよう心掛けてクダサイネ』と命じられているので、寝不足にはならないよう気を遣っている。

 心優しい我が妹は「無茶しちゃダメだぞ」と気を遣ってくれた。

 罪悪感で胸がはちきれそうだが、心を鬼にして耐えねばならない。

「で、その……。さっきの話は、どうだ?」

『アタシがゲーム実況の収録に参加してほしいっていうのか?』

「ああ」

『お兄が出るなら喜んで参加するんだけど……』

「いやいや、でも出演者が足りなくて困ってるんだってさ。俺も出たいけどその日は用事があるし、愛衣ならほら、学校で動画について学んでるし、うってつけだろ?」

「でもアタシ、動画の編集はよくするけど、演者としてはずぶずぶのずぶな素人だぞ」

「大丈夫だ、愛衣はずぶでもブスじゃない。むしろ可愛いじゃないか」

『えへへ。そんなことないのだ』

「あるある、めっちゃある。俺は自分の妹がめっちゃ可愛いことを誇りに思ってるぞ」

『でもお兄、家にいる時は萌えキャラばかり見てたのだ』

「それはその、可愛いのベクトルが違うからな」

『ベクトルって?』

「太陽の溌剌とした眩しさと、月の風雅な趣(おもむき)みたいなものかな」

『風雅って?』

「俗世間とは一歩距離を取った、洗練された上品さがあるってことだ」

『アタシはどっちなのだ?』

「愛衣は太陽かな。一緒にいると、元気もらえるし」

『じゃあお兄、最近アタシに会ってないから、元気ないのだ?』

 心配そうな声音に、胸の痛みが最高潮になる。

 俺は……っ、俺はこんな可愛い妹を悲しませてっ、なんて酷いヤツなんだ!

「すまん、すまんな、愛衣。今度会った時は、たくさん遊んでやるからな」

『わーい、お兄と遊べるのだ! すっごい楽しみー!!』

 スピーカーから聞こえる愛衣の弾んだ声に、俺は後で夢咲に休暇の願いを出すことを決意した。

「で、出演の件はどうだ?」

『わかった、やるのだ。それでお兄が助かるなら』

 俺はほっとしたような、憂鬱になったような、複雑な気分を胸中に抱えた。

「ありがとう、肩の荷が下りたよ」

『詳細はSNSで送ってほしいのだ』

「了解だ」

『あ、そろそろ講義の時間なのだ。本当はもっとお兄と話してたいんだけど……』

「俺もだ。でも、単位を落としたら後が大変だろ?」

『うん……。じゃあ、きっと近いうちに一緒に遊ぶのだ』

「ああ、じゃあまたな」

 俺は通話を終了して、ふうと軽く息を吐いた。

「……あのショタ化探偵も、こんな気持ちだったのかな」

「交渉は上手くいったようデスネ」

「わっ!?」

 いきなりの声に振り向くと、いつの間にか夢咲が背後にいた。

 ここは夢咲の家のリビング。彼女がいること自体は問題ではないが……。

「おまっ、さっき出かけたばかりだろっ?」

「ちょっと宅配を取りに言ってただけデスヨ。にしても通話程度で周囲への注意力がなくなるなんて、生流サンには自然のしの字もありマセンネ」

「しがない、死がない……死なない? うーん、上手いこと思いつかないものだな」

「そう言う言葉遊びがさらっとできるようになると、嫌味にならず賢さをアピールできるようになるので実況者としてかなりお得デスヨ」

「だから勉強してるんだよ」

「生流サンはゲームが上手いから、他のことに時間が割けていいデスヨネ」

「夢咲はゲーム下手だからな」

「うっ……、ストレートに来ますね」

 俺は「すまん、すまん」と謝ってからフォローを入れた。

「でも反射神経が必要ない人読み特化のゲームは、お前の方が強いじゃないか」

「それで勝てるのって、ババ抜きとか人狼ぐらいなんデスヨネ。あまり実況向きじゃないというか……」

「対戦RPGなら十分にいけそうな気がするが。ちょうどビッグタイトルがあるじゃないか」

「いえ、画面越しだとちょっと……」

「……ゲームが下手でも本当に実況者ってやっていけるんだな」

「なんデスカその真白両眼(ホワイトアイ)!? 師匠に対して失礼デスヨ!」

「ああ、すまん。お詫びに今日のランブルは三倍ハンデでやってやるから」

「それで勝っても嬉しくないデスヨ!?」

「飛車角落ちでも勝てない相手に真っ向から挑んで、まともな勝負になると思うか?」

「うぬぬぬ……」

 夢咲が呻きつつ、いかにも恨めしげな視線を送ってくる。だがこればっかりはどうしようもない。元プロゲーマーとしてハンデ以上に手を抜くのは、己のプライドに傷をつけることになるからだ。

