旅支度③
ウォータードラゴンと共にミースが帰ってくるのを待っていると、数十分ほどして大きな紙袋を手に、ホクホクの満足顔でミースが帰ってきた。
「あれ、ヒイラギさんいらっしゃってたんですね?」
「お帰りミース、ちょっとお願いしたいことがあってさ。」
「お願いしたいこと……ですか?」
「あぁ、実は俺の屋敷を管理してくれる人を探しててさ。」
「管理……ですか?となると、どこかにお出かけでも?」
「あぁ、ちょっとこの世界の美味しいものを巡りに旅に出ようと思ってな。」
「美味しいもの巡りの旅ですかぁ〜、良いですねそれっ!!すごく楽しそうです。」
「そういうわけで、あの屋敷の掃除とかを担ってくれる人を探してるんだけど……適任な人いないかな?」
「う〜ん、ちょっと待ってくださいね。」
ミースはパラパラとファイルのページを捲っていくが、なにやら表情はよろしく無い。
「ちょっと残念なんですけど、ヒイラギさんの求めてるような人材は……ご用意できないかもしれません。」
「そうか。」
「清掃業とかそういう業種を経験した方が、ギルドには所属してなくて……。」
「大丈夫、いたら良いなってぐらいの気持ちで聞いてみただけだから。そんなに落ち込まないでくれ。」
さて……こうなってくると、頼みの綱はあそこしかないな。
「よし、じゃあちょっと別の所に聞きに行ってくるよ。時間を取らせて悪かったな。」
「いえいえ!!こちらこそお役に立てずすみません……。」
ペコペコと申し訳なさそうに謝るミースを宥めて、俺は獣人族の国へと飛んだ。そしてシン達のいる王宮へと向かう。
「いらっしゃいませヒイラギ様。」
「やぁレイラ、今日はちょっとレイラに話があってきたんだけど……ちょっと時間もらっても良いかな?」
「構いません。立ち話もなんですので、こちらへどうぞ。」
レイラに案内されて応接間へと通されると、すぐに紅茶が運ばれてきた。
「お、紅茶だ。」
「人間の方々はこのお茶をお飲みになると聞いたので、ご用意させて頂きました。芋酒のほうがよろしかったでしょうか?」
「いや、こっちで大丈夫。」
紅茶を一口飲んでから、俺はレイラに本題を切り出した。
「今日来た目的なんだけど……実はちょっと王宮のメイドさんを借りれないかなって思って来たんだ。」
「そういうことでございましたか。熟練のメイドをお貸しするのは、業務に支障が出る可能性がありますので、少々難しいですが……新人のメイド達なら可能ですよ。」
「本当か!?」
「はい、新人のメイド達にとっても良い経験になるでしょうから。」
「それじゃあ、詳細なんだけど……。」
そうして、俺はレイラと給料などのことを話し合い、無事に新人のメイドさんを雇うことができたのだった。
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