ジャイアントスコーピオンの巣


 2階層へと繋がっている階段がある開けた部屋の前にたどり着くと、目の前に普段とはまるっきり違う光景が広がっていた。


「コイツら……さっきのサソリの魔物か。」


 目の前には、先ほど倒したサソリの魔物と同じヤツが大量に犇めいていたのだ。


「あ、あれ……ま、まさかジャイアントスコーピオンの巣ですか?」


「多分そうらしい。」


 道を開けてくれる……なんて話の分かるヤツじゃないし、討伐して先に進むしかないな。


「シン、しっかりミースの事を守ってくれよ?」


「うむ。」


 両手にフレイムブレスを纏わせ、俺はジャイアントスコーピオンという魔物の犇めく部屋の中へと突っ込んだ。


 それと同時に、360度全ての方向から巨大なハサミや、毒針のついた尻尾が飛んでくる。


「うはっ、コイツはヤバいな。」


 全てを捌き切るのは不可能ではないが、面倒だ。こういう時は……。


 俺は目の前からハサミで攻撃しようとしてくる、一匹のジャイアントスコーピオンに狙いを定めた。


「巻き添えを狙うっ!!」


 一歩大きく踏み出し、目の前のジャイアントスコーピオンの真下へとスライディングで潜り込む。すると、俺を狙っていた尻尾の攻撃が俺の真上にいるジャイアントスコーピオンへと降り注ぎ、同士討ちの形になった。


「これで一匹っと。」


 味方に仕留められたジャイアントスコーピオンに、フレイムブレスを纏わせた左手で触れると、その体が一気に燃え上がった。そして尻尾を突き刺していた、他のジャイアントスコーピオンへと燃え広がっていく。


 次々に仲間が炎に包まれていくと、残るジャイアントスコーピオンの中で、混乱が巻き起こり、俺の姿も見失ってしまったらしい。


「さて、どんどん行くぞ。」


 こうなったらいくら相手が集団とはいえ、相手は容易くなる。そこから一気にジャイアントスコーピオンを仕留めていくと、仲間が次々とやられていくのを見て一匹が怖気付いたようで、シン達のいる方へと走ってしまった。


「しまった!!シンッ、そっちに一匹行ったぞ!」


 続けざまに逃げようとしていた他のジャイアントスコーピオンを相手にしながら、チラリとシン達の方へと視線を向ける。


 すると、以前シンと模擬戦をした時に見せた、あの技の構えに入っていた。


「あれなら大丈夫だな。」


 安心してシンにあの一匹を任せて、他のジャイアントスコーピオンの殲滅に移る。


「し、シンさん!!こっちに一匹逃げてきましたよ!?」


「問題ないのだ。ミース、我の後ろに隠れていろ。」


 シンは既に両の手のひらの中心に出来ていた球体を、ジャイアントスコーピオンへと向かって一気に撃ち放った。


「これが我が奥義……牙王波である!!」


 撃ち放たれたその牙王波は、ジャイアントスコーピオンに直撃すると、その体を貫いた。そしてその勢いそのままに、俺の目の前にいた最後の一匹のジャイアントスコーピオンまで仕留めてしまった。

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