「実況力なら、実況力なら勝てるのに! そういうゲームはないんデスカ!?」

「さあ……。一昔前の家庭ゲーム機時代だったら、チャンネル運営のシミュレーションゲームとか作られてたかもしれないけどな」

「それ、ただの街づくりゲームみたいになりそうデスネ」

「抽象的な要素は運以外、システムに取り込みにくいからな。カラオケの採点システムだって歌手本人が歌っても高得点取れるとは限らないって聞くし」

「絶望しマシタ! 本職の実況者の肩身が狭くなるゲーム業界に、絶望しマシタ!!」

「いやまあ、でも実況自体は夢咲の方が絶対に面白いって。登録者数だってほら、十倍近く差があるし」

 俺はスマホに表示させた『メロンミルクチャンネル』のホーム画面を見せた。

 さっと夢咲の顔から血の気が引いていく。

「……視(み)マシタカ?」

「え、何を?」

「ミーの実況動画……視マシタカ?」

 ジャパニーズホラー映画の幽霊みたいに、夢咲が無表情に尋ねてくる。

 金縛りにあったかのように、体が動かなくなる。

 どうにかかぶりを振って俺は言った。

「い、いや。視てないけど……」

「……師匠の動画なんて、視る価値なんてないと」

 なんか夢咲のヤツ、落ち込んで地面にのの字を書き始めやがった……。

「そ、そうじゃなくってさ。俺と会う前に、愛衣とメールでやり取りしてただろ?」

「ええ、しマシタネ」

「そこに自分の動画を視てほしくないって書いてあったじゃないか。だからお前に言われるまでは、視聴しないようにしてたんだよ!」

「なるほど、そういうことデシタカ」

 夢咲はほっと胸を撫で下ろしたが、暗澹とした空気は完全には消えていなかった。

「あの、ソーリーデス。ミー、今ちょっと無茶苦茶なこと言ってマシタネ」

 彼女の顔に浮かんだごまかし笑いは、どこか寂しさというか、後ろめたさみたいなものが見え隠れしている気がする。

「別にお前が面倒なのは今に始まったことじゃないが……」

「フフフ。生流サンの毒舌は、今日も冴えてマスネ」

 俺は言うか言わないかしばし躊躇した後、覚悟を決めて口を開いた。

「……なあ、視てもいいか? 夢咲の動画を」

 夢咲ははっと息を呑み、目線を逸らした。

 そんな彼女を、俺は無言でじっと見つめていた。

 やがて彼女はぽつりと言った。

「……そうデスネ。もう、潮時かもしれマセン」

「潮時?」

「そう。全てを話す時が」

 夢咲は一度大きく息を吐き、居住まいを正した。

「ですがその前にまず、わたしの動画をご覧いただいた方がいいですね」

 初めて会った日以来の、自然な日本語の発話。

 夢咲が発する緊張感はたちまち俺にも伝染した。

 酷く喉が渇いてたが、コップに手を伸ばせるような空気じゃなかった。 

 小さな雫が薄い紙に染み入るように、静かな声が室内に広がった。

「生流さんが一人で実況をやっていた頃は、再生数が伸び悩んでいましたよね?」

「いきなりケンカの大特価セールか?」

 夢咲はくすりと笑って、「違いますよ」と言った。

「いくら挑戦しても、上手くいかない。苛立って、苛立って仕方がなくなる。……その気持ち、実はよくわかるんです」

「……夢咲も何か上手くいかないことがあったのか?」

 彼女は緩慢にうなずいた。

「ええ……。『ランブルスターズ』の最新作、『ULTIMATE』がeスポーツとして登録されているのはご存知ですよね?」

「ああ。試合も何戦か見たことがあるぞ」

「実はわたし、『ULTIMATE』の大会に何度か出たことがあるんです。個人店が開いているような小さなものから、海外で開かれている世界規模のものまで」

「へえ。『ランブル』が好きなんだな」

「はい。好きで、本当に大好きで、一時期寝ても覚めても『ランブル』のことばかり考えて生きていた頃がありました。その想いが高じて、いつしかプロを目指すようになっていたんです」

