リコ社長


 エルフの国へと戻ってきた俺は、リコのところへと赴いた。


「リコ、ちょっといいか?」


「あ、しゃちょ~どしたの?」


「これをみんなに配ってほしいんだ。」


 俺はエルフの国で働いているみんなの分のボーナスが入った封筒を手渡した。


「これは……あれだね臨時収入ってやつ?」


「そうだ。ちょっと俺が旅に出ちゃうし、みんなが頑張ってくれたおかげで今の会社が成り立ってるからな。」


「ほいほいほい……ってあれ?ウチの分の名前が無い!?もしかしてウチは無しぃ!?」


 一つ一つ確認していたリコは自分の名前が書いてある封筒がないことに気が付くと、慌てふためき始める。


「リコだけ除け者なんかにするわけないだろ?リコにもちゃんと用意してるよ。」


 そして俺はリコに手渡しでボーナスの入った封筒を手渡した。すると、中身が気になって仕方がなかった様子の彼女は、俺の前でその封筒をパッと開けると、中に入っていた金額に目を輝かせると同時に、あるものが入っていたことに首をかしげる。


「これは……明細書?いや違う……あっ!!お手紙だねぇ~?」


「そ、みんなの封筒にも入ってる。日頃の感謝の言葉が書いてあるんだ。」


「なぁんだぁ~そういうのは直接伝えればいいのに~。」


「面と向かって言ったほうが良いのはわかってるんだけど、ちょっと恥ずかしくてな。でも一人一人に感謝を込めて書いたから、後で読んでほしい。」


「ど〜んな事が書いてあるのかな〜。これは今日の夜のお楽しみにとっとこ〜。」


 上機嫌で彼女はボーナスと手紙をしまった。


「さて、もう少ししたら俺は旅に出ちゃうけど、業務上で何か不安なことはないか?」


「ん〜、大丈夫かな。とりあえず社長のやってたことは全部頭に入ってるし、記録も取ってあるから。」


「そっか……じゃあこれから忙しくなると思うけど、よろしく頼むな。」


「おっまかせ〜。社長が帰って来る時には驚くような利益を上げとくから、楽しみにしててね〜。」


「あぁ、楽しみにしておく。頼んだぞリコ。」


「うひぇっ……な、なんかその呼び方慣れないなぁ。」


「はは、俺も最初はそうだったよ。いずれ慣れるさ。」


 これからの会社のことをリコに託し、俺は彼女と別れた。

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