グリフォンの剥製が活きる場所


 一通りギルドの説明を終えると、ミースとシンはこちらへと歩いてきた。


「あ、ベールさん!!いらっしゃってたんですね?」


「こんにちはぁ〜、今日も依頼を探しに来ましたよぉ〜。」


「そうなんですね、ちょっと待っててください。」


 パタパタとミースは受け付けの方へと駆けていく。そして分厚いファイルを手にして戻ってきた。


「お待たせしました、この中からお好きな依頼を選んでください。」


「ありがとうございまぁ〜す。」


 ウォータードラゴンが依頼を探している間に、グリフォンの剥製が置けるような場所を確保することになった。


「ミース、置き場所はどの辺が良い?」


「できれば入ってきた人みんなの目に入る所が良いので……受け付けと、酒場のちょうど真ん中のここらへんが良いですね。」


「じゃあ、ちょっとこの辺テーブルとか動かすか。」


「我も手伝うぞ!!」


「そ、そんなシンさんに雑務は。」


「まぁまぁ、シンがやりたいって言ってるんだ。やらせてあげよう。」


「で、でも……。」


「ミースよ、ここは人間の国である。我ら獣人の国ではない。故に我に敬意を払う必要はないのだぞ?」


「そういう問題じゃないと思うんですけど……。」


「兎に角、良いことは良いのだ。」


 そう言って、シンは近くにあったテーブルを鷲掴みにすると、軽く持ち上げてしまう。


「これはどこに片付ければ良い?」


「あ……えと、それじゃああそこにお願いします。」


「うむ!!」


 シンの協力もあって、手早く片付けも終わり、スペースが取れたところで俺はグリフォンの剥製をマジックバッグから取り出した。


「よい……しょっと。」


 いざ剥製を飾ってみると、やはりこういうギルドの雰囲気には合っているようだった。


「ふわわ……やっぱりすごい迫力ですね!!」


「うむ、グリズの職人技が全面に表れている良い作品だ。」


「こんなに良いものをギルドに飾れるなんて……ヒイラギさん、本当にありがとうございます!!」


「良いんだよ。」


 俺にお礼を言った後に、ミースは今度シンの方を向いた。


「シンさんも、手伝ってくれてありがとうございました!!」


「う、うむ。この程度……なんてことはないのだ。」


 真っ向からお礼を言われて、シンの顔がまた赤面している。


「さて……せっかくまたギルドに来たし、俺はダンジョンに潜ろうかな。」


 俺がバフォメットに会っている間に、ミースとシンが距離を縮めてくれていれば万々歳だが……。


 と、そんなことを思っていた時、ミースがビシッと手を挙げてとんでもないことを言い出したのだった。

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