カリンの置いていった地図


 ちょっと遅めのお昼ご飯を食べて、ソファーでゆったりとくつろいでいると、イリスがニコニコと微笑みながらこちらに歩いてきた。


「ヒイラギさんっ、ちょっとお時間いいですか?」


「ん?どうしたんだイリス。」


「実は、さっきカリンさんからこんなものを頂いたんです。」


 そう言って彼女が後ろから取り出したのは、この国の地図だった。その地図のある場所には赤い丸印が書かれている。


「それは?」


「この国の秘湯だそうです。いろんな効能があるらしくて、良かったらみんなで行きませんか?」


「おっ、温泉かぁ……それは良いな。疲れた体を癒すのにぴったりだ。」


 それに秘湯か……なかなか心をくすぐってくる響きだ。是非とも行ってみたい。


「じゃあ行きますか?」


「あぁ、みんなで行ってみよう。」


 すると、その話を聞いていたランがこちらに駆け寄ってくる。


「温泉行くのね!?」


「あぁ、みんなで行ってみよう。」


「いいわねぇ~、温泉♪また行きたかったのよ~。さっ、こうしちゃいられないわ。早く準備してこなきゃ。」


 ルンルンと鼻歌を歌いながらランはさっそく温泉に行くための準備をするため、スキップして自分の部屋に戻っていった。


「温泉に行くならアタイも準備してこなきゃねぇ。ちょっと時間くれるかい?」


「もちろん。俺も準備しながらリリン達のことを起こしてくるよ。師匠とレイも準備しといてくださいね。」


「ん、了解したぞ柊。」


「承知なのじゃ~。」


 そして俺は2階に上がると、リリン達が共同で使っている部屋の扉をコンコンとノックした。


「リリン?フレイ?」


 そう声をかけると、扉が開いて、ライラが顔を出した。


「お嬢様方に何か用か?」


「あぁ、実は今から温泉に行こうと思うんだけど……どうかなって。」


「……少し待っていろ。」


 ライラは扉を慎重に閉めると、中にいる2人に声をかけに行った。すると数分して、寝癖で髪の毛がぴょんと跳ねているフレイが扉を開けて出てきた。


「ふぁ……ヒイラギさんおはよぉ。」


「おはようフレイ。」


「ボク達も温泉一緒にいくよぉ〜……ふぁぁ〜。」


「まだ眠たいなら無理には誘わないぞ?」


「絶対行く。すぐ準備するね。」


「じゃあ1階で待ってるからな。」


「うん〜。」


 さて、次はシアたちのことを起こしに行かないとな。

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