やって来たハリーノ達
結局、エルフ達がお祭り準備をしている傍らで、俺はたこ焼きの出店をやることになった。今回、材料費はあって無いようなものなので、エルフ達に日頃の感謝を込めて、タダでたこ焼きをみんなに振る舞う事にした。
すると、出店をオープンしてからというものの、客足が止まらず、ずっと行列が続いてしまっている。
エルフ達に配る分と、身内で食べる分を同時に焼いているからだけど、全く手が休まらない状況だ。
「ふぅ〜……大盛況すぎるな。はい、次の人注文は……って、ハリーノじゃないか。」
「あ、ど、どうもです〜社長〜。そのぉ、昨日は助けてくれて、ありがとうございましたぁ。」
今度たこ焼きを食べに来てくれたお客さんは、ハリーノだった。
「良いんだよ。社員を守るのも社長の仕事だ。それよりも、もっと早く助けられなくてすまなかった。」
「い、いえいえっ、社長が謝ることなんて何も……。」
「いや、みんなを危険な目に遭わせてしまったのは、俺の責任だ。だから、もしハリーノの気分が優れないようだったら、明日から有給……えっと、給料の出る休暇を出そうと思ってたんだけど。」
「そんなにしてもらわなくても大丈夫ですよぉ〜。人間の国で一緒に働いてるエルフは、み〜んな元狩人ですからぁ。魔物には慣れてるんですねぇ。」
そうハリーノが言うと、彼女の背後から、昨日魔物に襲われた他の社員たちがひょっこりと顔を出して、笑顔でピースサインをしてくれた。
「こんな感じで、みんな元気ですからぁ。明日からお仕事に復帰しても良いですかぁ?」
「……わかった。」
「ありがとうございます社長〜。」
「ただし、無理はしないこと。気分が優れないと思ったら、すぐに休息を取る……わかったな?」
「「「はーい!!」」」
「ん、いい返事だ。それじゃあ、そろそろ注文を聞こうかな。」
「えっとぉ、じゃあたこ焼き……8個入りのを全員分くださ〜い。」
「はいよ。ちょっと待っててな。」
焼き上がったたこ焼きをパックに入れて、1つずつハリーノ達に手渡していく。その時に明日の営業について伝えておくことにした。
「明日のハリーノ達の営業なんだけど、王都はまだ混乱状態で営業どころの話じゃないから……しばらくエミルって街で営業してもらうよ。」
「わかりましたぁ。」
「明日護衛を雇いに、一緒にその街のギルドに行こう。ちょうど適任の強い奴があそこにはいるんだ。」
そう、人間にも魔物にも負けない強〜いやつがな。
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