仕事が回ってこないヒイラギ
獣人族の国に来たついでに、コッソリみんなの仕事風景の様子を見に行ったのだが……相変わらずお菓子の販売所は行列ができているし、孤児院にもズラリと長蛇の列ができている。
みんな忙しいながらも、笑顔で楽しく接客してくれているようで、俺はホッ……と一つ安堵の息を吐き出した。
2箇所とも俺がいなくても、すっかり大丈夫そうだ。
「次は店舗営業予定の建物の様子も見に行ってみよう。」
この間購入した店舗営業をするための建物の様子を見に向かうと、そこではゴーレム達が慌ただしく届いた棚等を、建物の中へと運び込んでいる最中だった。
「おっ、機材が届いてるな。」
ゴーレム達がそれらを運んでいるのを手伝おうとすると、建物の中から1枚の紙を手にしたリコが現れた。
「ありゃ?社長?」
「リコ?なんでここに?」
「ミクモちゃんから、食品棚とかが届いた〜って連絡を受けてね。今それをゴーレムに指示して、置いてもらってたとこなんだね〜。」
「あちゃ〜……ここの仕事も取られちゃってたか。ミクモも俺に連絡をくれればいいのに。」
「最初は社員のエルフにミクモちゃんから声がかかったんだけど、みんな社長が忙しいのは知ってたからね〜。社長に連絡がいく前に、比較的暇してるウチに連絡が来たってわけ。」
「なるほどね。……ちなみに何か俺ができることって、ある?」
「社長には悪いんだけど……
ニッコリと満面の笑みでそうハッキリと言われると、思わずガックリと肩を落としてしまった。
「ミクモちゃんのゴーレムが優秀でさ、指示すればちゃんと動いてくれるんだよね〜。」
「そ、そうか……。」
「まっ、そういうわけだから。ここはウチに任せといてよ。」
「じゃ、じゃあ俺は帰って売り上げと支出の記録……。」
「あ、ちなみにそれも全部終わってるよ?」
うん、いよいよもって俺の仕事が無いっ!!みんなが優秀すぎると、上の仕事が無くなるのか……そんなの知らなかったぞ。
「だからまぁ、もう2日3日ぐらい社長は休暇の続きってことで、お家でゆっくりしてなよ。お仕事も大事だけど、家族との時間も大事っ!!」
「はぁ……わかった。じゃあその言葉に甘えさせてもらうよ。」
確かに最近ドーナたちとの時間ってやつを作れなかったからな。もらった休暇は、みんなとの時間にしよう。
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