新たな製作依頼
頼んでいた調理器具を受け取った後で、俺はまたエノールにあるものの製作依頼をすることにした。
「エノール、実はもう一つ仕事を頼みたいんだが。」
「おぅ!!何でも言ってくれ。」
「それじゃあ、俺の会社の社員全員分の包丁をお願いしたいんだ。」
「おっ、包丁か。どのぐらいの刃渡りにするとかは決まってんのか?」
「一応はな。小回りの利くペティナイフと大きな果物を切る牛刀をお願いしようと思ってるから。」
「ほんじゃあ、コイツでどのぐらいの長さにするか書いてくれ。」
エノールに手渡された長さを計測する道具を使って、120㎜の長さと、250㎜の長さを紙に書き記した。
「とりあえずはこの二つの長さのものが欲しい。」
「ずいぶんこの二つで長さがちげぇな。」
「二つとも用途が違うんだよ。」
「なるほどな。」
「こっちの長いほうは、刃は厚めで重心は手元に欲しい。んでこっちの短いほうは刃を薄くして、小回りが利くように軽くしてほしいんだ。」
俺の要望をエノールはカリカリと紙にメモしていく。
「あと、包丁一つ一つに社員のみんなそれぞれの名前を彫ってほしい。これが名簿だ。エルフの言葉で書いてあるから難しいだろうけど、何とか頼む。」
「おぅ、承ったぜ。……材質はどうする?」
「錆びなくて丈夫なやつが良いな。」
「となるとまぁ……ミスリルになるんだな。」
「またとってこないといけないか?」
「いや、材料はこの前勇者様にとって来てもらったやつで十分だ。純ミスリルじゃなく、芯に魔鉄を使えばいいだけだからな。」
「その辺は任せる。ちなみに現段階で費用はどのぐらいになりそうだ?」
「あぁ~……そうだな。白金貨一枚と……金貨がちょっとって感じか?」
「ん、わかった。そのぐらいなら用意できる。」
社員の人数が人数だから、かなりの金額になったな。
「勇者様、期限とかはあんのか?」
「いや、別に考えてないけどゆっくりやってもらっても構わないぞ。」
「まぁこのぐらいなら……ちょいと店を休めば、20日ぐらいでできると思うぜ。」
「無理のない範囲でやってくれればそれでいいよ。これからも定期的にここを訪れるだろうし、その時に進捗を聞かせてくれ。」
「おぅ!!期待して待っててくれ。」
「じゃあ一応前金で白金貨一枚払っていくから、後の費用は完成した後に請求してくれ。」
エノールに白金塊一枚を手渡して、俺とユリは彼の工房を後にした。
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