またしても行列に並んでいた人物
行列をたどって孤児院の方へとひたすらに歩いていると、その道中である人物に出くわした。
「ん?シンじゃないか。」
「おぉ!!ヒイラギではないか。てっきり列の向こう側にいるものだと思っていたぞ。」
列の途中にいたのは、この国の国王であるシンだった。どうやら今日も気になって並んでいたらしい。
「ちょっとエルフの国で色々あってな。俺だけ後で合流だったんだ。」
「ふむ、そうだったのか。」
「あぁ。……そういえばシンはいつから並んでるんだ?」
「つい二時間ほど前からだな。我が来た時はもっと並んでいたのだぞ?」
「マジか。なんでまた、今日はこんなに並んでるんだ。」
「民から聞いた話だが……どうやら昨日のアプルのコンポートが相当に美味かったらしくな。それが大きな噂となって広まったらしいのだ。」
「ははぁ〜……そういうことだったのか。」
それなら、今日もアプルのコンポートを販売するんだった……。それを目的に買いに来ている人も大勢いたかも。
「しかし、買い物を終えた民の話を聞いてみれば、今日はまた違うものを販売しているらしいではないか?」
「そうだな。今日は昨日と同じものを販売したら面白くないって思って……違うのを売ってる。」
「どうやらそれが、逆に昨日販売したアプルのコンポートの希少価値を上げてしまっているらしいぞ?」
「あっちゃぁ……それなら尚更、販売戦略をミスったかな。」
てっきり、昨日買った人が買わなくなるから、違うものを売ろうと思っていたのだが……。アプルのコンポートも今日一緒に売ればよかった。
だが、シンからこの話を聞けたのは良かったな。明日からの販売戦略の参考になる。
「にしても、ここから孤児院までまだまだかなり行列が続いてるな。帰ってくる人ももちろん多いけど。」
「ヒイラギもこの行列は予想外なのか?」
「予想外も予想外だ。こりゃあ子供たちも大変だぞ……。」
「だが売上の面では期待できるのだろう?」
「もちろん。これだけのお客さんが来れば……まぁ完売はできるだろうし。売上は上々だろうな。」
今日はもともと昨日よりも売上を上げるために、品物の量も上げたし、昨日のアプルのコンポートよりも手間がかかってる分、少しだけ値段が高いからな。売上は正直かなり期待はできる。
「じゃあ、俺は先に向こうで待ってるぞ。」
「む、行ってしまうのか?」
「みんなのことも安心させないといけないからな。それじゃ、俺は向こうで待ってるよ。」
そしてシンと別れ、ユリ達が販売している場所を目指して、小走りで向かうのだった。
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