いざ秘湯へ
俺の部屋に入って、すやすやと眠るシアとメリッサ、2人の肩をポンポンと優しく叩く。
「ふみゃ……うんん、お兄さん?」
「ぱぱ…どうしたの?」
「起こしちゃってごめんな2人とも。今から温泉にみんなで行くんだけど……シア達はどうする?」
「行くっ!!」
「おんせんぽかぽか…いきたい!」
「ん、それじゃあ一緒に行こうか。」
「「うん!!」」
すっかり眠気も吹き飛んで、元気になった2人と一緒にリビングに降りていくと、そこでは既にみんなが集合していた。
「おっ、みんな準備万端だな。」
「いつでも準備はできてるわよ〜。」
「よし、それじゃあ早速行ってみようか。」
みんなで屋敷を出てみると、そこではマドゥを連れたカリンが待っていた。
「おや?奇遇だな皆のものよ。」
「あれ……どうしてここに?」
「マドゥの事を秘湯に連れて行こうかと思ってな。こうして歩いていたところ、バッタリといった感じだな。よければ案内してやるぞ?」
「あはは、じゃあお願いします。」
「あぁ、任された。では参ろう。」
そしてカリンの後に続いて集落を出た後、俺たちは森の方へと誘われた。
「この先にある秘湯は、何百年と前から湧き出ている温泉なのだ。疲労回復、滋養強壮に関しては素晴らしく効くぞ?」
「良いですね。」
「くく……では一つ、その秘湯に関して面白い雑学を話してやろう。実はその秘湯というのは、今まではとある条件を満たした者達しか入ることを許されぬ場所だったのだ。」
「その条件っていうのは?」
「婚姻を結んだ者同士であること……そういう条件だ。」
「じゃあワタシ達は問題ないわね!その条件をバッチリ満たしてるわ。」
「まぁ、概ね満たしていると言えよう。……ではここで一つ問題だ。なぜその秘湯というのは、婚姻を結んだ者同士でなければ入れぬ場所だったと思う?」
そのカリンの問題に対して、レイがすぐに答えを口にした。
「そんなもの決まっているじゃろう。ツガイとなった者同士……裸になってやることは一つ。その秘湯とは、子作りをするための場所じゃったから……じゃろ?」
「正解だ。本来はなかなか子宝に恵まれぬ者たちが願掛けとして、そこで交わる……そういう場所だったのだ。まぁ、今となっては普通に誰でも入れる温泉になったのだがな。」
そんな話を聞いていた初心な面々は、後ろの方で顔を真っ赤にしてしまっている。平然としているのは、どういうことなのかを理解していない子供達と、レイやイリスぐらいなものだ。
「さて、そろそろ着くぞ。」
深い竹林を抜けた先……そこには、湯気のたつとても広い温泉が広がっていた。
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