「プロって、eスポーツプレイヤーか?」

 夢咲は大きくうなずいた。

「『ランブル』のプレイスキルで、世界のトップに立つ。それがわたしの夢でした」

 俺はじっと彼女の顔を窺った。その表情からは嘘偽りのない、確かな本気を感じた。

「だけど、もう過去のことです。今のわたしには、別のものがありますから」

 夢咲は首を動かし、どこか冷めた目を向けてきた。

「……前置きが長くなりましたね。わたしの動画、何でもいいので一本視ていただけますか?」

 俺はスマホの画面を操作し、適当な動画を再生させた。

 再生数三百六十万回。俺からしたら遥か天の向こうの数字。

 けれど今は、意識を動画に集中させる。

 動画の題材に扱っているゲームは、バイクをメインに据えたレーシングもののようだ。オブジェクトの作り込みはさながら本物並みに細かく完成度は高い。UIのデザインも今時の感じだ。おそらく最近撮ったものだろう。

 映っている光景は高速道路で、ロードの両端に高い壁が築かれている。左上に移されているステージマップは、真ん中が凹んだ器の横断面みたいな形。スタート地点は器の底面に位置する場所だった。半周後の道路とはほぼ壁が接している。

『さあて、一位を目指して気張っていきマスヨ!』

 動画用の作り声だろう、いつもより若干高めな声音の夢咲の音声が聞こえてくる。

 カウントダウンが3、2、1と表示され、『GO!』の文字と共にレースが開始する。

 一斉に他のマシンが飛び出す中、『Melon』と頭上に表示された、夢咲が操作している一台だけはゆっくりと走り出し、なぜか壁際に寄っていく。

『オゥ、ぶつかってしまいマシター』

 そこでのたのたと車体を壁にこすりつけて、ゆっくり徐行しだす。現実でもこんな走り方をしているヤツはいないだろう。

『動け、動け、動け! 動け、動いてクダサイ!』

 観ている内に段々とイライラしてきた。初心者丸出しのプレイング。こんなものを延々と見せられるのは、少なくとも俺にとっては拷問同然だった。

我慢が限界に達しかけたその時、急に景色が変わった。

 鏡を取っ払われたでもしたのかと思った。右に広がっていたはずの道路が、左右逆転しているのだ。それにさっきまで画面奥へ走っていた障害物用の車が、こちらへ迫ってくるように走行している。

 バイクはそのままUターンして何事もなかったかのように走り出す。

『Have you seen it!? ご覧になりマシタカ!? 最下位から一気にトップに浮上しマシタヨ!!』

 言われて順位を確認すると、確かにいつの間にか一位に変わっている。

 何が起こったかは、ステージマップを見れば察しがついた。

 夢咲のアイコンは半周後の場所に表示されている。

 状況から考察するに、さっきの不可解な行動は『半周後の場所にワープするバグ』を誘発させるためのものだったのだろう。

 夢咲はそのまま悠々とレースを続け、トップでゴールした。

 対戦相手のコメントが表示される欄には『えっ?』『なんだあの1位?』『ざけんなよチート勢が』などと表示されていた。

『AHAHAHAHAHA! 負け犬がキャンキャン鳴いてマスネー!!』

 そこで夢咲の指がすっと伸びてきて、動画を止めた。

 彼女はため息を吐いて訊いてきた。

「どうでしたか?」

「えーっと……、そうだな」

 鼻の頭を掻き、とりあえず感じたままのことを伝えた。

「独特な空気感が出てて、すごいなって思ったぞ。編集も凝ってるし、今の俺じゃ足元にも及ばないなって……」

「そうじゃなくて、今の……、バグを利用したプレイに関してです」

 舌が抜かれたかのように、言葉が出てこなかった。

 夢咲はさらに言葉を重ねてくる。

「生流さんはプロゲーマーだったんですよね? あんなゲームの欠陥を利用した姑息なプレイングなんて、その……」

「い、いやでも、たまたまそういうのを発見して、みんなに見せびらかしたくなる気持ちはわからなくはないぞ?」

「たまたまじゃ、ないんです」

「えっ……?」

 夢咲は俺の手からスマホを取り、しばし操作した後、ピクセブ辞典のページを見せてきた。タイトルには『メロンミルクチャンネル』と表示され、以下に概要が続いていた。

『主にムートゥーブで活動しているゲーム実況者。オンライン対戦系のゲームを中心に実況している。エセ外国人のような口調に最初は意識が行きがちだが、真に特筆すべきはそのプレイスタイルである。彼女は実況前にゲームをロケ調査し、いわゆるバグなどの不具合を発見した後、それを利用した姑息な戦術で対戦相手をやり込める様を録画し実況動画として投稿している。煽るような口調と相まって、ゲーマーとしての品位にいささか疑念が湧くものの、それが妙なクセになるのかファンになる者は多い』

