ヒイラギの休日


 カリンが部屋から出ていったあと、ドアを少し開けて、シアとメリッサの2人がひょっこりと顔を出した。


「ん?2人ともおはよう。」


「お兄さんおはよー!!」


「おはよっ!」


 目を合わせると、2人はぱぁっと目を輝かせながら、ベッドに飛び込んできた。


「お兄さん今日お休みなんでしょ?」


「あそぼ…あそぼ!」


「あぁ良いぞ。何して遊ぼうか。」


 そう問いかけると、シア達はん〜……と何をして遊びたいのか必死になって考え始めた。


「あ、トランプやりたい!!」


「とらんぷのあたらしいあそび…おしえてほしい!」


「新しいトランプの遊び方だな。わかった。」


 ベッドの上を片付けて、綺麗にしたところでそこにトランプを広げて、シアとメリッサと一緒にポーカーや七並べをしてゆったりと時間を過ごした。


 そして、遊び疲れて眠くなったシア達を俺のベッドに寝かしつけて、俺はリビングの方へと向かう。


「流石にお腹が空いたな。何か作ろう。」


 リビングに降りていくと、そこではドーナ達が楽しそうに何かを作っていた。


「おはようみんな。」


「おはようヒイラギ。ずいぶん今日はお寝坊だったねぇ。」


「あぁ、ちょっと疲れてたみたいだ。ところで、ずいぶんいい香りが漂ってるけど、何を作ってるんだ?」


「今はみんなでカレーの研究中なのよ。カレーって、人によって最後の味が変わるじゃない?だから、ワタシとドーナとイリスの3人で、究極のカレーのレシピを作ろうとしてたのよ。」


「そうだったのか。」


 チラリと横のテーブルを見てみると、お腹がパンパンになって丸っこくなってしまったレイとグレイス、そして師匠の姿があった。


「は、腹がはち切れそうなのじゃ……。」


「自分ももう食べられないっす〜。」


「美味いものでも限度が……くふっ。」


「この3人はもしかして、試食係かな?」


「そうよ。お昼ご飯に色んなカレーを食べてもらったわ。」


「ヒイラギさんもお腹が空いていたら、いかがですか?」


 そしてイリスは、美味しそうに湯気が立つカレーライスを盛って、こちらに差し出してくれた。


「それじゃ、ありがたくいただいてみようかな。」


 3人が研究中のカレーを一口食べてみると、まず最初にピリッとしたスパイスの辛味と風味を感じた。するとどんどん野菜の甘さやコクが、口いっぱいに広がっていく。


「んっ!!美味しいぞ!!」


 お腹が減っていたのもあって、そのカレーライスはめちゃくちゃ美味しく感じた。勢いで3回もおかわりをしてしまい、俺もレイたちと同様に腹を膨らませてしまったのだった。

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