 読み終えた俺は、しゅんと俯いている夢咲を見やった。その姿からは、動画の時のように調子に乗った雰囲気は感じ取れない。まるで別人のようだった。しかし声音からして同一人物なのは、間違いない。

 夢咲はぽつりと言った。

「……わたしは、こんなつまらない人間だったんです」

「つまらないって……、それだったらあんなに多くの人に動画を見てもらえないだろ」

「つまらないですよッ!」

 いきなりの怒声に、俺は思わず身を竦ませた。

 夢咲は何かを堪えるように眉間にしわを寄せ、続ける。

「プロゲーマーになるのが無理だったから実況者になって。それも思ったようにいかないから、こんなズルいことに手を出したんです。そうまでしないとわたしは、大した成果を出せなかった……」

 固く握りしめてぶるぶる震わせた拳が振り上げられ、机の透明な天板に打ち付けられようとした。だが寸でで静止し、解かれた手が力なく置かれ、ガラスの表面を撫でた。

「……大好きなゲームを世界中の人達に広めたかった。そのはずだったのに、わたしはいつからか汚点を探り出して曝け出すという、ゲームの評価を貶(おとし)める行為をしていた。それを今も続けているんです」

 自嘲的な笑いが、崩れた泣き顔の下から覗く。

「本当、最低なヤツですよね。……もしかしたらわたしには、もうゲームが好きだと言う資格なんて、ないのかもしれません……」

 消え行く声は、嗚咽に取って代わられる。

 肩を震わせて手の平で擦るように涙を拭う様は、迷子になって不安に苛まれている少女の姿を思い起こさせた。

 俺は夢咲の前に立ち、彼女の手をそっと取った。

「そんなことはない」

「……えっ?」

 顔を上げた和花の瞳を見据え、真摯に想いを伝える。

「俺は夢咲が心の底からゲームが大好きだって知ってるよ」

「……嘘なんてつかなくていいですよ」

「嘘じゃない。お前が何度もゲームについて熱弁したのを好耳で聞いてるし、バグだって相当やり込まなきゃ、みつけられるもんじゃないだろ?」

 潤んだ瞳が見開かれる。

 俺は笑みを浮かべて続けた。

「それに『ランブル』じゃ、何千回と敗北してるのに挑んでくるしな。よほどゲームが好きかマゾじゃない限り、そんなことするはずがないもんな」

 涙で濡れた頬を、夢咲はぷくっと膨らませた。

「生流サンは、絶対にサディストデスヨネ」

「意地が悪くなきゃ、ゲームは上手くならないからな」

「……ふふっ、そうかもしれマセンネ」

 相好を崩す夢咲の頭に手を置き、俺は続ける。

「好きとか嫌いって気持ちはさ、誰かの物差しで測られるもんじゃないんだ。ゲームのオプションみたいに、自分でその基準を定めていいんだよ。だから好きになりたいならその時点で好きになっていいし、嫌いなら嫌いってきっぱり言ってやれ。そうすりゃ、今よりも少しだけ快適な世界で生きられるさ」

 夢咲はほうと一度息を吐き、それからくすっと笑って言った。

「やっぱり生流サンって、ポエマーチックデスヨネ」

「……今、俺バカにされた?」

「ノー、褒め言葉デスヨ」

「ならいいけど……」

 少し釈然としなかったが、夢咲が晴れやかな笑顔を浮かべているのを見てると「まあいいか」と思えてきた。

「さてと。修行の前にまずは『ランブル』シマスカ!」

「ハンデは?」

「いりマセン! 狂こそ真の実力を発揮して生流サンに敗北を教えてあげマスヨ!」

「夢咲はたくさん敗北してるからな。まさに敗北の師匠だ」

「今絶対にミーのことバカにしましたよね!?」

「まさか。褒め言葉だよ、純度百パーセントの」

「その偽装表示にはさすがに騙されマセンヨ!?」

「疑るなって。本当に誠(まこと)さ、誠。嘘からの産地直送だ」

「嘘って言っちゃってるじゃないデスカ!?」

 かくして俺達は今日もゲームに実況と勤(いそ)しむのだった。


 ちなみに本日の『ランブル』の戦績は二十勝零敗、ノーダメだった。

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